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レバノン市場は本格的なドル高抑制策を注視

レバノン首都ベイルート近郊の街ブルジュ・ハンムードの閉店中・半営業中の人気店前を人々が歩く。2021年12月14日。(AFP)
レバノン首都ベイルート近郊の街ブルジュ・ハンムードの閉店中・半営業中の人気店前を人々が歩く。2021年12月14日。(AFP)
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29 May 2022 04:05:52 GMT9
29 May 2022 04:05:52 GMT9

ナジャ・フーサリ

ベイルート:28日も引き続きレバノンの闇ドル価格は続落している。1ドル=2万7,650レバノンポンドという記録は、18時間もたたずに1万1,000レバノンポンド分ドル安になったことを指す。

新たに選出された国民議会が31日に招集されるのを数日前にひかえ、国民の怒りをしずめ市場を落ち着かせるねらいが今回のドル安だ。新国民議会が招集されると、議長、副議長、議会委員会の委員の選出がおこなわれる。

ナビーフ・ビッリー国民議会議長がみずからの議長任期延長に気を取られている一方で、レバノンは自国の「一大破綻」と闘っており、医療業界からは病院の破綻も近いとの警告が発せられている。レバノンナショナルブロックがそう指摘している。

ビッリー氏は再任され、議長6期目を迎えるものとみられる。キリスト教系の各政党や議会内の対立会派ではこれに反対している。

ビッリー氏には、ヒズボラ系議員と自派議員らで結成する議会内会派から60票程度の賛成票が投じられるもようだ。レバノン国民議会の定数128名のうち、98票の賛成票を得た前回よりもかなり下回る。

国民議会の副議長はギリシャ正教系の議員に割り当てられている。今回は自由愛国運動会派のイリヤース・ブー・サアブ議員の就任がほぼ確実視される。同会派はしかしビッリー氏の議長再任に賛成票は投じない。ある政治評論家の見解だ。

27日にはドル為替レートが3万8,000レバノンポンドを突破した。レバノン国中に未曽有の混乱が走り、人々の怒りを招いた。

これを受け中央銀行のリヤード・サラーメ総裁が同日に出した声明によりドル高は急速に抑えられはじめた。個人・団体を問わずレバノン中銀の定めるSayrafaレートで日々ドルを買えるようにする、としたものだ。

28日の商業市場はショック状態を垣間見せた。週明けにドルレートが鎮静するかどうかを模様眺めするとして、商品の販売を見合わせる店舗もあった。

民間企業に勤めるある女性社員は、27日にドル安がピークを迎えたときにレバノンポンドの給与をドルに換えたという。全額をレバノンポンドで貯めこんでおけばさらに価値が下がりかねないと思ってのことだ。

ところが27日夜にはさらに1万1,000レバノンポンドの大幅なドル安となり彼女はショックを受けた。彼女のもらう給与の価値も大幅に減損したからだ。

ユースフ・ハリール財務相はブラックマーケットでの為替取引は1日当たり500万ドル相当と見積もっている。

財務相はレバノン中銀のSayrafaプラットフォームでの取引は1日当たり数千万ドル超であるとしている。

「つまり、制御不能なドルレート上昇は正常ではないということを物語っている。為替の闇レートと中銀レートとの差を作り出している者がおり、政治や商売に絡んだ何らかの目的から、もしくは市場にパニックを引き起こす目的から、こうした闇レート高騰を引き起こしている可能性があるとの仮説を裏付けるものだ」

経済専門家のワリード・アブー・スライマーン氏の解説はこうだ。中央銀行が市場に介入したのは、投機的な動きを阻止する目的と、金融市場すなわち中銀のSayrafaプラットフォームのマージンを減らす目的からレバノンポンドの通貨流通額を緩和するのがねらいだ。Sayrafaレートでは1万2,000レバノンポンド超えとなっていた。

この措置は一時的なものである可能性があるが、ドル高の歯止めにはなった。そう語る同氏は付け加える。「問題は持続性があるのか、だ」

アブー・スライマーン氏は語る。「投機的な動きに対抗するにはこうした措置では無理で、売買のための取引を中銀のプラットフォームで規制しないといけない」

中銀総裁は各行に対し、来週月曜以降3日続けて午後6時まで支店と金庫を開けておくようにと要請した。Sayrafa価格でのドル購入を求める市民らの要望に応えるものだ。

中銀総裁の通達は「爆発までの数日間」を引き伸ばそうというものだ。レバノンナショナルブロックの指摘である。

「債務と銀行業界を見直すという必要な改革がおこなわれるのみならず、闇と中央で分かれている為替レートを統一し行政と司法で監視を強めるといった不可欠の決断をおこなっていれば、崩壊のシナリオなどは避けられたはずだ」と同ブロックでは考えている。

ナジーブ・ミカティ暫定政権は国民や国際社会の裏をかくため財政救済計画の提案を国民議会選直前の最後の閣議まで引き伸ばした。この政権は任期中、企業連合や銀行の保護にばかりかまけていた。こうしたこともなければ崩壊シナリオは避けえたはずだ。同ブロックはそうも考えている。

「解決策としては、国民議会内の委員会などのメンバーを来週中に選出したうえで、宗派ごとに要職を割り当てるシステムを採択しない救国内閣選出のための協議を開始することだ」

同ブロックでは、IMF(国際通貨基金)の求める財政改革を履行するとともに経済を強化するための総合的なプランを立てることを求めている。

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