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ヒズボラに政治的混乱が起きている、と政治アナリスト

ナジーブ・ミカティ首相(右)とナビーフ・ビッリー議会議長の間に座るレバノンのミシェル・アウン大統領。2021年11月22日、ベイルート近郊のヤルゼで行われた第78回レバノン独立記念日の式典にて。(AFP)
ナジーブ・ミカティ首相(右)とナビーフ・ビッリー議会議長の間に座るレバノンのミシェル・アウン大統領。2021年11月22日、ベイルート近郊のヤルゼで行われた第78回レバノン独立記念日の式典にて。(AFP)
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25 Nov 2021 08:11:03 GMT9
25 Nov 2021 08:11:03 GMT9
  • シーア派の政党が10月12日以降、閣僚会議をボイコットしている
  • 爆発事故の調査を指揮する判事の権限が制限される可能性も

ナジャ・フーサリ

ベイルート:ヒズボラに政治的混乱が起きていることを、著述家で政治アナリストのサナ・アルジャク氏が水曜日に語った。タレク・ビタール判事を去年のベイルート港爆発事故の調査から解任させようという先般の要求に関し、ナビーフ・ビッリー議会議長が代表を務めるアマル運動とヒズボラの間で不調和があるという報道が出ている中でのことである。

ナジーブ・ミカティ首相の政権は、ビタール氏の解任を求める声にどのように対応するかを巡って行き詰まっていた。月曜の会議ではビッリー氏、ミカティ氏、ミシェル・アウン大統領の間にポジティブな雰囲気があったが、それが週の半ばまでに具体的な措置として結実することはなかった。

閣僚会議の再開に向けて提案されていた解決策に関し、ビッリー氏とヒズボラの間で不和があるという主張もあった。

同盟関係にある両者は10月12日以降、港爆発事故の調査の背景状況に反対し、会議をボイコットしている。しかも政府の混乱はジョージ・クルダヒ情報大臣のイエメン紛争に関する挑発的な発言で悪化している。

レバノン独立記念日の会議では、その後の情報によれば、「目立った問題の解決に向けて、柔軟性、積極性、開放性」が生み出されたという。

クルダヒ氏に関する解決策について、レベルの進んだ話し合いがあった。

また、首相が提示した解決策への理解をアウン氏が手助けすると約束したという報道もある。ただしバチカンへ訪問してフランシスコ教皇と会談し、レバノンを崩壊から救うという約束の実現に対する政府の真剣さを国際社会に伝えるための閣僚会議を招集するのが先だという。

出回っている情報によると、ヒズボラが要求しているビタール氏の解任については、同氏の権限を制限することが解決策になるという。

それによると、憲法の条文を尊重するため、被告人となっている政府関係者(閣僚や国会議員や前首相を含む)の調査をビタール氏に許可すべきではなく、大統領や閣僚の裁判のための最高評議会で、こうした政府関係者の裁判をすべきではないのだという。

この解決策では、ビタール氏を完全に解任するのではなく、行政高官の裁判の担当から外すことが求められている。

憲法の尊重はビッリー氏の要求であるとともに、他の政党からの要求でもある。特に、首相が司法の活動に干渉することを拒否すると繰り返しており、権力の分割を約束していることが理由である。

しかしこの解決策は、出回っている情報によれば、ビタール氏解任の要求を取り下げることを意味する。それはヒズボラが自分たちの大臣を閣僚会議に参加させる条件としてこだわっている点だ。

この展開で、ヒズボラとアマル運動の不和が起きているという主張が出てくることとになった。

ビッリー氏が代表を務めている議会連合「発展と自由化(Development and Liberation)」のメンバーであるモハメド・カワジャ議員に確認したところ、ビッリー議会議長は「危機が始まった当初から、政府が活動を再開できるよう、あらゆる努力をしており、司法関係のものなどの厄介な申し立てに対処していました。そのためには他の問題の出発点として、進路を修正する必要がありました。その最たるものは生活水準です。全市民が影響を受けており、貧困に陥ったレバノン人の大多数への圧力となっています」とのことだった。

カワジャ氏は次のように語った。「アマル運動とヒズボラの間に姿勢の違いがあるのは自然なことです。両者は1つの政党ではないので、国内の政治問題に関する見解や対処方法に関しては特にそうです。両政党は戦略的な事柄で合致し、互いに補い合っているのです。不和を大げさに言う必要はありません」

アルジャク氏は、この不和はヒズボラとビッリー氏の「役割の分担」だと言う。

同氏はアラブニュースに次のように語った。「ヒズボラはビタール氏を提訴から完全に解任することはできませんでした。そのためヒズボラは、ビタール氏を擁護している最高司法評議会の代表を失脚させようとしたのです。しかしどちらもできませんでした。ヒズボラはレバノンでは非常に強力ですが、全てをコントロールすることはできず、非力でさえあるということに気付くようになってきました。今やヒズボラは、ハルデ地域の部族と和解しようとしています。つまり、指導者の1人を殺害した件に関してです。もはやヒズボラは所持している有り余る力を利用できなくなっています。10万人の戦闘員がいるのだと豪語していましたが、それは強さではなく弱さの兆候なのです」

アルジャク氏は、ヒズボラの指導者であるガレブ・アブ・ザイナブ氏が先日の月曜日に政治的指導者たちを攻撃し、ザイナブ氏は党の見解を代表するものではない、とヒズボラが言わざるを得なくなった顛末について言及した。

「このことが、ヒズボラは全てを自分たちがコントロールできると思っていたが、有り余る力が役に立たないことに突然気付くに至ったことを示す証拠です。ヒズボラはこの地域のあちこちに介入していますが、それで何を得たのでしょう? 誰もがイランによる占領のことを口にしており、ヒズボラの特権は衰退してきています。ヒズボラは好かれるために人々を納得させる努力をしなくなり、人々に嫌われていることに突然気付いた独裁者のようになっています」

アルジャク氏は次のように付け加えた。「もはやヒズボラは今まで関与していたあらゆる場所から手を引く方法が分からなくなっているのです」

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