
国連、米国:国連安全保障理事会は7日、シリア政府の許可なしにシリアの国境を越えて人道支援物資を届ける認可の更新について採決する。ロシアは6ヵ月の延長、欧米諸国は1年間の延長を希望している。
シリアとトルコの国境バル・アル・ハワ検問所を経由して人道支援物資を届けることを認める国連決議は、2014年から効力をもってきたが、10日に期限切れとなる。
15ヵ国で構成される安全保障理事会の非常任理事国であるノルウェーとアイルランドが、認可を2023年7月10日まで延長する決議案を作成した。
昨年は、人道支援物資を載せた1万台近くのトラックが、バブ・アル・ハワ検問所を通過してシリア北西部の反政府勢力が支配するイドリブ地域へと向かった。シリア政府軍が支配する地域を通らずにイドリブへ支援物資を届けることができる唯一の検問所だ。
AFPが入手したこの決議案は、「人道的支援をシリア全土に届けるために、あらゆる当事者が、国境越えを含めたあらゆる手段による完全かつ安全で妨げられることのないアクセスを保証すること」を呼び掛けている。
拒否権を持つ安保理メンバーでありシリア政府の同盟国でもあるロシアは、ここ数ヵ月、延長への反対をほのめかしている。ロシアはこれまでもすでに、シリアの主権を侵害するとの理由から、認可検問所の数の縮小を強要してきた。
各国代表らの話によると、ロシアは結局、6ヵ月の延長を含む独自の決議案を提示したという。
ロシアを説得するためにノルウェーとアイルランドは、人道支援物資輸送の透明性、シリアの復興に貢献する可能性、政府の支配地域を経由した物資輸送を模索する必要性などを盛り込むいくつかの修正案を加えた。
ロシアは長らく欧米諸国に対し、シリアの復興に参加するよう呼び掛けてきたが、一部の安保理メンバー、特にフランスが声を大にして、政治改革が実現されるまでは参加しないと拒否していた。
しかし、6月の安保理会議で米国を含む大多数の国が、シリアの「早期復興プロジェクト」と銘打つ財政支援を申し出た。
この流れに乗り、ノルウェーとアイルランドの決議案では、「水、衛生、医療、教育、避難所などの早期復興プロジェクトを含む、シリアにおける人道支援活動を拡大するさらなる国際的取り組み」を呼び掛けている。
6日夜の時点では、この追加項目で果たしてロシアを1年間の延長合意に説き伏せることができるかどうかを予測する各国代表はほとんどいなかった。
しかし中には、追加の6ヵ月延長を実質的に設定した形で6ヵ月の延長を更新するという、最終段階での妥協はあり得るとAFP通信に語る代表もいた。
AFP