
ダマスカス/ベイルート:シリア沖でこれまでに53人の遺体が回収されたとレバノンの運輸大臣が金曜日、明らかにした。今週初め、レバノンからヨーロッパへの渡航を試みた不運な移民船の死者はさらに増えることになった。
シリア当局は木曜午後、タルトゥース沖で遺体の捜索を開始した。船に何が起きたかについては、未だ明らかにされていない。
危機的状況にあるレバノンを離れて海路でヨーロッパへ向かおうとするレバノン人、シリア人、パレスチナ人が増加する中、今回の海難はもっとも多くの死者を出す事故の一つとなった。
レバノンだけでも、数万人が職を失い、通貨レバノンポンドの価値は90%以上下落した。その結果、極端な貧困状態にある人々の購買力は大きなダメージを受けた。
シリア国営メディアは、生存者の話として、船には150人以上が乗っており、現在も100人以上が行方不明だと伝えた。
タルトゥース県のアブドルハリム・ハリル知事は20名の生存者の見舞いに病院を訪れたという。
事故直後には、乗船者数や船の行先も明らかではなかったが、湾岸警備隊は現在も遺体の捜索に当たっている。
国営メディアはそれ以上の詳細を明かしていないが、何名かの生存者の話として、移民たちはレバノンの沿岸の町ミンイェを数日前に出発し、ヨーロッパへ向かっていたようだと伝えた。船には様々な国籍の人が乗っていたという。
過去数か月で、数千人のレバノン人、シリア人、パレスチナ人が欧州でよりよい機会を得ようと船でレバノンを後にした。
レバノンの人口は600万だが、その内100万人はシリアからの難民である。レバノンは2019年末から深刻な経済危機に見舞われており、人口の4分の3が貧困層に転落した。
4月には、数十名のレバノン人、シリア人、パレスチナ人を乗せた移民船が、海路でイタリアへ向かう途中、トリポリ港から5キロ以上離れた場所でレバノン海軍と対峙した後に沈没した。この事故で数十人が犠牲となった
移民たちが出港しているのは、もっとも貧しい地域であるレバノン北部の海岸沿いからである。
木曜日、レバノン高官は海軍が北部アッカール地方の沖合6海里(7マイル、約11キロ)の場所で機器トラブルを起こした55人を乗せた船を救助したと話した。救助された人々の中には、妊婦2人と子供2人もいたという。
AP/ロイター