
ベイルート: 26日、医師・看護師・医療従事者ら多数がレバノン首都ベイルートにある中央銀行の一帯に集結した。これに先立ち一団は、急速に悪化する経済情勢への抗議だとして2日間ゼネストをおこなうと宣言していた。
このストライキを宣言したのは医療職に従事する人たちの2つの組合、「ベイルート県・北部県医師連合」と「民間病院オーナー連合」だ。野放図な資金統制や各種規制を各銀行が強いることを許してきた中央銀行の一連の方策にはもはや我慢ならない、としている。
ストは27日に終わるが、組合側では、この間は急患と透析患者のみ各病院で受け入れることになるとしている。
レバノンの医療レベルはほんの数年前までは中東最高クラスであったが、いまでは崩壊寸前だ。経済金融における未曽有の壊滅的状態をなんとかしのいでいるというのが現状だ。
2019年10月から始まる今回の危機的状況ではレバノンポンドの価値が90%以上対ドルで下落しており、給与や貯蓄などは無価値同然だ。
困窮に耐えかね何千何万もの医師・看護師が海外へ移住するとともに薬局も相当数が閉店した。医薬品や医療機器の不足も深刻な状況だ。
多数の病院が、経費や職員の給与の支払いもままならない以上営業をストップせざるをえなくなる、と警鐘を鳴らしている。
「病院としては継続の見込みがない以上は閉院ということだ。ともかくキャッシュがないがキャッシュで払わねばならない」と語るのは、民間病院オーナー連合を率いるスレイマン・ハールーン氏だ。 同氏は数百名の組合員らとともにベイルートの抗議集会に参加した。
医療分野を破壊するものだとして、同氏は中央銀行の一連の方策を非難した。
一方、レバノンポンドは対ドルで最安値を更新しつづけている。ブラックマーケットでは25日、1ドル=35,600レバノンポンドをつけた。
経済危機が2019年末に勃発するまでは、レバノンの通貨は22年間、1ドル=1,500レバノンポンドに据え置かれていた。
AP