
ドバイ:紅海でイラン海軍が米の無人艇2艘を拿捕、金曜日に解放したと当局者が発表した。中東の海上で、米海軍の新型無人艇に生じた一連の事件としては最新のものだ。
イラン国営テレビは、2艘のセイルドローン社製無人艇エクスプローラーをライフジャケットを着用した船員が調べている映像を放映。イラン海軍の駆逐艦ジャマランの甲板で撮影されたとする。遠くに別の戦艦が見えるなか、彼らは1艘を海に投げ捨てた。
国営テレビは、「国際海上航路に放棄された数艘の無人偵察艇」をイラン海軍が木曜日に発見したと伝えた。
「駆逐艦ジャマランは衝突を防ぐため米駆逐艦に向け2回警告を発した後、2艘を拿捕」「国際海上航路を確保した後、海上第84戦隊は安全な場所で船を解放した」と国営テレビは報じた。
また「米海軍は、今後同様の事態が起こらないよう警告された」と付け加えた。
ある米国防当局者は軍の正式な声明を待たずに、匿名を条件に、拿捕された無人機をセイルドローン社のエクスプローラーと特定。それらの無人艇は市販されており、科学目的のほか様々な目的で開放水域をモニターするために利用されている。
事件には、紅海で活動するアメリカの駆逐艦2隻と、海軍のヘリコプターが対応したと、同当局者は述べた。また無線でイランの駆逐艦に呼びかけ、金曜の朝に無人艇が開放されるまで追跡したと付け加えた。
「無人艇は米軍により管理されている。我々は同地域での行動を継続している」と語った。
イラン政府と世界列強との核合意をめぐる交渉の行方が不透明ななか、同様の事件が起こったのは最近では2度目となる。
前回の事件は、正規のイラン海軍ではなく、準軍事組織である革命防衛隊によるものでアラビア湾で発生した。革命防衛隊はセイルドローン社のエクスプローラーを曳航した後、アメリカの戦艦が追尾するなかで解放した。イランは、この事件について米海軍が「ハリウッド」のような映像を公開したと批判していたが、金曜日にも紅海で同様の事件が起こった格好だ。
米海軍の第5艦隊は昨年、無人の特別部隊である第59部隊を立ち上げた。海軍が使用するドローンには、超耐久型空中査察ドローン、シーホークやシーハンターなどの水上艇、魚雷のように見える小型の水中無人艇などがある。
第5艦隊の担当区域はホルムズ海峡を含む。アラビア湾のこの狭い海峡は、全石油の20%が通過する要所だ。担当区域は、紅海、さらには地中海に通じるエジプトのスエズ運河の近くまで広がっており、反対側はイエメン沖のバブ・エル・マンデブ海峡を含む。
近年、この地域で海上攻撃が相次いでいる。
紅海のイエメン沖では、数年にわたる内戦が続くなか、イエメンの反政府勢力フーシ派が放った爆弾を積んだ無人艇や浮遊機雷が船舶を破損させている。アラブ首長国連邦やホルムズ海峡の近くでは、石油タンカーがイラン軍に拿捕される事件が発生している。他にも攻撃が起こっているが、米海軍はイランによる攻撃であるとする。
それらの攻撃は、当時の大統領ドナルド・トランプ氏が2018年、イラン核合意からの一方的な離脱を決定してから約1年後に行われている。イラン核合意は、イランがウラン濃縮活動を大幅に縮小する代わりにイランへの制裁を解除するというものだ。
この合意を復活させるための交渉の行方が、現在懸念されている。米国は金曜日、交渉をめぐるイランの最新の回答文書に疑問を投げかけた。
イランは現在、ウラン濃縮度を兵器級に近いかつてない水準に引き上げており、イランの当局者は、その気になれば核爆弾を製造できることを公然と示唆している。イランはその計画が平和的なものであると主張している。ただし欧米諸国や国際査察団は、イラン政府が2003年まで軍事的な核開発計画を有していたとする。