
モハメド・ナジブ
ラマッラー:軍がナフタリ・ベネット首相による「攻撃」の呼びかけに応じる中、日曜にイスラエル兵がパレスチナ人女性2名を射殺した。
最初の犠牲者は、ヨルダン川西岸地区ベツレヘムの西にある町フサンの武器を持たない45歳のパレスチナ人女性だった。
目撃者によると、フサンの東の入り口にある検問所にいたイスラエル兵が、6人の子を持つ未亡人のガディール・サバティンさんを撃ったという。
彼女は1人の兵士に止まるよう求められた後に道路を渡ったと伝えられている。彼女は兵士らに何の危険ももたらさなかったと言われているが、兵士の1人が彼女を2度撃った。イスラエル軍はサバティンさんが「不審な挙動で」兵士らに近付いたと述べた。軍はのちに、彼女が武器を持っていなかったと認める声明を出した。
パレスチナ側からの情報では、数年前に片目を失明して視力に障害があったサバティンさんは、フサンにある親戚の家を訪ねる途中で占領軍によって残酷に殺害されたという。兵士らはこの地域でパレスチナ人らを拘束し、調査していたとのこと。
軍は彼女の体に近付くことを禁じており、パレスチナ人らが彼女を病院に運ぶことは許されなかった。彼女は出血多量で死亡した。
2人目の犠牲者は占領下のヨルダン川西岸地区にあるヘブロンでイスラエル兵に殺害された。
身元が分かっていないこの女性は、街の旧市街にある検問所でイスラエルの警察官を刺したとされており、その後イブラヒムモスク付近で撃たれた。
ラマダン期間におけるこの直近のイスラエルによる暴力のエピソードは、緊張を激化させ、パレスチナの政治指導者らの怒りの反応を引き起こしている。
パレスチナ自治政府の報道官は、「堕落して危機に瀕する破綻した政府への過激派の支持を得るためにパレスチナ人の血を利用している」とベネット政権を非難した。
これらの殺害はベネット氏が、エルサレムでのパレスチナ人テロリストによる攻撃に対抗するためにイスラエルは攻撃モードに転じた、と述べた直後に行われた。
閣僚会議の後、ベネット氏は「攻撃に直接もしくは間接的に関与した者全員に報復する」と宣言した。
また同氏は、イスラエル国防軍および他の治安部隊は過激派との闘いに制約を受けないようにするために取り組んでいるとも述べた。
パレスチナ自治政府のイブラフム・メルヘム報道官はアラブニュースに対し、サバティンさんの殺害は「占領軍兵士の殺人を礼賛する本性を反映する計画殺人であり、嫌疑だけによってパレスチナ人を殺害することを認めたナフタリ・ベネットの命令によるものだ」と述べた。
同報道官は、イスラエルが攻撃態勢に転じたと述べたベネット氏の声明を強く非難した。
メルヘム氏はさらに次のように述べた。「ベネットは攻撃的な方針に転じるためにロシアと戦っていると考えているのだろうか。彼が攻撃しているのは無防備なパレスチナの人々だ」
「いつイスラエル軍がパレスチナ人を攻撃する姿勢を見せていなかったというのか。パレスチナ人が彼らの土地を占領しているのか、それともイスラエルのほうがパレスチナの人々の土地を占領しているのか」
パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は「イスラエル国防軍がベツレヘムで犯した凶悪な犯罪」を非難し、「結果についての全責任がイスラエル政府にある」とした。
パレスチナ解放機構執行委員会メンバーのフセイン・シェイフ氏は、「イスラエル首相から軍への制約なしでの活動とヨルダン川西岸地区への展開の指示は、殺人と虐待への誘いだ」とTwitterで述べた。
同氏は「国際社会にあらゆる機関を使ってこの無法状態を制御し、止めさせるために圧力をかける」ことを要請した。
ハマスのハゼム・カセム報道官は、サバティンさんの殺害は「我々の民衆に対する占領軍のテロリスト的ふるまいが真に具現化されたものだ」と述べた。
また、この犯罪は「あらゆる人類の法および規範の完全なる無視を裏付けるものであり、人間の最低の堕落を体現する占領軍の醜悪な人種差別主義者の顔を露呈するものだ」と語った。
「これら全ての犯罪によっても、解放と帰還という我々の同胞の目標が達成されるまでは、犯罪的な占領に対する我々の同胞の正当な闘争を止めることはできない」とカセム氏は述べた。