
篠田航一、カイロ支局
ベイルート-- 逃亡者となったカルロス・ゴーン日産自動車元会長の身柄をレバノンから日本当局に戻すつもりはないと、レバノン法相のアルバート・サーハン氏は1月3日、毎日新聞に語った。
ゴーン日産自動車元会長(65)は、金融商品取引法違反などの容疑で東京都内で裁判を待つ保釈中に、レバノンに逃亡した。
サーハン氏は毎日新聞に、近いうちにゴーン容疑者に尋問する予定で、「ゴーン氏側の話を聞くなど、必要な捜査を実施するつもりです」と語った。また、ゴーン元会長を日本に引き渡すつもりはないとも話した。
レバノンの前文部大臣ハッサン・ディアブ氏は、2019年12月に首相就任を指名され現在内閣を組織している最中で、前内閣で法相だったサーハン氏は暫定法相の地位にある。
サーハン氏は、レバノン政府は国際刑事警察機構(インターポール)より1月2日にゴーン被告の拘留を求める通知を受け取ったことを再確認した。この要請に応えて、レバノン政府は捜査の義務を果たすとのことだ。またその後、ゴーン氏を拘留する必要があるかあるいは同国からの出国を阻むべきかを、レバノン検察は慎重に判断するとのことだ。
同時に、サーハン法相は日本とレバノンの間に犯罪者引渡条約は結ばれておらず、ゴーン氏は「レバノンで裁判を受ける権利がある」と強調した。法相はゴーン氏がフランスのパスポートでレバノンに入国したか否かについての発言を避けたが、「合法な書類」でレバノンに入国したと明言した。
1月8日に開かれる予定のゴーン氏の記者会見では、彼を国内で援助した人たちのことを懸念して、日本から脱出した詳細についての説明はないとのことだ。もしレバノンの検察が捜査を開始したとしても、ゴーン氏逃亡の詳細が明らかにされることはなさそうだ。