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国連、「『イエメンは変革への準備はできている』が、終戦には抜本的な打開策が必要」

イエメンにおいて戦闘は全般的に減少傾向ではあるものの、現地の状況は依然として「脆弱で困難」かつ「最前線は静穏にはほど遠い」とグルンドベルグ特使は警告した。(ロイター通信 / 資料写真)
イエメンにおいて戦闘は全般的に減少傾向ではあるものの、現地の状況は依然として「脆弱で困難」かつ「最前線は静穏にはほど遠い」とグルンドベルグ特使は警告した。(ロイター通信 / 資料写真)
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11 Jul 2023 09:07:23 GMT9
11 Jul 2023 09:07:23 GMT9
  • ハンス・グルンドベルグ国連特使は、「維持可能」なイエメン全土での停戦への合意と敵対的な経済政策の撤回を全当事者に求めている
  • ジョイス・ムスヤ緊急援助調整次官は、イエメンに到着した移民が依然として強請や誘拐、身体的虐待の脅威にさらされ続けていると述べた

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク市:イエメン政府とイランの支援を受けたフーシ派の間で合意に至った停戦は10ヶ月以上前に失効したが、イエメン国民は児童死亡数の減少やフダイダ港経由での燃料輸送の継続などそのメリットを受け続けていると国連が月曜日に述べた。

国連は、また、サヌアからサウジアラビアへのハッジ巡礼者が搭乗した民間航空便も7年ぶりに飛行許可を受けたと付け加えた。

この比較的平和で穏やかな期間が紛争を一旦終結させることを目的とした当事者間の重要な話し合いの機会を提供していると、イエメン担当国連事務総長特使のハンス・グルンドベルグ氏は語った。しかし、紛争終結を実現するためには和平交渉において「抜本的な打開策」が必要となるとグルンドベルグ国連特使は述べた。

このコメントは、グルンドベルグ国連特使が、安保理でイエメンの正統政府とフーシ派の間の今後の合意を仲介していくための現在の取り組みについて説明した際のものである。グルンドベルグ特使は、こうした話し合いへの地域の後押し、特にサウジアラビアとオマーンからの支援に謝意を表した。また、同特使は、3月の大規模な捕虜交換協定を基盤としてさらに多数の拘束者の釈放を行うことについて協議するための両紛争当事者間の会談を主催したヨルダンに対しても感謝した。

イエメンにおいて戦闘は全般的に減少傾向ではあるものの、現地の状況は依然として「脆弱で困難」かつ「最前線は静穏にはほど遠い」とグルンドベルグ特使は警告した。ダーリウやタイズ、フダイダからマアリブやシャブワ、イッブまで、暴力の火花が「恐怖と緊張を増加」させ続けていると同特使は語った。グルンドベルグ特使は、「挑発的な軍事行動やさらに深刻な悪影響を将来に及ぼすような発言を慎む」ことをすべての紛争当事者に呼びかけた。

さらに、経済的な闘争も一般市民に犠牲を強いていると、グルンドベルグ特使は警告した。

「収益を生み出す港湾や交易路、銀行セクター、通貨、天然資源を支配しようとする闘争は、政治的、軍事的衝突と分別出来なくなってしまっています」と、同特使は語った。

移動の自由も「大きな」課題となったままである。

「紛争に関連した道路封鎖のため、日々数千人のイエメン人が安全性の低い経路を使用せざるを得ず、その結果、物資の輸送コストが100%を越えて上昇中です」と、、グルンドベルグ特使は述べた。「地雷や不発弾、そして気候変化由来の異常気象は、一般市民の移動の自由をさらに深刻に制限しています」

「移動の自由の制限は、女性や少女にとって、紛争の過程で一層顕著になってきました。女性や少女の移動には男性の親族の同伴が必要という条件が、この1年で大幅に拡大しました。特にアンサール・アッラーの支配地域においてです」と、グルンドベルグ特使は、武装組織フーシ派の正式名称を用いて付け加えた。

「この条件は、また、イエメン国内のいくつもの地域の検問所で武装グループによってしばしば課されています。女性が基本的なニーズを満たすことや、経済的機会に参画したり政治や平和実現の過程で役割を担うことは、こうした制限によって阻まれてしまっているのです」

スウェーデン出身の外交官であるグルンドベルグ特使は、「一時的な平和を求めるような余裕は私たちにはありません」と述べ、全当事者に対して「維持可能な全国的な停戦」を含むさらに継続可能で公正な和平への「より力強い一歩」を踏み出すよう呼びかけた。そして、当事者間の分断を深めイエメンのさらなる分裂を招く敵対的な経済政策の撤回と、イエメン国内の経済的結びつきの強化、そして、サヌア国際空港からの運航便数の増加を求めた。

国連のジョイス・ムスヤ緊急援助調整次官は、安保理メンバー国にたいして、「イエメンは変革への準備はできている」ものの、政治的過程の進捗に合わせて、「私たちは、人道面において、警戒を怠らず、能動的でいなければなりません」と、語った。

生存のために援助を必要としているイエメンの2,200万人にとって支援の必要性は「当面高いまま」であると、ムスヤ緊急援助調整次官は警告した。国際的な人道援助対応は必要とされる資金額のたった29%の水準にとどまっており、その結果、難民や国内退避を行っている人々への安全な避難所や食料援助の提供が極端に削られていると、ムスヤ次官は付け加えた。

「移民や亡命希望者、難民はこうした人々の中でも最も脆弱な立場にいます。そして彼らの人数は増加しているのです」と、ムスヤ次官は述べ、年初来77,000人以上の移民がイエメンに到着しており年末までにはこの人数が倍増する見込みであることを付け加えた。

「イエメン国内の複数の社会的弱者の集団の中で、人数という点では最大ではないものの、難民は深刻なリスクに直面し保護を必要としています」と、ムスヤ次官は語った。

「移民たちは、通常、より良い機会を求める途上でイエメンに到着します。しかし、イエメンに入国後、彼らは、強請や誘拐、身体的虐待といった搾取や暴力に直面することがしばしばなのです。亡命希望者や難民は移民と同経路で合流して到着した後、同様の脅威に直面することになります。そして、女性たちや少女たちは、特に危険にさらされているのです」

ムスヤ次官は、全ての紛争当事者に対して、「その支配下の地域の民間人の、健康、食料、水、避難所を初めとする不可欠なニーズに対応する義務を果たす」事を求めた。

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