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ヨルダン、UAE、エジプトで発生した女性殺害事件:女性に対する暴力は増加しているのか

エジプトで刺殺された21歳の芸術系学生ナイラ・アシュラフさん(左)、ヨルダンで射殺された看護系学生イマン・エルシェイドさん(18)。(ロイター)
エジプトで刺殺された21歳の芸術系学生ナイラ・アシュラフさん(左)、ヨルダンで射殺された看護系学生イマン・エルシェイドさん(18)。(ロイター)
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28 Jun 2022 12:06:40 GMT9
28 Jun 2022 12:06:40 GMT9
  • 1週間のうちにアラブ3カ国で発生した事件は、「フェミサイド」を世界的な問題として扱うことの緊急性を示している
  • ジェンダーに基づく暴力の被害者は、自分に対する犯罪を報告したり助けを求めたりすることはほとんどなく、加害者が処罰されることも稀である

ラワン・ラドワン

ジェッダ:先週、エジプトのマンスーラ大学の学生であるナイラ・アシュラフさんが、白昼堂々、傍観者が恐怖の目で見守る中、殴られ刺された。彼女はその日のうちに死亡した。犯人は拘束され、逮捕された。犯人がこのような恐ろしい犯罪を犯した動機は、彼女にプロポーズを断られたことであった。

アレクシス・ゲイブさん(24)は今年1月に行方不明になった。カリフォルニア州アンティオックで元恋人に殺害されたとみられている。6月には、カナダ・ブランプトンの自宅で、ヴァネッサ・ヴァージオーニさん(29)が殺害された。2018年10月には、ゲイル・ポッターさん(46)が、オーストラリア・ビクトリア州トララルゴンの自宅の車道で車にはねられ、死亡した。今月はヨルダン・アンマンの大学キャンパスで、イマン・エルシェイドさん(18)が銃殺された。

このように、元パートナーや、交際を拒否された男性が女性を襲う話は、あまりにも日常的である。ドイツのブライトンゲンでの失踪事件、インド・デリーでの刺殺事件、UAEのシャルジャでの事件、米国オクラホマ州での発砲事件、オーストラリアのタウンズビルでの溺死事件。犠牲者がすぐに発見される場合もあれば、何年もかかる場合もある。また、遺体が発見されないケースもある。

男性の誘いを断ったために襲われる女性の数を正確に把握することは困難だ。「ジェンダー平等と⼥性のエンパワーメントのための国連機関(UN Women)」は、このような殺害を「フェミサイド(Femicide)」と分類している。多くのケースで共通しているのは、女性がパートナーや元パートナー、または誘いをはねつけた男性から、報われない愛情の対象になっていたことだ。

この1週間で3件の女性殺害事件が発生し、アラブ諸国を震撼させた。アシュラフさんを殺害した犯人は、被害者が「物事を達成するために私を利用し、それが終わると私を捨てた」と主張した。

裁判の中で彼は、検察官にこう言った。「そして私は、もしチャンスがあれば彼女を殺したかった」。彼女が彼のロマンチックな誘いを断り、プロポーズも拒否したからだと言う。

イマン・エルシェイドさんを殺した犯人は、警察が自首を促すと自殺した。(スクリーンショット)

ヨルダン当局はエルシェイドさんを殺した犯人をザルカの北にある町まで追跡した。警察が自首を促すと、犯人は拳銃で自殺した。シャルジャの事件では、夫が口論の末に妻を16回刺した。女性宅の駐車場のCCTV映像には、犯人が車の中で女性を襲う姿が映っていた。その後、犯人は海岸で発見され、逮捕された。

しかし、このような事件はエジプト、ヨルダン、UAEなどの国、あるいは中東に限ったことではない。それにもかかわらず、フランスの公共ラジオ局「RMC Moyen-Orient」の前身である「モンテ・カルロ・ドゥアリヤ」のような一部のメディアは、こうした事件を「アラブ固有の問題」であると、誤った表現で報じている。

リヤドのイマーム・モハマド・イブン・サウード・イスラム大学(IMSIU)の社会学教授であるイブラヒム・アル・ジビン氏は、アラブニュースに対し、これは特定の地域や社会に特有のものではなく、世界的な問題であると述べている。ジェンダーに基づく犯罪、特に女性に対する犯罪は、保守的で低所得のコミュニティでより一般的であることが研究で示されていると、彼は付け加えた。

「女性に対する暴力は、低・中所得国や地域に偏って影響を及ぼしている」と彼は言う。「他の社会階層で暴力が起こらないというわけではないが、経済的に負担の大きい人間は、あらゆる種類の暴力に向かう可能性が最も高い。また、殺人を犯すとなると、それに伴うメンタルヘルス上の問題も存在する」

UN Womenが「影のパンデミック」と表現するように、ここ数十年で女性に対する暴力の割合が増加している。また、2020年3月の新型コロナウイルスによるパンデミックの発生後、家庭内暴力の事例が大幅に増加したことが研究で明らかにされている。

UN Womenの報告によると、全世界で推定7億3600万人の女性(15歳以上の女性全体の30%)が、親密なパートナーからの身体的・性的暴力、パートナー以外からの性的暴力、またはその両方を、人生で少なくとも一度は受けたことがあるという。

ジェンダーに基づく暴力の多くのケースは報告されず、そのような犯罪を報告したり、何らかの助けを求めたりする女性は40パーセント未満であると、UN Womenは2021年に発表している。俗に「痴情ざた」とみなされる暴行や殺人、または拒絶の結果、ソーシャルメディア上の最初の市民の報告が当局の注意を引き、結果としてニュースとなることがしばしばある。

ソーシャルメディアは、歴史的に多くの場合処罰されることのなかった女性や少女に対する暴力についての認識を高める、かつてない機会を提供している。そして今、テクノロジーの進歩により、オンラインでの報告は一般人でも可能になった。

エジプトのマンスーラ大学の学生、ナイラ・アシュラフさんは、白昼堂々と殴られ、刺された。(提供)

フェミサイドの正確な数字を算出することは困難である。そのため、さまざまな形態を伴うこの犯罪の世界的な傾向について、正確な数または信頼できる推定値を得ることも難しい。国連薬物犯罪事務所は、2020年に世界で4万7000人の女性と少女が親密なパートナーや家族によって殺されたと推定している。

しかし、こうした犯罪を実行する男性の心理や動機を理解しようとすると、さまざまな疑問が湧いてくる。女性を殺す者たちは、突然凶行に走る「普通の人」なのか、それとも計画的に殺害しているのか。

アル・ジビン氏は、「計画的な殺人に走らせる根本的な原因があり、それは突然現れるものではない」と言う。殺人にはそれぞれ特徴があり、多くの場合、殺人者は自分の行動を促す状況に遭遇したのだと信じているが、実際には精神的な病気がその行動を駆り立てているのかもしれない、と彼は付け加えた。

「暴力が常に女性を死に至らしめるとは限らないが、それがもたらす結果は同様に悲惨なものだ。暴力がもたらす身体的、心理的、社会的影響はさまざまで、ほとんどの殺人犯はそれを利用して有利になる方法を見つけようとする」

「きっかけはさまざまだ。仮にそれが事実無根のものであっても、犯罪者にとっては現実のものである。暴力の脅威は、女性の生活の中で様々な形で現れる。拒絶されたことへの報復は、十分に一般的な脅威となる。

社会的なタブーや羞恥心によって、女性は男性からの攻撃を容認し、避けられないものとして受け入れてしまうことがある。アル・ジビン氏は、この状況は災いのもととなる可能性があり、その意識を変えるためには、この問題に対する社会の認識を高めることが必要だと述べている。

ジェンダーに起因する暴力の多くは、警察に報告されないままになっている。(提供)

「女性は、自分自身で準備をしなければならず、男性の誘いには“適切に”対応しなければならないという考えに慣れてしまっている」と彼は言う。「しかし、実際には、女性は男性――関係に関係なく――の攻撃的な行動にもっと注意する必要がある。そして、家族や警察への報告を通じて自分を守ることが最良の選択だ。それが問題を解決する一つの方法なのだ」

「女性が、虐待するパートナー、薬物使用者、ストーカー、恨みを持つ人の犠牲になることは、恥ずべきことではない。羞恥心を感じることなく、タブーを無視する必要があるのだ。女性を守るための法律はあるが、この世界的な問題を解決するためには、地方自治体や当局がさらに積極的に取り組む必要がある」

アル・ジビン氏は、男性の攻撃的な行動に対して、女性が自分自身で対応しようとすると、ハラスメントがエスカレートし、最終的に殺人につながる可能性があると考えている。また、精神的な問題を抱えた人物から女性を守るための保護措置が必要だという。

アル・ジビン氏は、「どんなに強くても、どんなに自信があっても、自分で身を守ろうとする女性の行動は、彼女を追いかける人物によって誤解され、恨みや憎しみを買う可能性がある」と述べている。

「拒絶を伴う犯罪において、過失による殺害は稀である。彼らは非常に細かく計画を練っている可能性が高く、多くの場合、犯人は成功する」

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