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イスラエルの「人種差別的」な結婚法にアラブ人が憤慨

占領下のヨルダン川西岸地区ベツレヘム旧市街にある市場で買い物をするパレスチナ人。(資料写真/AFP通信)
占領下のヨルダン川西岸地区ベツレヘム旧市街にある市場で買い物をするパレスチナ人。(資料写真/AFP通信)
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12 Mar 2022 08:03:32 GMT9
12 Mar 2022 08:03:32 GMT9
  • パレスチナ人蜂起の際に初めて制定されたこの法律は、安全保障のために必要だとイスラエルは主張している

ダウド・クタブ

アンマン:イスラエルは、占領下のヨルダン川西岸地区やガザ地区出身のパレスチナ人配偶者に対してイスラエル国民が市民権や居住権ですら拡大適用することを禁じる2003年制定の臨時法を延長した。

クネセト(イスラエルの国会)は第2読会と第3読会で投票を実施し、市民権法を45対15で可決した。この法律では、配偶者の一方がイスラエル国民であっても、家族の再統合を不可能に近い状態にするものだ。

批評家たちは、この法律をイスラエルでユダヤ人が多数を占めている状態を維持することを目的とした人種差別的な措置とみなしている。この法律はパレスチナ人を差別しており、ヨルダン川西岸地区に住むユダヤ人入植者はすでにイスラエル国籍を持っているため、この法律の適用を受けない。

クネセトは昨年夏、連立政権の左派議員やアラブ系議員の支持を得られず、この法律の可決に失敗した。

ハイファに拠点を置くモサワセンターは、この法律はイスラエルに住むパレスチナ人の権利を差別するものだと指摘した。

モサワセンターのジャファル・ファラ所長はアラブニュースの取材に対し、この法律は何千もの家族に苦痛を与え続けるだろうと語った。

ファラ氏は、「ユダヤ人入植者の家族がグリーンラインのどちら側にも自由に移動して住むことができる一方、この法律がヨルダン川西岸地区やガザ地区の住民と結婚したアラブ系イスラエル国民に対して差別的なものであることを想像してほしい」と述べた。

ハモクド個人防衛センター(HaMoked Center for the Defense of the Individual)の事務局長を務めるジェシカ・モンテル氏は、この法律についてイスラエルの高等裁判所に申し立てを行うことを計画している。

モンテル氏はアラブニュースに対し、パレスチナ人家族の統合の禁止がクネセトで再可決されたことは、平等と基本的権利にとって悲しい日だと語った。

モンテル氏は、「安全保障上の懸念を装い、この法律は人口統計学的な行動計画を推進するものだ。特に東エルサレムに住むパレスチナ人に深刻な影響を与える」と述べた。

毎年の再承認が必要なこの法律は、レバノンやイラクを含む「敵国」の国民との結婚も禁じている。しかし、この法律は適用される配偶者の数が膨大なパレスチナ人を標的にしていると広く考えられている。

新しい法律には、この法律が「イスラエルでユダヤ人が多数を占めている状態を維持するため」であると宣言する条項さえあり、「例外的な人道的ケース」に対して承認される市民権の許可数に上限が設定されている。

この法律はまた、イスラエル人と結婚したパレスチナ人が配偶者のイスラエル人と一緒に旅行していることが発覚した場合、イスラエル内相にスパイ行為やテロ行為でパレスチナ人を告発する権限を与えている。

パレスチナの交渉団の元法律顧問で、ハイファに拠点を置くダイアナ・ブット氏はアラブニュースに対し、この法律が承認された理由は人種差別にあると語った。

ブット氏は、「この法律はパレスチナ人が愛する人たちと普通の生活を送ることを禁じ、イスラエルに住むパレスチナ人をアラブ世界からさらに孤立させることを意図している」と述べた。

ハーバート・ケルマン紛争転換研究所(Herbert Kelman Institute for Conflict Transformation)の中東プログラムディレクターを務めるオフェル・ザルズベルグ氏はアラブニュースに対し、この禁止令の本質はイスラエルが安全保障上の論拠に依存していることから生まれていると述べた。

ザルズベルグ氏は、「この禁止令はイスラエルに移民政策が存在しないことを明確に示している。移民政策は、結婚を目指すカップルの権利とイスラエルの国民性との間のバランスを追求することができる」と述べた。

ナザレスに拠点を置く弁護士のボトルス・マンスール氏はアラブニュースに対し、政権が変わり連立政権にアラブ系政党が加わったにもかかわらず、パレスチナ人に対する排他的・差別的な方策が続いていると語った。

マンスール氏は、「この法律はイスラエルをユダヤ人の国として維持し、人口統計学上の課題に取り組みたいという衝動から生まれている。また、ウクライナからの難民を前にして、ユダヤ人でなければ門戸を閉ざすというイスラエルの姿勢と一致している」と述べた。

パレスチナ人ブロガーで活動家のリマ・ナジャール氏はアラブニュースに対し、この法律は、ユダヤ人国家であると同時に民主主義国家であるというイスラエルの虚構をあらわにするものだと語った。

ナジャール氏は、「シオニスト国家のユダヤ人至上主義が人種差別とアパルトヘイトの体制における通常の政治で根絶されることは決してない。必要なのは革新的な道だ」と述べた。

ワシントンDCのアラブセンター非滞在上級研究員、ユセフ・ムナイヤー氏はアラブニュースに対し、あからさまな人種差別的法律の再制定は、「アパルトヘイト政策を非難してきたすべての人権団体は絶対的に正しかった」というイスラエルから世界に向けてのメッセージだと語った。

しかし、一部のイスラエルの議員はこの法律を正当化しようした。

イェシュ・アティド党のクネセト議員、ラム・ベン・バラク氏は、「私は重苦しい気分で、喜びもなくこの法律を通過させる。この法律が不要になるような状況に持っていきたい。しかし、現在の安全保障の現実では、我々は自分自身を守ることしかできない」と述べた。

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