
エルサレム:パレスチナのマフムード・アッバース大統領とイスラエルのベニー・ガンツ国防相は、占領下のヨルダン川西岸地区において異例の会談を行った。ジョー・バイデン米大統領の中東初訪問を数日後に控え、緊張を緩和し安全保障に関する協調を図ることが狙いとみられる。
ガンツ国防相はツイッターへの投稿で、木曜日にラマッラーで行われた会談は、「前向きな言葉で行われ」、両者は地域の「民間・安全保障上の課題」について協議したと明らかにした。
「緊密な安全保障上の協調を維持し、不安定さをもたらす行動を回避することで同意した」とガンツ国防相は述べている。
パレスチナ政府高官のフセイン・アル・シェイク氏のツイートによると、アッバース大統領は「政治的地平を開き、結ばれた合意を尊重し、状況悪化につながる行動や措置を避けることの重要性を強調した」
大統領は、「歓迎すべきバイデン大統領の訪問前に平穏な空気」を作ることの重要性も強調した。
アッバース大統領とガンツ国防相の会談は昨年8月以来3回目であり、先週ヤイール・ラピード氏が11月1日の選挙に先立ちイスラエル暫定首相に就任してからは初めてだった。
5月11日に発生した、パレスチナ系米国人記者シリーン・アブアクラ氏がヨルダン川西岸地域の都市ジェニンでイスラエル軍の襲撃を取材中に死亡した事件を受け、イスラエルとパレスチナの間の緊張が非常に高まっている。
アブアクラ氏はイスラエル兵によって故意に撃たれたとパレスチナ側は主張しているが、イスラエルはそれを否定している。米国務省は月曜日、アブアクラ氏はイスラエル陣地からの発砲で死亡した可能性が高いが、恐らく故意ではなかったと発表した。
パレスチナ自治政府はヨルダン川西岸地区の一部で限定的な自治権を行使している。イスラエル占領地におけるパレスチナ国家樹立を目指した米国の仲介による協議は2014年に決裂し、復活の兆しはない。
ロイター