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イスラエル、ラブロフ外相のヒトラー発言に激怒、ロシアとの架け橋を焼き尽くすわけにはいかない

イスラエルのヤイール・ラピード外相は、ラブロフ外相の発言は「許しがたく、言語道断」な主張であるとし、「重大な歴史誤認」であると表現した。(ファイル/AFP)
イスラエルのヤイール・ラピード外相は、ラブロフ外相の発言は「許しがたく、言語道断」な主張であるとし、「重大な歴史誤認」であると表現した。(ファイル/AFP)
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04 May 2022 12:05:52 GMT9
04 May 2022 12:05:52 GMT9
  • イスラエル当局は謝罪を望んでいるが、ロシアとの関係を緊張させることでシリアでの対イラン作戦が脅かされないよう、バランスを取る必要があると専門家は述べている。

モハメド・ナジブ

ラマッラ:ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の発言に端を発したイスラエルとロシアの間の外交危機が、今後エスカレートしていく兆しがある。

日曜日、イタリアのテレビ局のインタビューの中で、ヒトラーがユダヤ系であることをラブロフ外相が示唆したことについて、イスラエルの指導者らは猛反発している。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領自身がユダヤ人であるのに、どうしてロシアはウクライナの「脱ナチス化」のために戦っていると主張できるのかと問われ、ラブロフ氏はこう答えた。「私の誤解でなければ、ヒトラーもユダヤ人の血を引いている。(だからゼレンスキー大統領がユダヤ系であることは)全く意味をなさない。賢明なユダヤ人は、最も過激な反ユダヤ主義者はたいていユダヤ人だと言う。」

第二次世界大戦中、ヒトラー率いるナチス・ドイツはホロコーストで600万人のユダヤ人を殺害した。ラブロフ外相の発言はイスラエル国内で猛反発を巻き起こしたため、イスラエル外務省は火曜日にロシア大使を呼び出し、説明と謝罪を要求した。

イスラエルのヤイール・ラピード外相は、ラブロフ外相の発言は「許しがたく、言語道断」な主張であるとし、「重大な歴史誤認」であると表現した。

イスラエルのナフタリ・ベネット首相はこう述べた。「このような嘘は、歴史上最も恐ろしい犯罪行為をユダヤ人自身のせいだとし、ユダヤ人を抑圧した者をその責任から解放するためのものだ・・・この時代に目撃している戦争はホロコーストと比較できるものではなく、ホロコーストに類する戦争もないのだ。」

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、こう反論した。「我々はイスラエルのヤイール・ラピード外相の反歴史的な発言に注目している。この発言は、ウクライナのネオナチ政権をイスラエルが支持していることを大いに説明している。」

イスラエルの政治アナリスト、ヨニ・ベンメナヘム氏はアラブニュースに対し以下のように語った。ベネット首相とラピド外相はロシアに対して圧力をかけ、イランに対するジョー・バイデン米大統領の立場を強化することで東エルサレムの米領事館再開への道を切り開こうとしている。バイデン大統領は、6月にイスラエルとパレスチナを訪問予定である。しかしベンメナヘム氏は、イスラエル当局は、ロシアとの関係を緊張させてシリアにおけるイラン軍事拠点に対する作戦を脅かされないよう、バランスを維持しようと努めているとも付け加えた。

「ベネット首相とラピード外相は、バイデン大統領を納得させ、イスラエルがウクライナに関する米国の立場を支持していることを証明するために、ロシアに対して段階的に敵対しようとしている」とベンメナヘム氏は述べた。「しかし同時に、イスラエルは、シリアにおけるイラン拠点に対するイスラエル空軍の攻撃をロシアに妨げられる恐れがあるため、ロシアとの完全な断絶は望んでいない。」

イスラエルの情報筋がアラブニュースに語ったところによると、ラピード外相はロシアを嫌っており、ロシアの民主主義とロシア国民の人権の擁護者であることを示そうとしている。そのような姿勢を示すことで、バイデン大統領に近づき、米国の政策に影響を与えようと試みているという。

ロシアとイスラエルの間の緊張は高まっているものの、この論争はまだ外交危機の域には達していない。しかし、イスラエル側はラブロフ外相の発言に対する公式な謝罪を要求しているため、いつどのようにこの緊張が緩和されるのかは読むことが難しい状態だ。

現在のロシアとイスラエルの関係は、シリアに関する利害の共有が大きな基盤となっている。シリアにロシアの軍事基地を置く正当性を保持するため、ロシアはバッシャール・アサド大統領の後ろ盾となり、アサド政権の安定と国の再建への貢献を望んでいる。

イスラエルはロシアのこのような考えを尊重し、シリア政権を標的としてこなかった。しかし、シリアの大統領がイラン人の入国と軍事活動を許可したため、2年以上前にイスラエル軍幹部はアサド大統領官邸を攻撃するという選択肢について検討した。その結果、反対をしなかったロシアとイランは連携し、イランはイスラエルの空爆の正当なターゲットとみなされたのである。

イスラエルの専門家はアラブニュースに対し、ロシアとイスラエルの関係がさらに複雑化すれば、イスラエルがシリアの標的を爆撃する可能性があり、アサド政権が弱体化しロシアは同盟国を保護できないという厄介な状況に陥る可能性があると語った。

元クネセト議員であり、現在ライヒマン大学政策戦略研究所の研究員であるクセニア・スヴェトロヴァ氏は、アラブニュースに次のように語った。「ロシアは自国のことを考えるべきだ。ロシアは自国のことだけで精一杯で、誰も怒らせる意図がないイスラエルに対して新たな戦線を張る必要はない。」

「しかしユダヤ人国家として、ホロコーストの犠牲者のために立ち向かわなければならない。このような酷い発言を無視して、ただ前進を続けることはできない。ロシアからの正式な謝罪がない限り、事態が正常に戻ることはないだろう。」

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