
エルサレム:パレスチナ人が将来の国家建設を望む占領地での建設を抑制する米国の圧力が再び加えられたにもかかわらず、入植推進派が10日に発表した数字によると、イスラエルのヨルダン川西岸地区で入植者の増加率が昨年増した。
この数字は、ドナルド・トランプ大統領在任中に始まった入植者の急増に減速の兆候がないことを示している。
トランプ氏は数十年にわたる米国の政策を覆し、戦争で奪った土地に対するイスラエルの主張に対して前例のない支援を行った。
ジョー・バイデン大統領の政権は以前の方策に回帰し、入植地の拡大が紛争解決の障害になると批判している。しかし、イスラエルは入植地の建設と拡大を続けており、大規模な道路計画によってさらに多くの入植者が占領地に入ることが予想されている。
WestBankJewishPopulationStats.comが公式の数字に基づいてまとめた統計によると、入植者の人口は1月30日時点で49万493人となり、13か月間で約3・2%増加したことが明らかになった。この団体が統計をまとめ始めた2017年以降、入植者の人口は16・5%増加したという。
一方、イスラエル全体の年間人口増加率は1・7%程度となっている。同団体によると、トランプ政権最後の年で、コロナウイルスによるロックダウンが繰り返された2020年には、ヨルダン川西岸地区の入植者の人口が2・6%増加したという。
同団体のCEO、バルク・ゴードン氏は、同氏が属するベイト・エルというコミュニティも含め、パレスチナ自治政府の本部があるヨルダン川西岸地区の都市ラマッラーのすぐ郊外では「途方もない数の建設が進んでいる」と話した。
ゴードン氏は、「現在、350戸が建設中で、おそらく1年か1年半のうちに完成するだろう。そうなれば我々の町の面積は25%ほど増えることになる」と述べた。
入植者は若く、宗教的な傾向がある。また、平均出生率も高い。多くのイスラエル人は、国が補助金を出す高品質な入植地の生活に魅力を感じている。
入植地は郊外や小さな町に似ており、人口過密でますます手が届かなくなっているイスラエルの都市部よりも住宅価格が安い。新型コロナの感染拡大によって入植はさらに魅力的になった可能性がある。
ゴードン氏は、「米国でマンハッタンから郊外に移住した人たちが、もっと広々とした場所に住めることに気づいたように、同じことがイスラエルでも起こっている」と話した。
同氏の数字は、イスラエルが国際的に認められていない方法で併合し、現在20万人以上のユダヤ人入植者が暮らす東エルサレムを含んでいない。ヨルダン川西岸地区と東エルサレムには合わせて約300万人のパレスチナ人が住んでいる。
イスラエルは1967年の中東戦争で、ガザ地区とともに両地域を占領した。
パレスチナ人は入植地の拡大が和平への主な障害と考えている。なぜなら、入植地はパレスチナ人コミュニティをパレスチナ人の土地から切り離して分断し、存続可能な国家の樹立をほぼ不可能にしてしまうからだ。入植地はすべてのイスラエル政権下で拡大してきた。和平プロセスの最盛期だった1990年代でさえ例外ではない。
この10年以上、真剣な和平交渉は行われておらず、イスラエルのナフタリ・ベネット現首相は元入植者の指導者で、パレスチナ国家の樹立に反対していた。
イスラエルの政治体制は、ヨルダン川西岸地区をユダヤ人の聖書的・歴史的中心地と考える入植支持政党が中心となっている。
国際社会は依然として二国家解決を100年来の紛争を解決する唯一の現実的な方法と考えているが、60年以上にわたって続くイスラエルによる占領を終わらせる動機を与えていない。
AP通信