
ベイルート:
カルロス・ゴーンが日本からレバノンへ大胆に逃亡してみせたことは、彼が富と影響力を持つことを浮き彫りにした。しかしレバノンは深刻な経済危機にみまわれており、ベイルートに滞在中の元日産会長が銀行から引き出せるのは週にわずか数百ドルに過ぎない。
ゴーンが子供時代を過ごしたレバノンは、この数十年間で最悪の財政的および経済的緊急事態に苦しんでいる。ドルの不足によりレバノン・ポンドは低迷しており、銀行は貯金の引き出しに制限をかけている。
木曜日に行われたレバノン人ブロードキャスターとのインタビューの中で、資金をレバノンの銀行に送金するつもりであるかを問われたゴーンはそれに対し、「あまり良い質問ではありませんね」と述べた。
「レバノンに資金を移した場合、その資金が使えなくなることはご存知と思います。私はこれまでレバノンに投資をしてきたのでレバノンの銀行には資金がありますが、レバノンの一般市民と同じように、週に250ドルもしくは300ドルしか下ろすことができないのです」と彼はアルジャディードTVに語った。
「私を取り巻く状況は、一般のレバノン人と同じである」
65才になるゴーンは、収入の過少申告、背任、会社資金の不正流用の容疑(本人はこれらの容疑を全て否定)で日本において裁判を受けることになっていていたが、先月日本から逃亡した。
レバノンの経済危機を受け、企業では雇用の削減や給与・勤務時間の削減を行っている。世界銀行は経済状況が悪化すれば貧困率が50%に達する可能性があると発表した。
この経済危機の根本原因の1つが国内にはびこる汚職や浪費であり、レバノンは世界で最も深刻な負債を抱える国の1つである。
ゴーンは、仮に請われれば、専門知識を活かしレバノンの力になりたいと語ったが、役職を得たり政治に関与することは望んでいない。
レバノンの有力政治家であるワリード・ジュンブラットは、木曜日ツイッターでゴーンに対しエネルギー相に就任することを提案した。この国営セクターは、公的資金が注ぎ込まれているにもかかわらずレバノンの電力需要を満たすことに失敗している。
インタビューの中でゴーンはジュンブラットの提案を光栄に思っており、「彼には感謝しています。しかし引き受けることはないと思います。」と述べた。
ロイター