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パレスチナ人は時代を超えた伝統的なラマダンの儀式を行う

ガザ市、シュジャイヤ地区で断食前に温かい小麦スープとお粥を受け取る人々。(AP)
ガザ市、シュジャイヤ地区で断食前に温かい小麦スープとお粥を受け取る人々。(AP)
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08 Apr 2022 04:04:11 GMT9
08 Apr 2022 04:04:11 GMT9
  • 物価上昇と政治的緊張の中、イフタール砲、アル・ムサハラティ、アル・アクサでの礼拝、タカヤ、ピクルス屋台、家族の集まりが再開

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:パレスチナ自治区のラマダンには、特徴的な独特の儀式と雰囲気がある。

ヨルダン川西岸地区と東エルサレムには300万人のパレスチナ人が住んでいる。ラマダン中には、モスク――特にアル・アクサ・モスク――での礼拝、親族への訪問や家族の集まり、サウジアラビアのメッカへの小巡礼(ウムラ)、貧しく、助けを必要としている家庭への施しなどが行われる。

今年のラマダンは、過去3年間、この聖なる月の雰囲気と儀式に影を落としていた新型コロナウイルスによる規制と制限から解放されて初めて迎えるものである。

ラマダンを家族と過ごすことは依然として重要であり、この断食月ではイフタールの食事を囲む。

エルサレム市が占領され、イスラエルが支配しているにもかかわらず、アル・アクサ・モスクのラマダン・イフタール砲の習慣は続いている。これは毎晩発射され、一日の断食の終わりとラマダンの夕食の開始を大砲の音で示している。

ラマダンの間、人々はカタイエフと呼ばれるお菓子をたくさん消費する。ジュース、タマリンド、アーモンド、甘草とキャロブの売り手は、ピクルスの売り手と同様に多く集まる。一方、レストランでは断食明けの人のためにラマダンのディナーも提供される。

断食月中は、低所得者層向けに温かいイフタールを提供するため、喜捨の習慣「タカヤ(Takaya)」、はより重要な意味を持つ。

ラマッラーなどの大都市では自治体が、ラマッラー最大の最も重要な広場でラマダンのランタンを点灯する。この儀式には通常、知事、市長、地元のコミュニティのリーダーや市民の多くの群衆が参加する。しかし、ラマダン初日の4月2日にイスラエル人が3人の若者を暗殺したことで、ヨルダン川西岸に悲しみと怒りが広がっており、今年はランタンの点灯を祝う雰囲気にはなっていない。

ラマッラー市当局は声明でこう述べた。「ラマッラー中心部の時計広場でのランタン点灯は、殉教者へ敬意を示し、彼らの魂を弔うため、イベントは行わずに実施する」

携帯端末でアラームは設定できるとはいえ、パレスチナ自治区の大部分ではアル・ムサハラティの習慣は続いている。若者たちが太鼓を打ち鳴らし、ラマダンの歌を歌いながら近所を回り、スフールの食事のために人々を目覚めさせる。ラマダン終了の2~3日前、若者たちは自分が住んでいた地域の家を訪ね、ラマダン中の努力への感謝として、人々から贈り物を受け取る。

ラマダン中の礼拝は不可欠で、特にアル・アクサ・モスクでは、「タラーウィーフ」と呼ばれる夜遅くの祈りのために礼拝を行う。ラマダンのイフタールを食べた1時間後に、男女がモスクで礼拝を行い、中には礼拝の様子をラウドスピーカーで放送しているところもあるという。

パレスチナ人は、アル・アクサ・モスクで礼拝を行うことを熱望している。彼らの最大の熱望は、ラマダン中の金曜日に礼拝を行うことである。何千人もの男女が、モスクでこの礼拝を行うためにヨルダン川西岸一帯から集まってくる。パレスチナ自治区の治安が悪化しているため、それを理由にイスラエル当局がアル・アクサへのアクセスに制限を設けるかどうかは不明である。

ラマダン期間中に東エルサレムやアル・アクサ・モスクを頻繁に訪れる西岸地区のパレスチナ人は、旧市街の市場で買い物をすることで旧市街の経済を活性化させている。これらの店のオーナーは、一年中この季節を待ち続けているのだ。

新型コロナウイルスの流行により、3年近くウムラの実行を停止していたが、ヨルダン川西岸地区とガザ地区からメッカ・アル・ムカッラマとアル・メディナ・アル・ムナワラへのウムラ旅行が再開された。ウムラの登録オフィスでは、特にラマダンに予定されているウムラについて、良好な出足が見られている。

ヨルダン川西岸にある巡礼を取り扱う旅行代理店のオーナー、サメ・ジュバラ氏はアラブニュースに対し、パレスチナ人は2年半の制限後の今年、ラマダンでウムラを行うことを望んでいると述べた。それでも、282ドルから493ドルへと上昇した費用の大幅な増加により、需要は新型コロナウイルス以前ほどの激しさはない。ラマダン中にウムラを行うために登録した人の数は、今年は6000人に達したが、例年は最大で2万人だったと彼は言う。

「ウムラの費用が大幅に上がったことで、この宗教的礼拝の登録に多くの人が消極的になっている」とジャバラ氏は語っている。

アラブニュース

放送メディアや印刷メディアはラマダン期間中、断食中の人々へのアドバイスに多くのスペースを割き、礼拝行為を行い、家族を訪問し、貧しい人々に寄付するよう促す。著名な聖職者の中には、Facebook、YouTube、Instagramなどのソーシャルメディアを使い、信奉者に宗教上の指示を伝えるようになった人もいる。

ラマッラー地区で説教と宗教的指導を行う最も著名なイマームの一人であるタリブ・アル・シルワディ師はアラブニュースに対し次のように語った。「説教や精神的指導において、断食中の人々には『自分の行動に注意を払い、それをイスラムの教えと結びつけるよう』指示し、『ラマダン中の礼拝に対する二倍の恵み』を人々に思い出させている」

アル・シルワディ師は、新型コロナウイルスの制限と規制が過去3年間のラマダンに影を落としていると述べた。しかし、パレスチナの人々は、イスラエルの占領により、苦しみに慣れていた。「パレスチナの人々は、コロナウイルスの前にも、間にも、後にも存在するイスラエルの占領による最大かつ最も深刻な苦しみのなかで生きており、それに慣れている」

アル・シルワディ師は、ロシア・ウクライナ戦争がパレスチナの人々に与えた影響について、「パレスチナ自治区のラマダン開始と同時に起こった前代未聞の物価上昇の波」という観点から語っている。

ヨルダン川西岸とガザ地区のイスラム教徒にとって、ラマダン期間中のアル・アクサ・モスクへの訪問と礼拝を試みることは不可欠であった。しかし、イスラエル当局は、60歳以上の人しかアル・アクサへのアクセスを許可しない可能性がある。「ラマダン中にアル・アクサで祈ることは不可欠である。そのような決定を放置しないことだ」と彼は語った。

アル・シルワディ師は、40~50年前のパレスチナ自治区で行われていたラマダンの雰囲気を思い出し、当時は社会と家族の関係が密接で、人々の間にもっと協力があった、と述べた。

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