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ベイルートを対象とした緊急事態法は、軍による弾圧の恐怖を巻き起こす

ベイルートでの爆発事故の余波の中行われた抗議行動に対し、レバノン軍の兵士が配備されている。(ロイター通信)
ベイルートでの爆発事故の余波の中行われた抗議行動に対し、レバノン軍の兵士が配備されている。(ロイター通信)
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14 Aug 2020 08:08:34 GMT9
14 Aug 2020 08:08:34 GMT9
  • 大規模爆発後初めてとなる議会において、レバノンの国会は木曜日、軍が国家安全保障上の脅威とみなす集会を禁止することを認める法案を可決した。
  • 人権団体らは、緊急事態法はレバノン軍に抗議活動を鎮圧するための広範な権限を与え、活動家らが軍事法廷のなすがままにされてしまうと警告した。

ナジア・フーサリ

ベイルート :レバノンの議会は軍に大規模な権限を与える首都ベイルートを対象とした2週間の非常事態宣言を可決した。これにより市内の抗議活動の取り締まりに対し警鐘が鳴っている。


首都ベイルートでの爆発事故により170人以上が死亡、6500人以上が負傷し、内閣総辞職を余儀なくされた10日後に、新たな厳しい措置が承認された。

レバノン議会は木曜日、爆発後初めて開催された議会において、軍が国家安全保障上の脅威とみなされる集会を禁止し、民間人に対する軍事法廷の管轄権を拡大することを認める法案が可決された。

人権団体は、非常事態法はレバノン軍に対し、抗議活動を鎮圧するための広範な権限を与え、活動家らが軍事法廷のなすがままになってしまうと警告した。

レバノン議会は、議会本部が爆発により大きな被害を受けたため、ベイルートにあるユネスコ宮殿の建物内で招集された。

爆発の翌日、ハッサン・ディアブ首相の内閣により非常事態宣言が発出された。

その5日後、政府当局の怠慢が広く非難されている大規模爆発に対する「報復」を求める怒りの抗議行動の中、内閣は総辞職した。

情報筋がアラブニュースに語った情報によると、レバノンの司法当局は現在、救命活動に参加し、爆発の原因を究明するために爆発現場を調査したフランスの専門家の報告を待っているという。

レバノンの司法当局は、「逮捕中の当局者や目撃者への調査によると、今回の爆発は、安全対策を取ることなく、7年もの間、港の倉庫に2750トンの硝酸アンモニウムを保管することを許可した過失によるものである」と結論づけた。

ある情報筋によると、「今回の爆発を担当している調査官が、治安関係者の証言を聞いた」 という。

また、今後調査官らは、元公共事業相であるガジ・アリディ氏、ガジ・ゼイター氏、ユセフ・フェニアノス氏、さらに、元司法・財務相のサリム・ジュレイサティ氏、アシュラフ・リフィ氏などにも聞き取り調査を行う予定である。

一方で、司法調査官の指名をめぐる複雑な問題もある。

アラブニュースは高等司法評議会が、世話役の司法大臣から提案されたタレック・アル・ビタール判事の指名を検討したという情報を得ている。しかし、アル・ビタール判事は辞退している。

情報筋によると、「アル・ビタール判事はその後、自由愛国運動に所属する2人の大臣から辞退を撤回するよう求める圧力を受け、その結果、高等司法評議会は彼の指名について留保を表明することになった 」という。

ナディム・ジェマイエル氏、ポーラ・ヤコビアン氏、サミ・ジェマイエル氏、エリアス・ハンカク氏、ミシェル・モアワド、ニーマット・フレム、ヘンリー・ヘルウ、マルワン・フマデの8人の国会議員が、この爆発事故を受けて辞職した。また、レバノン軍団所属の議員らは議会出席を拒否した。

抗議者らは議会開催中にユネスコ宮殿の近くに集まり、スローガンを唱え、レバノンの国旗を振っていた。

ナビ・ベリ議長は、「国が目の前で死にかけている 」最中に、職務を怠り辞職した国会議員らを非難した。

ベリ議長は、「腐敗と戦い、レバノンの団結を回復することを第一の目標とし」、新政府を速やかに樹立することを求めた。

議会の開会時間ははわずか40分であったものの、この間に議会調査委員会を求める者と国際的な調査を要求する者との間に分裂が生じた。

ウサマ・サード議員は、非常事態宣言が公共の自由を妨げると警告した。

「今、我々が軍や治安部隊に求めることは、高圧的な機関となることではなく、国民を支援する存在となってほしいということだ」と語った。

抗議活動中に負傷した人々を治療する医療団体「ホワイトシャツ」は、治安部隊により近年、抗議者に対して致死性のある「細断された」銃弾が使用されたと主張した。これは身体に大規模な内部損傷を引き起こす爆発性の投射弾である。

「ホワイトシャツ」は記者会見を開き、病院に搬送された抗議者の中に衝撃的な怪我を負った者がいることを示すレントゲン写真を公開した。

元保健大臣のモハメド・ジャワド・ハリフェ氏もすぐにツイッターでこの銃弾の使用について警告した。

殉教者広場には何百人ものボランティアが集まり、壊滅的な被害を受けた街中の家屋やオフィス街、店舗から瓦礫や割れたガラスの撤去作業を手伝った。

また、木曜日までに180機以上の航空機がレバノンに緊急物資を運んだ。救援活動は現在レバノン軍によって調整されており、食料、テント、医療品などの物資を保管・配給している。

木曜日にベイルートに到着したアメリカのデイビッド・ヘイル政治担当国務次官は、声明の中で次のように述べた。「経済・財政改革を実施するとともに、機能不全の統治と約束したことが実現されない事態に終止符が打たれなければならない。」

「すべてのレバノン人は、レバノン人以外の者ではなく、レバノン人自身によって導かれた国を見たいと願っている。」

「アメリカはレバノン人々の意志を反映し、それに応え、真の変化のために真摯にコミットし、行動する政府を支援する準備ができている。」

ヘイル国務次官は、「この爆発に至った経緯について誰もが持っている疑問に答え、レバノンと協力していくため」、レバノン政府の要請によりレバノン政府と国際調査団の調査に米連邦捜査局(FBI)が合流すると述べた。

フランスのフロランス・パルリ軍事大臣もベイルートに到着しており、金曜日にはイランのモハマド・ジャワド・ザリフ外相も到着する予定である。

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