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ウクライナの産科病院に空爆、負傷者17人と報告

ロシアのウクライナ侵攻に伴う空爆で破壊された病院の車と建物。ウクライナ・マリウポリ、2022年3月9日公開の資料写真。(ロイター)
ロシアのウクライナ侵攻に伴う空爆で破壊された病院の車と建物。ウクライナ・マリウポリ、2022年3月9日公開の資料写真。(ロイター)
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10 Mar 2022 06:03:23 GMT9
10 Mar 2022 06:03:23 GMT9
  • マリウポリの複合施設に連続した爆撃が襲い、1マイル以上離れた場所でも地面が揺れた
  • ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領はツイッターで、「残骸の下に人や子供がいる」と投稿

キエフ:ロシア軍の空爆により、包囲された港湾都市マリウポリの産科病院が壊滅し、少なくとも17人が負傷したとウクライナ当局が発表した。モスクワの侵略がより残忍で無差別な方向に進もうとしているとの西側の懸念が高まる中での出来事である。

一連の爆発がマリウポリの複合施設を襲い、窓が吹き飛び、あるビルの前面は大きく剥がれた。1マイル(約1.6 キロメートル)以上離れた場所でも揺れを感じた。警察と兵士は犠牲者を避難させるために現場に急行し、出血した出産間近の女性を担架で運び出した。

別の女性は子供を抱いて泣き叫んでいた。中庭では、破壊された車が燃えている。少なくとも2階分の深さの爆心地があった。

ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領はツイッターで、「残骸の下に人や子供がいる」と書き、この攻撃を「残虐行為」と避難した。ゼレンスキー大統領が公開したビデオには、明るい色でペイントされた廊下に、ねじれた金属が散乱している様子が映し出されていた。

英国のボリス・ジョンソン首相は、「弱者や無防備な者を標的にすることほど卑劣な行為はない」とツイートし、ロシアのプーチン大統領は「その恐ろしい犯罪の責任を問われることになる」と付け加えた。

一方、ウクライナ当局は水曜日の朝、キエフ周辺や南部のマリウポリ、エネルホダール、ヴォルノヴァハ、東部のイジュム、北東部のスームィといった爆撃を受けた町から数千人の市民が避難できるよう、新たに停戦を発表していた。

2022年3月9日、ウクライナ・マリウポリ。マリウポリ市議会が提供した映像から撮影した、攻撃後のマリウポリ病院の惨状。(AP通信)

他の都市から脱出できた人がいるかどうかは現時点では不明だが、首都キエフでは爆発音が聞こえ、空襲のサイレンが何度も鳴る中、キエフ近郊から人々が流れ出し、多くは市の中心部へ向かった。

そこから、攻撃を受けていない西ウクライナ地域へ向かう列車に乗り込む予定だった。

キエフ郊外のイルピンを去る市民は、滑りやすい木の板で作られた仮設の橋を渡って避難することを余儀なくされた。ロシアの進撃を遅らせるために、ウクライナ側が数日前にキエフへのコンクリートの橋を爆破したためだ。

散発的に銃声が響く中、消防士が老人を一輪車に乗せて安全な場所まで送り届け、子供は兵士の手を握り、女性が冬服の中に猫を抱き、少しずつ歩いていた。窓ガラスを覆う埃の中に「我々のウクライナ」と書かれた事故車の横を、彼らは足早に通り過ぎていた。

ウクライナ国防軍のエウヘン・ヌィシチューク氏は「今は時間がない」と言う。「今は停戦でも、いつ砲弾が落ちてくるかわからない」。

過去数日間、安全な避難通路を確立しようとした試みは、ほとんど失敗していた。ウクライナ側がロシアによるものと指摘する攻撃のためだ。しかし、プーチン大統領はドイツ首相との電話会談で、過激なウクライナの民族主義者が避難を妨げていると非難した。

マリウポリでは、地元当局が過去2週間の戦闘による死者を、集団墓地に埋葬することを急いだ。市職員は、市内の古い墓地に長さ約25メートルの溝を掘り、じゅうたんや袋に包まれた遺体を横たえ、十字を切った。

ロシア軍が侵攻してからの2週間の戦闘で、全国で民間人と兵士を合わせて数千人が死亡したとみられる。国連は、200万人以上が国外に脱出したと推定しており、ヨーロッパでは第二次世界大戦後最大の難民の流出となった。

この戦闘で、廃炉となったチェルノブイリ原子力発電所の電力が停止し、冷却が必要な使用済み燃料への懸念が高まった。しかし、国連の核監視機関は、停電による「安全性への重大な影響はない」と発表した。

2022年3月8日、ウクライナ・ハリコフ。ロシアの砲撃で負傷した8歳の少年、ディマ・カシャノフ君が病院のベッドで治療を受けている。(ロイター/オレクサンダー・ラプシン)

ウクライナの抵抗が強くなり、ロシアの損失が予想以上に大きいことから、ロシア軍が都市への砲撃を強化し、危機はさらに悪化する可能性が高い。

前日のCIA長官の発言に倣い、英国防長官は、プーチン大統領が勢いを取り戻そうとしているため、ロシアの攻撃は「より残忍で、より無差別」になっていくと述べた

同省は、キエフの北西で戦闘が続いていると述べた。ハリコフ、チェルニーヒウ、スームィ、マリウポリの各都市は激しい砲撃を受けており、ロシア軍に包囲されたままである。

ウクライナ軍によると、ロシア軍は北部のチェルニーヒウ市の農場や住宅地の中に部隊を展開している。南部では、黒海に面した造船業の中心地である人口50万人のムィコラーイウ市に、私服姿のロシア軍が進撃しているという。

一方、ウクライナ軍は北部、南部、東部の各都市で防衛を強化している。キエフ周辺の部隊はロシアの攻勢に対して「防衛戦は守り続けている」と当局が発表している。

人口6万人の町イルピンでは、警察官や兵士が高齢の住民たちを自宅から助け出した。ある男性は壊れた建物から間に合わせの担架で持ち上げられ、別の男性はショッピングカートに乗せられキエフの方に向かった。逃げ惑う住民によると、過去4日間、電気も水もない状態だったという。

オレクシー・クレバ地域行政庁長官は、キエフとその周辺では市民の危機が深まっており、特に郊外は悲惨な状況であると述べた。

「ロシアはキエフ地方に人為的に人道的危機を作り出し、人々の避難を挫折させ、小さなコミュニティへの砲撃と爆撃を続けている」

アゾフ海に面した人口43万人のマリウポリは戦略上重要な都市であり、先週からロシア軍に包囲されており、状況はさらに悪化している。

住民を避難させ、緊急に必要とされている食糧、水、医薬品を届ける努力は、火曜日に失敗した。ロシアの攻撃が続いているためだとウクライナ側は述べている。

市は、水曜日、砲撃の小康状態の間に70人を急ぎ埋葬した。兵士もいたが、そのほとんどは一般市民であった。

作業は効率的に、儀式もなく行われた。弔問客はおらず、別れを告げる家族もいない。

ある女性は墓地の門の前に立ち、埋葬される人の中に自分の母親が含まれているかどうか尋ねた。そして、彼女の母親は、埋葬されていた。

AP

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