
アラブニュース
イランは、イラン人指揮官への米国のドローン攻撃に関連し、イラク駐留中の米軍に水曜未明、ミサイル攻撃を行ったと発表した。イラン人指揮官の米国による殺害は、中東での紛争拡大について懸念を引き起こしていた。
現地時刻の午前1時30分にテヘランはイラン領から、米国主導の連合軍が駐留する少なくとも2カ所のイラク軍基地へ10数個以上の弾道ミサイルを発射した、と米軍が火曜に伝えた。
国営テレビの発表によれば、先週のガーセム・ソレイマーニー氏殺害への報復としてロケットを発射したことを、イランのイスラム革命防衛隊は認めた。
発表では、これ以上の死を防ぐため同地域からの軍の引き上げが米国に勧告された、と同テレビは伝えた。
米国国防総省は、この攻撃の犠牲者についての情報を公表していない。
「我々は戦闘被害の一次評価を行なっているところです」と国防総省スポークスマンのジョナサン・ホフマン氏は声明の中で述べ、攻撃を受けたのはアル=アサド空軍基地とイラク、アルビルのもう1カ所の基地であることを付け加えた。
「状況と対応を見極める中で、我々は同地域の米国国民、パートナー、同盟者を防衛するため、あらゆる必要な措置を取っていきます。」
2018年12月にアル=アサド空軍基地を訪問したドナルド・トランプ米大統領は、攻撃についての報告を受けて状況を見守っている、とホワイトハウスのスポークスマンであるステファニー・グリシャム氏が述べた。
「イラクでの米国施設への攻撃報道は、認識しています。大統領は説明を受け、状況を注意深く見守りつつ国家安全保障チームと協議しています」声明の中でグリシャム氏は述べた。
攻撃のニュースを受け、マイク・ポンペオ米国務長官およびマーク・エスパー米国防長官がホワイトハウスに到着した。米国から何らかの対応があるのか、それがどのようなものになるのかは不明だ。
数時間さかのぼって火曜にエスパー氏は、精鋭コッズ部隊ソレイマーニー指揮官のイラクでの金曜の殺害を受け、米国はイランによる報復に備えるべき、と語っていた。
「彼らが何らかの形で報復することを我々は予測しておくべき、と私は考えます」国防総省での記者会見で彼は述べた。またそのような報復は、イランの支援するイラン国外の代理グループを通して、あるいは「彼ら自身の手で」行われるかもしれない、と付け加えた。
「我々は、どのような不測の事態にも備えがあります。彼らが何を仕掛けようと、適切に対応していく考えです。」
ロケット攻撃ニュースを受け、アジア株式市場は急速に落ち込んだものの、一方で日本円や金を含む投資家避難先は高い伸びを見せた。
ソレイマーニー氏は、米軍をイラクから追い出すキャンペーンを長期に渡り組織化していた中心人物だった。また彼は、中東におけるテヘランの代理軍ネットワーク構築を担ってもいた。
聖職者による指揮の支持派でもそうでなくとも、イランの多くの人々にとって彼は国民的英雄だった。だが、レバント地方、そしてガルフ地域へのイランの影響力に対立する西側政府からは、危険な悪人と見られていた。
「我々は報復する」
イランの高官は火曜、ソレイマーニー氏殺害へ復讐するため、テヘランは複数のシナリオを検討していると述べた。別の高官は、行動を起こす時にはイスラム共和国は殺害の規模を合わせるが、それには時と場所を選ぶだろう、と述べた。
「我々は報復する。激しく決定的な復讐を行うだろう」と火曜、ソレイマーニー氏の葬儀で通りを埋めた大勢に対し、イラン革命防衛隊のホセイン・サラミ総司令官は語った。イラン南東部にある故人の故郷、ケルマーンでのことだ。
イランの半公式機関、ファールス・ニュース・エージェンシーが伝えた救急隊員の言葉では、ソレイマーニー氏の埋葬は、少なくとも56人が死亡し210人以上が負傷した群衆の暴走の後、数時間遅れた後に行われた。
半公式ニュース機関のISNAによれば、 ソレイマーニー氏の遺体は市内墓地の「殉教者区域」へ埋葬のため到着する前に、イランの首都テヘランだけでなくイラクおよびイラン内のシーア派イスラム都市へも運ばれた。
それぞれの場所で大勢の人々が通りを埋め、感情的に涙を流しながら「アメリカに死を」と唱えた。アーヤトッラー・アリー・ハーメネイー最高指導者は、テヘランで祈祷を指揮しながら嘆き悲しんだ。
イラク領土におけるソレイマーニー氏殺害への民衆の強い反発を受けて、イラクの議員らは日曜、国内からの全ての他国軍立ち退きを要求するため投票を行った。
イラクには、ダーシュ過激派の脅威に対抗し、イラクの治安部隊を訓練および支援した連立の一環として、他国軍と共に5,000以上の米国軍隊が残っている。
NATO職員はロイターに、数百人のトレーナーをイラクから退去させるだろうと語った。カナダは火曜、イラクに拠点を置く500人ほどの部隊を安全のため一時的にクウェートへ移動させる、と述べた。
エマニュエル・マクロン仏大統領は、イランのハサン・ロウハーニー大統領への電話で火曜、一帯の緊張を悪化させるどのような行為も避けるようテヘランに要請した。
米国高官は、ソレイマーニー氏指揮下で地域内の米国ターゲットに攻撃が計画されていたという確かな情報があったために同氏は殺害された、と述べている。だが米国は、その証拠を何ら提示していない。
イラン最高安全保障理事会のアリー・シャムハーニー秘書は、13の「報復シナリオ」が検討されていると述べた、とファールス・ニュース・エージェンシーが報じている。その中で最も控えめな選択肢でも、「アメリカにとって歴史的悪夢」を証明するだろう、と彼は語ったという。
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