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抗議者が被抑留者の釈放を求める中、レバノンの銀行が休業

治安上の懸念による3日間休業の初日、ブロム銀行シドン支店の傍を通り過ぎる男性。2022年9月19日、レバノン南部のシドン。(ロイター)
治安上の懸念による3日間休業の初日、ブロム銀行シドン支店の傍を通り過ぎる男性。2022年9月19日、レバノン南部のシドン。(ロイター)
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20 Sep 2022 02:09:17 GMT9
20 Sep 2022 02:09:17 GMT9
  • IMFは停滞している救済計画を監視するためにベイルートで協議を開始した

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンの銀行は月曜日から3日間の休業に入った。預金者による押し入り強盗を防ぐことを目的とした銀行協会の決定によるものだ。

今回の措置は、注目を集めている一連の事件を受けたものである。預金者が銀行支店に押し入って、3年前から凍結されている米ドルの預金を引き出そうとする事件が相次いでいるのだ。

バサム・マウラヴィ暫定内相は、ベイルートや他の地域で相次いでいる銀行への押し入りを「組織的なもの」と称した。銀行協会は、従業員と顧客の安全を確保し預金者の権利を保護するために「必要な措置を講じる」よう求めた。

銀行の中央部門の一部は月曜日も運営上の機能を維持し、中央銀行のサイラファ・プラットフォームは休業の影響を受けなかった。闇市場の米ドル為替レートは、国内の政情・治安の混乱から予想されたほどの上昇を見せず、3万8350レバノンポンドに留まった。

銀行支店の多くは再開後、顧客の検査を行ったり、予約した顧客のみを受け付けるなど、厳しい自衛策を取る予定だ。

レバノン預金者協会のハッサン・ムグニエ会長は、「休業しても進行中の危機を解決できない。木曜日に銀行が営業を再開したら、また強盗が相次ぐだろう。他の所を解決しなければならないということだ」と警告した。

月曜日の午前、銀行強盗に関与した活動家らの抑留に抗議する大勢の活動家がベイルートの司法宮殿に押し入ろうとした。軍は、宮殿に立ち入ろうとする活動家や家族らを阻止した。

叫び声が響き渡る中、抗議者たちはモハメド・ルストム容疑者とアブドル・ラーマン・ザカリア容疑者の釈放を要求した。両容疑者は、妹の病気を治療するために玩具の銃を使って預金の引き出しを要求したサリ・ハフィズ容疑者を支持してブロム銀行に押し入ったため抑留されている。

政治アナリストのアリ・ハマデ氏は、「レバノン国民の怒りは大きい。支配階級全体をひっくり返す革命が必要だと誰もが話している」と言う。

ドル為替レートの上昇、闇市場におけるドル上昇に上限がないこと、大統領空位の恐れといったレバノンの最近の情勢に、国民は懸念を深めている。

また、電力不足などの生活条件の悪化への抗議として、ベイルートや他の地域においてゴミ箱で道路を封鎖したり自動車のタイヤを燃やしたりした団体もあった。

経済アナリストのヴィオレット・バラア氏は、「政治階級が預金者や国民の苦しみの声に耳を貸さない限り、社会や生活の現実の負のショックの結果として不安定になっている治安状況を一部の受益者が利用しないことは誰も保証できない」と言う。

さらに、「堂々巡りをしていたら、政治階級のためにも銀行のためにも預金者のためにもならない」と警告する。

月曜日、IMFの代表団がベイルートに到着し、直ちにユセフ・ハリル財務相、銀行経営者、専門家グループとの協議を開始した。代表団は多くの行政官、銀行家、経済団体とも会談する予定だ。

IMFの代表団を率いるのは、レバノン担当ミッションチーフのエルネスト・ラミレス・リゴ氏だ。

同氏は、今回のミッションは「非常に精密な」ものだとしたうえで、その主な目的は「IMFとの間で結ばれたシニアスタッフレベルの合意のもとでレバノンが実行したことについて知ること」だと述べた。

「第二の目的は、将来的な理解に至るために、レバノン当局に対し合意内容の実施を続けるよう求めることだ」

経済観測筋によると、今年4月にIMFのとの間で結ばれた合意の項目の中で実行されたものはないという。銀行の秘密保持に関連した法律は国会が承認したが、大統領によって凍結された。

さらに言えば、国会は停滞中の復興救済計画に含まれる2022年度予算、資本規制法、銀行再建法もまだ承認していない。

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