
エルサレム:イスラエルの一国会議員が6日、宗教的問題を巡って、過半数を僅かに上回っていた政権与党連合を抜けたことで、脆弱な同連合は保有していた過半数の議席を失い、混沌とした状況に陥った。
平議員であるイディット・シルマン氏が辞任したことで、政権樹立後、1年も経ない内に再び議会選挙が実施される可能性が出てきた。ナフタリ・ベネット首相率いる政府は依然として権力の座を維持しているものの、全120議席のイスラエル国会において現在頓挫し、今後、機能を十分に果たすことが難しくなりそうだ。
イスラエル公共放送・KANの報道によると、ベネット首相を党首とする宗教的右派政党「ヤミナ」出身のシルマン氏は、「過越の祭」中に発酵パンを含む食糧を公立病院に配布することについて、宗教的伝統に反するとして反対していた。
ベネット氏をトップとする政権与党連合はイスラム教徒から強硬派の右派やハト派のリベラルに至るまで、8政党から成っており、ベンヤミン・ネタニヤフ前首相への反対という一点において団結している。この与党連合の国会における保有議席が現在、60議席となったのだ。
イスラエル国会は現在閉会中で、野党側が不信任投票を行い、たった3年余りの期間で5回目の議会選挙を行うのに十分な支持を得られるかは不透明なままだ。
KANによると、シルマン氏は「イスラエルのユダヤ教国家としての国格や、イスラエル国民を毀損することに手を貸すことはできない」とし、右派政府を形成することに注力していくと述べたという。
イスラエルは、汚職事件の裁判にかけられていたネタニヤフ当時首相による統治の適格性を巡り長引いていた政治危機の中、2年間で4度の選挙を実施した。選挙の膠着状態が解かれたのは昨年6月、ベネット氏とその協力者らが、本来あり得そうもない連合をなんとか形成し、12年間執権していたネタニヤフ氏を退陣に追い込んだ時だった。
現在野党の党首を務めるネタニヤフ氏はシルマン氏に祝意を表し、「右派陣営に戻られた彼女を歓迎します」とした。
AP