
ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノン北部の都市トリポリで日曜日、軍に追跡されていたボートが転覆して海岸沖に沈没し、生存者を治療する病院の前に興奮した群衆が集まり、緊張が高まった。
生後18カ月の女児タリーン・アル・ハムウィちゃんと女性2人を含む6人が死亡した。
日曜日の朝の時点の生存者は45人で、10人以上が行方不明のままである。
約60人がカラムーンとハリシャの間の地域からボートに乗り込んでいた。この海岸は厳しい警備管理の対象ではないため、密入国に利用されることが多い。
ボートはキプロスに向かい、その後ヨーロッパ本土に向かう予定だった。
レバノンのナジーブ・ミカティ首相は月曜日、国家的に喪に服すと発表した。
サアド・ハリーリ前首相は「状況を明らかにし、責任を確定させる迅速な調査」を求め、「そうでなければ、我々には言うべきことがある」と述べた。
ハリーリ前首相は、「レバノン市民が国家の地獄から逃れるために死のボートに頼らざるを得ない状況にあるのであれば、それは我々が堕落した状態にあることを意味する。トリポリは今日、犠牲者を通じてこの堕落を発表する。死のボートの犠牲者の証言は危険であり、我々は(これらの証言を)トリポリの海に葬ることを許さない」とツイートした。
犠牲者の家族は行方不明者の安否を知るために海岸に向かった。彼らの怒りの矛先はレバノン軍にも向けられた。
トリポリのジャーナリストであるガッサン・リフィ氏はアラブニュースに対し、そのボートの下の船室には女性や子供が隠れており、船と一緒に沈んだ可能性もあると語った。
海軍司令官のハイサム・ダンナウィ大佐は、このボートの船長が逃げようとして、ボートを海軍の巡洋艦に衝突させたと非難している。
この不運なボートは1974年に作られたものだという。
長さ10メートル、幅3メートルと小さく、積載可能人数はわずか10人だった、安全対策が不十分であったと、ダンナウィ大佐は記者会見で述べた。
「岸から数マイル離れた領海内でボートを追ったパトロール隊は、状況が安全ではなくボートを止めなければ領海外で沈没してしまうため、戻るように説得しようとしました」とダンナウィ大佐は語った。
海軍による武器の使用はなかったという。
「ボートは過重のためすぐに沈没しました。近くに我が軍がいなければ、犠牲者の数はもっと多かったでしょう」。
ボートは積載可能な重量の15倍を載せており、海軍は技術的にも、基準に照らし合わせても、いかなるミスも犯していない、とダンナウィ大佐は語った。
「我々は軍隊の指導者として全責任を負っており、暴言があった場合には、その責任者を拘束します」と語った。
トリポリ港で、ミカティ首相が委任したヘクトル・ハジャル社会大臣が記者発表を終了しようとしたところ、遺族が阻止したため、兵士と遺族の間で紛争が発生した。
犠牲者の葬儀の最中、遺族は参列したダンナウィ大佐や他の当局者に侮辱の言葉を浴びせ、アル・クバ地区では激しい銃撃戦が繰り広げられた。
トリポリでは、街頭で「大幅な拡大を宣言」 すべきだという声が高まる中、怒りに満ちた抗議者たちが軍の医療センターを破壊した。
生存者の一人である20代の青年は、土曜日の深夜に、濡れて震えながら「警備巡洋艦が追いかけてきて、乗っていた警官が私たちを葬ってやると言ったのです。そして、ボートの真ん中と横から、沈むまで突っ込んできました」と語った。
治安当局は、犠牲者の数が増える可能性があることを示唆した。
この悲劇的な事件は、軍が北部のアリダ国境地点で、女性や子供を含む20人のシリア人を乗せたを捕獲し、不法移民活動を阻止した1週間後に起こった。
「密航業者は移民から何千ドルも得ている。土曜日の事件では、一人あたり少なくとも2千ドルが支払われている」とリフィ氏は語った。
レバノン軍指導総局によると、昨年、軍は707人を乗せたボート21隻を阻止した。
2020年、軍は126人を乗せたボート4隻を阻止した。