
アリ・ユーネス
ワシントン:イランの反体制派グループがイブラヒム・ライシ大統領に対し、1988年の政治犯数千人の大量虐殺に関与したとしてアメリカで訴訟を起こした。
先週ニューヨーク州で提出された訴状では、イランの体制に反対する3万人が、悪評の高い、テヘランにあるエビンとゴハルダシュトの両刑務所で不正な仕方で、かつ正規の手続きなしに死に追いやられたとの主張がなされている。ライシ氏は2021年8月に大統領に選出された。
イラン国家抵抗評議会(NCRI)のアメリカでの代理人、ソオナ・サムサミ氏は1988年の夏、最高指導者ホメイニ師がモジャーヘディーネ・ハルグ(MEK)に忠実なメンバーや協力者を即時に殺害せよというファトワを出したと説明し、続く3か月間で何千人もが絞首刑になったと付け加えた。
「MEKとNCRIは当初から(事件後から)、1988年の虐殺に正義がもたらされることを求めてきました」とサムサミ氏は木曜日に提訴を発表した記者会見で述べた。この会見には、アラブニュースも参加した。
「この正義を求める運動は、現体制が転覆し、イランに自由と民主主義がもたらされるまで続くでしょう」
「今回の訴訟は、この運動の一環で、目標への一歩です。同胞の協力を得て、ライシ氏と(最高指導者アリ・)ハメネイ氏を含む、犯罪に手を染めた体制の指導層が裁きを受けるまで続けるつもりです」
この訴訟の原告は虐殺を生き延びた人々と、犠牲者の家族で、その中にはアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、スイス市民が含まれている。
「このように巨大な犯罪が、今日に至るまで裁かれていないのです」と原告側弁護人の一人、スティーブン・M・シュネエバウム氏は話した。
「アメリカでこれらの原告がこの被告に対して起こした訴えを、連邦裁判所判事が聞くことになります。これは、目標への小さな一歩です」
シュネエバウム氏はまた、ライシ大統領が9月に行われる第77回国連総会に出席するためにニューヨークに来れば、直接訴状を渡すことができるという期待を持っている。
訴状によれば、ライシ大統領は虐殺当時、テヘランで次席検事を務めており、したがって「死の委員会」、つまり政治犯たちの有罪判決と刑の執行を監督する立場にあった4人の内の一人である。告発は体制全体ではなくライシ氏個人に向けられている。
原告の一人、アフマド・ハッサニ氏は現在カナダの市民権を持つイラン人だが、テヘラン大学の21歳の学生だった兄弟のマフムード氏が、MEKを支持する政治活動に参加したことから刑務所で拷問を受け、絞首刑になった時のことを語った。
「何万人もいる虐殺の生存者や犠牲者の家族とともに、責任を追及します」と彼は話す。「国連は、これほど明らかに人道に対する罪であるものを調査しなければなりません」
別の原告、イラン系アメリカ市民のシーラ・ネイナヴァイエ氏は、1980年代にイランの刑務所で15歳からの8年間を過ごし、拷問と虐待を受けた経験を語った。
「そこで見たことや経験したことを思い出すと、今でも夜中に目が覚め、涙がこぼれます」と彼女は言う。
会見の出席者も認めているように、ライシ氏に対する告訴は法的・政治的困難に直面する可能性が高い。イラン大統領としての地位により、ライシ氏はアメリカも加わった1961年の外交関係に関するウィーン条約に基づいて訴追免除を主張できるため、起訴を免れることがありうる。
現在、アメリカとイランは2015年のイラン核協定、正式には包括的共同行動計画へのアメリカの復帰の可能性をめぐって交渉中だが、協議は長引いている。このような状況から、ライシ大統領への訴追への努力はさらに困難なものになるかもしれない。当時のアメリカ大統領ドナルド・トランプ氏は2018年、協定から離脱した。
ライシ氏への訴えを担当する判事が11月15日に予備審問を行う予定である。