
ダオウド・クタブ
アンマン、ヨルダン:パレスチナ解放機構執行委員会のフセイン・アル・シェイク事務局長によれば、ジョー・バイデン米大統領が今週ヨルダン川西岸地区でパレスチナ自治政府関係者と会談する際、エルサレムの地位が大きな議題になるだろうとのこと。
「エルサレムの問題に関して、米政府と議論しなければならない多くの重要な面があります」と、同氏はバイデン氏の注目の訪問を前にしてアラブニュースに語った。米大統領は7月13日から16日にかけてイスラエル、ヨルダン川西岸地区、サウジアラビアを訪問し、パレスチナのマフムード・アッバース議長との会談も予定されている。
5月にPLO事務局長に就任したアル・シェイク氏は、「エルサレム市内にあるキリスト教とイスラム教の全ての聖跡の現状の尊重を保証したいです」と述べた。
さらに同氏は、パレスチナの指導者たちはバイデン氏に対し、パレスチナ人にとって数十年にわたり事実上の米国大使館として機能していたエルサレムの米国領事館を再開するという公約を果たすよう迫るだろうと述べた。
「バイデン氏は選挙運動中にその約束をし、そして何度も繰り返しました」とアル・シェイク氏は言った。「米国は今こそ約束を果たすべき時です」
アル・シェイク氏は最近のパレスチナ紙のインタビューで、米国はヨルダン川西岸地区の行政首都ラマッラーに領事館を開設することも提案し、さらにパレスチナ問題に焦点を当てた米国特使の任命も申し出てきたと述べた。しかしパレスチナの指導者たちはこの申し出を断り、代わりにエルサレムで領事館を再開する必要性を改めて強調したという。
トランプ政権はエルサレムをイスラエルの首都と公式に認め、米国大使館をテルアビブからエルサレムに移転するなど、一連の論争を招く決定の一つとして領事館を閉鎖した。
バイデン政権ではアントニー・ブリンケン米国務長官が、イスラエル建国よりはるかに前の1844年に設立されたエルサレム領事館の再開を繰り返し約束している。バイデン政権はすでにパレスチナとの関係改善のために、トランプ氏が削減したパレスチナ自治区への米国の支援や、パレスチナ難民に対応する国連機関への資金提供を復活させるなどの措置をとっている。また、同じくトランプ政権下で閉鎖されたワシントンのパレスチナ代表部の再開も検討しているが、議会でのハードルを乗り越える必要がある。
そんな中、先日米当局が、トランプ政権によって遮断されていた連絡網を復活させたと発表した。つまりパレスチナ人は、まず初めに駐イスラエル米国大使を経由する必要があったのが、直接ワシントンの米国国務省と取引できるようになったのだ。
しかしながら、これはバイデン氏の公約、およびパレスチナの要求であるエルサレムの米国領事館の再開には程遠いものである。米国が防衛関係を強化し、イスラエルとアラブ諸国の関係正常化を推進する中、パレスチナ側は和平プロセスの突破口やワシントンでの大きな政策の変更にほとんど期待を寄せていない。
アル・シェイク氏によると、米国はPLOを海外テロ組織のリストから削除し、ワシントンに正規の代表部を開設することを約束したという。しかしこれらの約束も途中で諦められたようだ。
バイデン氏は今回の地域訪問でイスラエルおよびパレスチナの当局者と会談する予定だが、アル・シェイク氏によると、現在のイスラエルの政治的こう着状態もあり、イスラエルとパレスチナの当局者たちによる対談が行われていないとのことだ。
「政治的な問題に、占領軍指導者たちとの関係はほとんどありません。なぜなら現時点で、署名済みの協定の実行と二国家解決について話し合おうとするイスラエルのパートナーがいませんから」と同氏は述べた。
「バイデン政権は二国家解決に基づき政治的プロセスを前進させる方法を見つけると定期的に話していますが、パレスチナ人にとって政治的な視野はありません。これは、パレスチナの人々に国際法に従ったプロセスで物事が動いているという希望の光を与えるために非常に重要です」
「イスラエルは責任を負うべきであり、パレスチナ主義に関してイスラエルに国際法を遵守させるために、真剣に国際的な取り組みを行うべきです」
バイデン氏が約束を守らずに和平プロセスが停滞したままであれば、状況はさらに悪化する可能性があるとアル・シェイク氏は予測する。
「バイデン氏の訪問で、政治的な視野の必要性に関して具体的な成果が得られなければ、それは訪問が失敗とみなされることを意味し、私たちは皆未知で不快な領域に入ることを余儀なくされるでしょう」と同氏は述べた。
「その領域に行かずに済むようにしたいのです。私たちは真剣な打開策を是が非でも必要とし、望んでいます。しかしもしそれが失敗した場合、パレスチナの指導者たちが望まない選択に踏み切らざるを得なくなる可能性を排除できません」
「パレスチナのアッバース大統領は昨年秋の国連で、もし占領を終わらせるための進展がなければ、1年以内に厳しい決断を下さなければならないと警告しました。パレスチナの指導者たちは友人からの要請により、またバイデン大統領訪問の結果を待ちつつ、多くの決定を保留にしています」
アラブ・ニュースの取材に対し、アル・シェイク氏はイスラエルの承認撤回に関する決定が下される可能性を否定しなかった。
「パレスチナの人々は自由と独立、そしてこの入植と主権の侵害を止めるよう切望しています」と同氏は述べた。「最終的には、パレスチナ人は占領の終結を望んでいます」
パレスチナ人は経済的なパートナーシップでは無く、政治的目標に主眼を置いていると同氏は主張した。
「パレスチナ主義は政治的なものであり政治的な視野を必要とします」と同氏は述べた。「経済プロジェクトによる経済的和平ではなく、政治的な解決策が必要なのです」
バイデン氏の訪問の結果がどうであれ、状況は極めてデリケートであるため、全ての関係者は着実かつ忍耐強く進めなければならないとアル・シェイク氏は語った。
「今は演説やスローガンを言っている時ではありません」と同氏は述べた。「これからの時期は極めて困難になり、私たちは政治的目標を主張し、パレスチナの人々の大望であるイスラエルの占領を終結し、エルサレムを首都とするパレスチナ国家をヨルダン川西岸地区とガザに樹立する必要があります」
「最短かつ最小のコストでその目標に到達したいです」