
テルアビブ:イスラエル軍は3日朝、ヨルダン川西岸地区を急襲し、パレスチナ人2人を射殺した。パレスチナ当局が発表した。
イスラエル軍は、その2人の男は兵士を車でひこうとしたと主張したが、その主張を独自に確認できなかった。パレスチナ人や人権団体はしばしば、イスラエル軍がパレスチナ人に対して過剰な武力を行使していると非難している。パレスチナ人は、55年に及ぶ、終わりの見えないイスラエル軍の占領下で暮らしている。イスラエルは、厳格な交戦規則に従い、生命が脅かされる状況で発砲していると主張している。
イスラエル軍によると、ラマッラー市近郊のジャラゾン難民キャンプで兵士が容疑者を逮捕しようとしていたときに、そのパレスチナ人2人が兵士を車でひこうとしたという。兵士はその車に発砲した、と同軍は発表した。
パレスチナ市民とイスラエルとの問題を調整するパレスチナ自治政府民政庁は、イスラエル軍が2人を射殺したと発表した。彼らの身元はすぐには明らかにされなかった。
パレスチナ人がイスラエル人を襲撃する事件が相次ぎ、19人が死亡した今年の春以降、イスラエルはヨルダン川西岸地区で毎晩、逮捕を目的とした急襲作戦を実行している。イスラエルの作戦は過激派のインフラを解体し今後の攻撃を防ぐことを目的としている、とイスラエルは主張している。イスラエルはパレスチナの市町村を毎晩急襲することによって、イスラエルが望む国家の領土にしたい土地の占領を進めている、とパレスチナは考えている。
イスラエルの急襲で約100人のパレスチナ人が殺された2022年は、2016年以降では最も多くの死者が出た年になっている。イスラエルによると、死者の大半は過激派だが、急襲に抗議する地元の若者や、数人の民間人も暴力で殺されている。数百人が逮捕されており、多くの人は、いわゆる行政拘禁を受けている。イスラエルが、罪状も裁判もなしに拘留できるというものだ。
急襲によってヨルダン川西岸地区の緊張は高まり、パレスチナ人がイスラエル人を銃撃する事件が増えた。また、イスラエルと国際的に支援されているパレスチナ自治政府が行っている安全保障上の調整をめぐって、パレスチナの若者の幻滅感が大きくなっていることが明らかになっている。イスラエルとパレスチナは過激派を逮捕するために協力している。
イスラエルは1967年の中東戦争でヨルダン川西岸地区を占領した。現在、50万人のユダヤ人入植者が大小130あまりの入植地で生活している。入植地にいるパレスチナ人は3人ほどだ。パレスチナは、東エルサレム、ガザ地区とともに、その領土を将来のパレスチナ国家にしたいと思っている。