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国連事務総長 「国連とアラブ連盟の協力は、地域の危機に取り組むために不可欠」

アラブ連盟のアハマド・アブルゲイト事務局長と国連のアントニオ・グテーレス事務総長。(国連・写真)
アラブ連盟のアハマド・アブルゲイト事務局長と国連のアントニオ・グテーレス事務総長。(国連・写真)
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24 Mar 2022 04:03:00 GMT9
24 Mar 2022 04:03:00 GMT9
  • 安保理は、シリアとイエメンの人道危機、およびアラブ世界全体の幅広い課題に対処する取り組みにおける関係強化のメリットについて協議した
  • アラブ連盟事務総長は、国際社会は長期にわたる紛争を積極的に解決しようとせず、「単に管理」してきただけであると語った

エフレム・コサイファイ

ニューヨーク:アントニオ・グテーレス国連事務総長は水曜日、国連とアラブ連盟は、アラブ世界が直面する「連鎖的」な課題に対する多国間における解決策の追求において、引き続き結束していると述べた。

グテーレス氏は、多国間主義を強化するためには、両機関のより強力な協力が不可欠であると付け加えた。レバノン、エジプト、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンなど多くのアラブ諸国は、必要とする小麦の少なくとも半分をウクライナやロシアから輸入しており、ウクライナでの戦争とその世界中への深刻な影響は、そうした協力の必要性をより一層明らかにしていると指摘した。

2月24日に戦争が始まって以来、供給が途絶えたことで食糧や燃料の価格が高騰している。「それは、最も貧しい人々を最も苦しめ、世界中で政情不安や不穏の種をまいている」と同氏は語った。

発言は、国連安全保障理事会の閣僚級会合で行われた。会合は、3月の理事会議長国であるUAEが招集したものである。紛争予防、外交、平和維持、平和構築などの分野における国連とアラブ連盟のパートナーシップの改善と協力の強化・制度化、そして、地域および国際的な平和と安全の維持に向けた努力における、女性や若者の役割の促進について話し合うためのものであった。

会議では、UAEのハリファ・シャヒーン・アル・マール外務・国際協力大臣が議長を務めた。

グテーレス氏は、中東の紛争や危機に関する国連とアラブ連盟の既存の協力関係を強調した。また、2020年10月の停戦合意以来、リビアの統一と「苦労して勝ち取った」安定を守るための努力にアラブ連盟が「建設的に関与」していることを歓迎した。そして引き続き、同国の包括的な政治プロセスに関する合意の形成に関する取り組みを優先させることを期待と述べた。

グテーレス氏はまた、「大規模かつ組織的な人権侵害にさらされ、国を荒廃させた戦争が11年目に突入し、世界から見捨てられたと感じている」シリアの人々への支援で、両組織が固く結ばれていると述べた。

彼は、シリアの行き詰まりを打破し、そこにいる人々の苦しみを軽減する唯一の方法は、安保理決議の実施を含む「信頼できる」政治プロセスにあると繰り返した。

グテーレス氏はレバノン情勢について、アラブ連盟が同国当局に対し、意義ある改革、適切な時期の選挙の実行、IMFとの建設的な関与、適用される安保理決議の完全履行を含むプロセスを通じて危機に取り組むよう求めたことに、国連は感謝していると述べた。

また、昨年10月に行われたイラクの議会選挙を監視するミッションなど、イラク政府メンバーとアラブ連盟との間の戦略的協力が強化されていることを歓迎した。

地域協力の強化は、イエメンにおいても重要であるとグテーレス氏は述べた。「停戦に合意し、緊張を和らげ、包括的な政治プロセスを進める努力が必要だ。そうでなければ、絶え間ない敵対行為により、すでに悲惨な人道的状況がさらに悪化し、和平への希望が薄れる恐れがある」

彼は、最近行われたイエメン向けの緊急支援プログラムでは、結果として同国の人道的危機に対処するために必要な資金の3分の1以下しか調達できなかったことに対する失望を表明した。

「イエメンの人々が直面している苦しみの深刻さは、いくら強調してもし過ぎることはない」とグテーレス氏は述べた。「この重要な時期に、アラブ連盟のメンバーの寛大さに訴える」

今回の会合で、安保理はUAEが起草した議長声明を採択し、国連とアラブ連盟の緊密な協力を歓迎した。同時に、中東・北アフリカ地域における海上安全と防衛、テロ対策、国際法の尊重、貧困撲滅、水の確保、砂漠化・干ばつ管理など、多くの分野で協力を強化する考えをあらためて表明した。

また、声明では、MENA地域における紛争の予防と解決など、国際的な平和と安全を維持するための取り組みにおいて、若者層の役割を確認した。

アラブ連盟のアハマド・アブルゲイト事務局長は、ウクライナでの戦争の結果、国際秩序が再び「最も深刻」な、重要な岐路に立たされていると警告した。

「嘆かわしい状況である」と彼は述べ、国際社会が国連憲章と原則に沿って、すべての関係者の安全要求を尊重しつつ、流血を終わらせるために努力することに期待を表明した。

ただし、ウクライナ情勢により、安保理が他の危機に集中する能力に影響を与えないことを望む、とも述べた。

アブルゲイト氏は、「アラブ世界の危機を忘れてはならない」と語った。「これらの危機が自然に解決することはない」

ウクライナ紛争は、例えばパレスチナ人の継続的な苦しみに関する新しい視点を提供すると述べ、国際秩序が「二重規範に基づいてはならない」と強調した。

アブルゲイト事務局長は、シリアにおける政治的行き詰まりと、何百万人ものシリア人に波及する影響を嘆いた。また、リビアから外国の民兵や戦闘員を撤退させるよう求め、こうした介入が北アフリカの国で民主的な選挙を行うための努力を複雑にしていると述べた。

イエメンでは、フーシ派が政治的解決に向けた取り組みへの関与を拒否し、無人機や弾道ミサイルを用いた攻撃でサウジアラビアとUAEを脅かし続けていると指摘した。彼は、イランが支援するフーシ派に対する制裁を拡大し、彼らを初めて「テロリスト」と分類した最近の安保理決議2624の採択を改めて歓迎した。

また、イランによる地域への破壊的な介入は続いており、そのミサイル計画は「アラブ連盟の正当な懸念事項」であると述べた。アラブ連盟は、イランが地域や国際問題への干渉を終わらせた暁には、同国との良好な関係を求めているとしているが、「この目標はまだ手の届くところにない」とも述べた。

UAEのアルマール国務相は、安保理の議題のほとんどがアラブの問題であることから、この水曜日の会合は特に重要であると述べた。

「国際社会がこれらの危機を解決するのではなく、単に管理してきた結果、これらの問題のいくつかは何十年も安保理の議題となっている」と、アルマール氏は述べた。

「現在進行中のイスラエル・パレスチナ紛争や、シリア、イエメン、イラク、リビア、レバノン、スーダン、ソマリアにおけるその他の危機は、この地域に高い経済的・人道的損害を与えている」

同氏は、国境を越え、国際的な次元に達しているこれらのアラブの危機は、地域と国際レベルの両方で対処する努力を必要としていると述べた。

「アラブ連盟は1945年の設立以来77年の長い歴史を持っている」と彼は述べた。「また、連盟は地域の課題や加盟国の関心事に深い知識を持っており、国際的な平和と安全の維持という、安保理の中核的な任務の遂行を支援する上で主導的な役割を果たすことが可能である」

アルマール氏は、国連とアラブ連盟の関係の制度化を含め、両機関の協力関係を強化するよう呼びかけた。

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