ドバイ:米国にはウィーンでの協議で2015年のイランとの核合意を復活させる合意に至る意志がなく、同国は協議で、「受け入れられない提案」を要求していると、イランのアリー・シャムハーニー国家安全保障最高評議会書記が10日、述べた。
イランの核プログラムを制限する見返りに対イラン制裁を解除した2015年の合意は、ウクライナ侵攻をめぐる欧米の制裁がイランとの貿易に影響しないと米国が書面で保証することをロシアが要求して新たな障害を突き付けるまでは、11ヵ月に及ぶ交渉を経て再建間近の状態だった。
シャムハーニー氏はツイッターに、米国が政治決断をしない中で、協議は「時間が経過するごとにより複雑になっている」と投稿した。
米国には「しっかりとした合意に至る意志がない」と、同氏は述べ、米国は「受け入れられない提案をしており、(さらに)偽りの口実で迅速な合意を要求している」と付け加えた。
同氏は、米国の提案については詳しく書かなかった。
ウィーンの交渉官らはまだいくつかの重要な問題に取り組もうとしていると、半公式通信社のタスニム通信は、匿名情報筋の話を引用して報じた。
米国のビクトリア・ヌーランド国務次官(政治担当)は8日、ロシアが核合意再建の取り組みに参加することで過度の利益を得ようとしていると非難した。
核合意の復活では、イラン政府によるミサイルと宇宙プログラムの追求を制限できないと、国家安全保障最高評議会とつながりがあるヌール通信は述べた。
イランは防衛力や地域政策について交渉する気はないと、ヌール通信はツイートで付け加えた。
イランのイスラム革命防衛隊は、2つ目の軍事衛星「ヌール2号」の軌道投入に成功したと、9日、国営メディアが報じた。
米軍は、衛星を軌道に投入するのに使われるのと同じ長距離弾道技術により、イラン政府はより長距離を射程にした兵器、可能性としては核弾頭ミサイルを含む兵器の発射も可能になると述べている。
イラン政府は、このような活動は弾道ミサイル開発の隠れ蓑だとする米国の主張を否定し、核兵器開発を追求したことは一度もないと述べている。
イランは中東で最大のミサイル開発プログラムの1つを抱えている。
仏、英、独の欧州の交渉官らは、できる限りのことは行い、未解決の問題での合意は米国とイラン次第になったと考えたことから、協議の場を一時的に離れた。
イランのアリ・バゲリ・カーニ首席交渉官は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相がロシア政府の新たな要求をまとめたことを受けて、突如テヘランに戻った。
イランの外相は当時、イラン政府は「外国勢力」には自国の利益を害させないと述べていた。
バゲリ・カーニ氏は9日、ウィーンに戻った。
ロイター