
アラブニュース
ジェッダ:トルコとの国境沿いで暴力行為が急増する中、シリア北部で19日、少なくとも民間人19人が殺害された。
アサド政権軍が、国境沿いの町アルバブにある混雑した市場を砲撃し、15人が死亡した。この町は、トルコに統制されているシリア兵の支配下にある。
シリア北東部のクルド人半自治区では、ハサカ市近郊の女子用リハビリ施設がトルコに攻撃され、子供4人が死亡、11人が負傷した。
新たな殺戮は、アサド政権が支援するクルド人主体のシリア民主軍(SDF)と、トルコ軍やシリア国内のトルコの代理勢力との緊張の高まりを背景に起きた。
シリアに情報網を持つ英国の監視団体「シリア人権監視団」は、アルバブへの砲撃はアサド政権の陣地から発射されたと発表した。SDFの報道官は一切の関与を否定した。
砲撃は市場を直撃した。目撃者は、体の一部や散乱した野菜、大破した手押し車でめちゃくちゃになっていたと話した。
トルコとシリアのクルド人との武力衝突は今週エスカレートした。トルコは死者を伴う空爆を行い、アサド政権軍の兵士やクルド人兵士17人が死亡した。これは、クルド人によるトルコ国内での攻撃に対する報復だ。
SDFは米国と同盟して過激派組織ダーイシュと戦っているが、トルコは、SDFを主に構成しているクルド人を、非合法武装組織クルド労働者党(PKK)とつながりのあるテロ組織とみなしている。
11年に及ぶシリア内戦で対立する各派閥は、北部をいくつかの地区に分割して支配している。アルバブは、トルコが支援する反体制派が支配するアレッポ県の地域にある。その他の地域は、ロシアが支援するアサド政権軍に支配されている。
ダマスカスでアサド政権と対話を始めた、クルド人組織が主導するSDFは、北部、北東部の一部も支配している。
トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は、シリア北部のクルド人に対して新たな軍事行動を取ると脅しているが、同盟国であるイランとロシアから許可を得られていない。
エルドアン氏は19日、クルド人勢力への攻撃を強化しているにもかかわらず、「トルコはシリアの領土を一つも奪うつもりはない」と主張した。
「我々はシリアの領土に目を付けていない。シリアの人々は我々の同胞だからだ」とエルドアン氏は述べた。「アサド政権はこのことを分かっているはずだ」
しかし同氏は、アサド政権との激しい対立の後、トルコがアサドとの和解を受け入れる可能性も示唆した。「政治においては何の恨みもないはずだ」と同氏は述べた。