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「ロシアはNATOと戦争状態にあるとは考えていないが、NATOはそう考えている」ラブロフ外相

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02 May 2022 01:05:11 GMT9
02 May 2022 01:05:11 GMT9
  • ロシアの外務大臣がタラール・アル・ハジ国連本部長による独占インタビューで発言 
  • 人道回廊の問題は「ウクライナの超国家主義者によって無視されていること」だとラブロフ外相は語る 

アラブニュース

ドバイ:ロシアは自国がNATOと戦争状態にあるとは考えていないが、NATOはそう考えている、とロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はアル=アラビーヤの独占インタビューで語った。

ラブロフ外相は、アントニオ・グテーレス国連事務総長が提案した人道支援と民間人の避難を一蹴し、次のように述べた。「人道回廊を開設するために誰かが援助を提供する必要はありません。一つだけ問題があります……人道回廊がウクライナの超国家主義者に無視されているのです。

「私たちは事務総長が役に立ちたいと関心をお寄せくださったことに感謝しております……人道回廊がどのように発表されるかを監視する仕組みがどうなっているのかについて、(私たちは)説明しました」

一連の爆発がモルドバの国境地帯を襲った後、モルドバに戦争が広がるリスクについて問われたラブロフ外相は、「モルドバは自国の将来を心配すべきです……モルドバはNATOに引き込まれているのですから」と述べた。

ラブロフ外相は、金曜の夜に放送されたアル=アラビーヤ ニュースネットワークのニューヨーク/国連本部長であるタラール・アル・ハジ氏との1時間に及ぶインタビューで、3ヶ月目に入ったウクライナ紛争について、ロシア政府の見解を語った。この紛争ではすでに双方で兵士だけでなく民間人も数万人の命が奪われている。

「残念ながらNATOは、自分たちがロシアと戦争していると考えているようです」とラブロフ外相は語った。「NATOとEUの指導者たちの多くは、イギリス、アメリカ、ポーランド、フランス、ドイツ、そしてもちろんEUの首席外交官ジョセップ・ボレル氏も、はっきりと、公に、そして一貫して、 『プーチンは失敗しなければならない、ロシアは敗北しなければならない』と言っています。敗北という言葉を使うのは、その相手と戦争しているときではないでしょうか」

ロシア政府は、ウクライナにおける 「特別軍事作戦」 はロシアの安全と東部ドンバス地域のロシア語を話す人びとの安全を守るためのものだと述べている。西側諸国は、ロシアが主権国家を侵略して戦争犯罪を犯していると非難している。

2月24日の侵攻開始以来、アメリカ、イギリス、EUは1,000人以上のロシアの個人、企業、富裕層の実業家に制裁を加え、アメリカはロシアの石油とガスの輸入を全面的に禁止している。

このような金融制裁は、ロシア経済に打撃を与え、ウラジーミル・プーチン大統領と高官たち、そしてその恩恵を享受してきた人々にペナルティを与えることを目的としている。

ラブロフ外相は「私が今理解している限りでは、常にロシア恐怖症であった西側の素顔を最終的に明らかにした今回の暴挙と制裁の波によって、ロシアが降伏して許しを請うと信じているのであれば、その計画立案者たちはかなりお粗末であり、もちろんロシアの外交政策について何も知らず、ロシアとの付き合い方を何も知らないのです」と述べた。

この紛争により、NATO加盟国と同盟国はウクライナに数十億ドルの軍事支援を約束した。ウクライナ軍に供給されている兵器システムには、地対空ミサイル、重砲、監視装置などがある。

バイデン政権は、キーウ政府のニーズを評価するために西側同盟国と毎月会合を開くことで合意しており、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長の言葉を借りれば、ウクライナの戦争が「何ヶ月も何年も続く」ことになるのではないかとの懸念が高まっている。

NATOは、戦争が国境を越えて近隣諸国に拡大しないようにしながら、ウクライナを支援するためにできる限りのことをすると述べている。

しかしラブロフ外相は、NATOのウクライナへの協力は「ロシアを封じ込め、抑止し、いらだたせるための道具」にすぎないと語った。

ラブロフ外相は、ロシアはウクライナに武器を供給するために使われているルートを知っており、「これらの武器がウクライナの領土に到達した時点で、彼らは私たちの特別な作戦にとって格好の獲物になる」と述べた。

ラブロフ外相は、ロシアはウクライナの戦争を終わらせるために多くの提案をしてきたが、今のところ空振りだと述べた。和平交渉が停滞している責任はウクライナにあるとラブロフ外相は述べ、政府が交渉の姿勢を変えたことを非難した。

ロシアは、国防総省がウクライナ全土の多くの研究所に資金を提供して生物兵器を開発していると非難している。今年1月、アメリカはこの告発を否定し、研究所は「生物兵器拡散の脅威を減らす」ためにあるのだと主張した。ラブロフ外相はアメリカの主張をきっぱりと否定した。

ラブロフ外相はまた、先月イスタンブールで行われた交渉は、ウクライナの外交官が欧米の要請で後退するまで、ロシアの領土問題と安全保障の問題について進展していたと主張し、平和の試みを妨害したとして欧米を非難した。

「いつもゲームをしたいという彼らの欲望のために、私たちは行き詰まっているのです」 とラブロフ外相は述べた。「(ウクライナの代表は)ワシントンやロンドン、その他の首都から、交渉を加速させるなという指示を受けているのです」 

ラブロフ外相は、ウクライナにおけるロシアの「特別軍事作戦」は、ドンバスにあるドネツクとルハンスクという2つの自称共和国を守ることが目的だというプーチン政権の立場を改めて強調した。

「私たちの作戦の目的は、公に発表されたように、これら2つの共和国を守り、ウクライナの領土からこれらの人々の安全とロシア連邦の安全に対する脅威が決して生じないようにすることです」 とラブロフ外相は述べた。

2月下旬、プーチン大統領はこの地域を承認し、ロシア軍がこれらの地域に駐留することを認めた。ラブロフ外相は、ロシアがこの2つの共和国を守ることを目指しているのは、「長い長い8年間、ウクライナ政権から攻撃を受けてきた」からだと述べた。

「2014年にクーデターが起きたとき彼らは、不法に権力の座についたこの人たちとは関わりたくないと言い、『何が起こっているのか理解したいので放っておいてください』と言ったのです。彼らがウクライナの他の地域を攻撃したことは一度もありません」

ラブロフ外相は、親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ元大統領が2014年2月に打倒されたことを指している。ヤヌコーヴィチ元大統領は、キーウの独立広場(マイダン)で数ヶ月にわたって抗議行動が続いた後、ウクライナをEUとより緊密に統合する協定に署名することを拒否したことに反発したのだ。

同じ頃、ロシアはウクライナからクリミア半島を併合し、ドンバス戦争で反乱軍を支援した。それ以来、ドネツクとルハンスクは、ロシアが支援する分離主義政権によって支配されている。

「(ドネツク共和国とルハンスク共和国の指導者たちは)テロリスト(と呼ばれている)であり、反テロ作戦は、違法な手段で力づくで政権を握った虐殺者の指導者によって開始され、8年の長い間、彼らはウクライナ侵略の犠牲になってきました。ウクライナ政権は彼らに対して、13,000人から14,000人の民間人を殺害し、民間のインフラを破壊し、その他もろもろたくさんの犯罪を行ってきました」とラブロフ外相は語った。

ラブロフ外相は、ロシアの 「特別作戦」 は 「ロシア連邦に対して非常に攻撃的な態勢をとるために、ウクライナでNATOがしていたことへの対応」 であると述べた。

ラブロフ外相はウクライナ政府について、「彼らは、ロシア領土まで届くような攻撃的な武器を与えられ、アゾフ海などに軍事基地が建設されており、何十もの軍事演習がおもにウクライナ領土でNATOの支援のもとに実施されました」と述べた。

「これらの演習のほとんどは、ロシア連邦の利益に反するように計画されていたため、この作戦の目的は、それらの計画が実現しないようにすることです」

ウクライナ紛争のルーツをたどって、ラブロフ外相は次のように述べた。「この数年間、私たちはNATOや欧州安全保障協力機構(OSCE)の国々との条約草案や協定草案に着手してきましたが、最近では昨年12月に、アメリカとNATOに対して、いかなる軍事同盟にも加盟せずに欧州大西洋圏のすべての国の安全を保証する条約を両者で締結するという別の構想を提案しました」

ラブロフ外相はOSCEについて、軍備管理、人権の促進、報道の自由、自由で公正な選挙などを任務とする、国連のオブザーバーとしての地位を有する、地域の安全保障を目的とした政府間組織であるとしている。

「私たちがこのような措置を取るたび、基本的には程度の差こそあれ丁重に拒否されました。2009年、私たちは欧州安全保障条約を提案しましたが、NATOに拒否されました。この条約は、実際には、すべてのOSCE諸国が首脳レベルで加入しているものを成文化するものでした」

ラブロフ外相によると、ロシアは各国に同盟を選択する権利を与え、他国の安全を犠牲にして自国の安全を強化しないよう提案した。つまり、 「欧州のいかなる組織も、この地政学的空間において支配的な役割をもつふりをすることはできない」 ということである。

ラブロフ外相は、NATOがロシアに対して、NATOの外では法的拘束力のある安全保障はないと回答し、OSCEは「口先だけの約束」 になっていると考えていると述べた。

ロシアによるこのような試みは、ウクライナでの作戦開始前の2021年12月に、長年にわたる「緊張と対立の高まり」への対応として行われたのが最後だという。

ラブロフ外相によると、このロシアの構想はNATOに拒否された。「 (NATOの基礎をなす) ワシントン条約に存在せず」 「NATO拡大計画を推進するための隠れ蓑」 として利用されてきた 「門戸開放政策」 を犠牲にしたくないというのがその理由である。

「NATOは、その指導者たちの約束にもかかわらず、ロシア国境にどんどん近づいていきました。NATOは私たちに対して『恐れることはありません。私たちは防衛同盟にあり、あなた方の安全保障に脅威を与えることはありません』と語っていました」

ラブロフ外相は、第二次世界大戦後にベルリンの壁や「NATOとワルシャワ条約機構の間の地政学的な壁」があったときに、NATOとは防衛同盟にあったことを認識している。

しかし「ワルシャワ条約機構がなくなり、ソビエト連邦が消滅したとき、NATOは防衛線を東に移動させるべきだと判断し、この防衛線を5回も移動させたのです」

「イギリスのリズ・トラス外務大臣は最近、NATOはグローバルプレーヤーでなければならないと発言しました。この同盟の防衛的性質については何度も聞かされていますが、これは嘘です」 。

ラブロフ外相は、ウクライナ政府が「ロシア語の全てを取り消した」と非難した。その中には「言語、教育、メディア、そしてロシア語の日常的な使用が行政違反にされた」というものも含まれている。

この告発について、ラブロフ外相は次のように詳しく述べている。「ウクライナ政権は、昨年末と今年初めに、ドンバスの東部領土への砲撃を強化しました。これは、2015年2月に署名され安全保障理事会決議によって承認されたミンスク合意に対する違反として最悪のものです。彼らが民間人や民間のインフラ、学校、病院、幼稚園を標的にしていたとき、私たちは他に選択肢がなかったのです」

ラブロフ外相は、アメリカとその同盟国がウクライナへの武器供与を続けた場合、核紛争のリスクを「過小評価」すべきではないとする自らの発言について、文脈を無視して解釈してはならないと警告した。

「私たちは決して、そのような危険なもので遊んでいたのではありません。私たちは皆、核戦争は決してあり得ないといP5(国連安全保障理事会常任理事国)の声明を主張すべきです。しかし、それを確実にするためには、西側諸国はウクライナやポーランドのように、このような非常に危険な言葉をもてあそぶことに何の危険も感じない発言者を懲らしめなければなりません」

ラブロフ外相は、欧米のメディアは彼の言葉を誤解しているが「私たちはそれに慣れている」 と語った。

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