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ヨルダン川西岸地区に暮らすパレスチナ人が深刻な水の危機に直面

ラマッラーの居住用ビルの屋上に所有するタンクから給水するモハメド・アブ・カッセムさんとその息子。(写真/モハメド・ナジブ)
ラマッラーの居住用ビルの屋上に所有するタンクから給水するモハメド・アブ・カッセムさんとその息子。(写真/モハメド・ナジブ)
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19 Jul 2022 01:07:39 GMT9
19 Jul 2022 01:07:39 GMT9
  • 絶望した村人たちは、水不足がイスラエルとのさらなる紛争につながることを恐れている

モハメド・ナジブ

ラマッラー: 3つのイスラエル入植地とイスラエル国防軍の駐屯地に囲まれたパレスチナ人の村が厳しい水の危機に瀕していると、地域社会の指導者らが明かした。

ヨルダン川西岸地区北部のヨルダン渓谷にあるドゥマ村の約3,500人の住人は、自らの基本的需要を満たし、家畜を維持できるだけの飲料水を手に入れることに苦労している。彼らの多くは貯水タンクの購入にかかる100ドルの費用を捻出できない。

ドゥマ村の評議会の長であるスレイマン・ダワブシェー氏はアラブニュースに対し、地域の住民には1週間に1,280カップの水しか供給されず、付近の4つの遊牧民コミュニティも水の供給についてドゥマに依存していると述べた。

「少量の水しか手に入らず、年間の降雨量も420mm以下と少ないため、ここは乾いた村と呼ばれています」と同氏は言う。

水不足の緩和につながる村内の4つの泉の復旧に向けた活動は入植者によって阻まれてきたと、ダワブシェー氏は主張する。

「私たちは大量の水を消費する多数の家畜を所有しており、特に今年の夏は例年より暑いので、人が使う分とヒツジに与える分の十分な水が手に入りません」

ドゥマは、300万人が暮らすヨルダン川西岸地区で水不足に苦しむ多くのパレスチナ人の街や村のほんの1例でしかない。

一方、ヨルダン川西岸地区の各地にあるイスラエル入植地で暮らす70万人の多くは、飲用し、スイミングプールを満たし、作物に水を与え、洗車をするのに十分な水の供給を受けていると思われる。

何週間も続けて蛇口から水が出なくなった時への備えとして、巨大な白黒のプラスチック製貯水タンクがパレスチナ人住居の屋上にはよく見られるが、いつでも水が使える近隣のイスラエル入植地にはほとんどない。

イスラエル当局は、新たな井戸を掘ったり増圧ポンプを設置したりするための認可申請を拒絶しながら、パレスチナ人の水の85%を抜き取ってパレスチナ人に販売していると非難されてきた。

ラマッラーにある約65の賃貸住宅や店舗が入った居住用および商業用ビル5棟の管理人を務めるバサム・ダルウィーシュ氏はアラブニュースに対し、市民の住宅に給水される時間と日数が減っているため、今年の水の危機は昨年よりひどいと述べた。時には、地域に水が届くまで10日もかかることがあるという。

「管理しているビルの入居者から毎日問い合わせがあり、誰もが私に、いつ水が届くのか、なぜ断水しているのかと尋ねます。私は答えることができず、一部の入居者は自費でタンクを購入するために貯水タンクの所有者の電話番号を私に尋ねてきます」と彼は述べた。

ダルウィーシュ氏は4月から供給が減ってきていると指摘した。

イスラエルの国営水道会社Mekorot が管理する42基の井戸のうち34基はヨルダン渓谷のパレスチナ人の土地にあった。パレスチナ自治政府はイスラエルにヨルダン川西岸地区への水の販売量を増やすよう要請しているが、イスラエル側はパレスチナの水インフラでは多くの水を処理することができないと主張している。

ナブルスの南にあるベイタの町長マフムード・バルハム氏は、15,000人が暮らす自分の町では必要な水の50%の量しか手に入らないと語った。

そして、「2,400カップの水が必要ですが、Mekorotは1,200カップ分しか供給せず、町への給水は断続的です。街の人口は大幅に増えているのに、Mekorot は8年間にわたって水量を増やすことを拒否してきました」と述べた。

同氏は、イスラエル当局は村の土地に井戸を掘ることを許可しないと指摘した。

エルサレム水道公社(Jerusalem Water Undertaking)の運営部長バサム・アル・サワルヒ氏はアラブニュースに対し、制約がありながらも、今もラマッラーとAl-Bireh地域の38万人の住人に基本的な水の需要を満たす供給ができていると述べた。そして、当局は危機を緩和するためにラマッラー近辺の井戸の復旧を模索していると語った。

夏場は1日の平均水消費量は60,000から65,000立方メートルだが、エルサレム水道公社は顧客たちに1日あたり53,000立方メートルしか供給できないと、アル・サワルヒ氏は指摘した。

Mekorot は1日あたりの供給量を近年の38,000立方メートルから32,000立方メートルに減らしており、減らした分をラマッラー周辺のイスラエル入植地に送っていると非難されている。

7月1日には、パレスチナ人の若者数十人がベツレヘムでの水不足に抗議して街の南の入り口を封鎖した。

しかし、イスラエル当局は市民への水の供給はパレスチナ自治政府の仕事だと主張している。アル・サワルヒ氏は、イスラエルが200の接続ポイントを使って年間7,600万立方メートルの水を余分に送水していると主張した。

ラマッラーに暮らすパレスチナ人で貯水タンクを所有しているモハメド・アブ・カッセム さんは、住人やカフェ、レストラン、ホテルのオーナーからのタンク購入の申し出で携帯電話が鳴りっぱなしだと、アラブニュースに語った。

彼は、現在の状況は11月初めまで良くならないだろうと語った。そして「パレスチナ人とイスラエル人の間の次の戦いは、土地だけでなく水をめぐってのものになると思っている」と述べた。

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