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ウクライナ機撃墜が新たな命を吹き込んだイラン国民の抗議運動

流れてくるビデオ映像には、ソレイマニ氏の写真を引き裂く抗議者の姿が映し出された。(ロイター)
流れてくるビデオ映像には、ソレイマニ氏の写真を引き裂く抗議者の姿が映し出された。(ロイター)
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15 Jan 2020 04:01:16 GMT9
15 Jan 2020 04:01:16 GMT9

Christopher Hamill-Stewart

ロンドン:テヘランや各都市では3日連続で反対派のイラン国民が集まり、撃墜によって亡くなったウクライナ機の乗客176人の死を悼み、事故に対する政府の対応に対する抗議を訴えた。悲しみの中始まった集会は、すぐに怒りが発露する場となった。

ウクライナ機の撃墜はイラク国内に存在する米軍基地へのミサイル攻撃の後に起きた。米軍基地への攻撃は、アメリカがバグダッドを空爆し、イランのカセム・ソレイマニ少将殺害したことに対する報復だったが、アメリカはそれに対して即座の反応を示さなかった。

数日にわたってイラン政府が否定やごまかしを続けた後、ウクライナ機撃墜の真相がようやく明らかになると、抗議活動を行う人たちの怒りの矛先はアメリカから政府へと移った。

怒りは爆発し、テヘランやその他複数の都市の大学などでのデモ活動へと発展した。

流れてくるビデオ映像には、ソレイマニ氏の写真を引き裂いたり、彼を殺人者と呼んだり、バスィージ(イスラム革命防衛隊)は「地獄に落ちろ」と繰り返し叫だりして、抗議を行う人たちの姿が映し出された。

撃墜された飛行機には、テヘランにあるシャリフ大学の学生や卒業生が数多く乗っていたことから、同大学で録音された音声には「政府はエリートを殺し、ムッラ(宗教指導者)にすげかえた」というスローガンの声が聞こえてくる。

イラン国内で撮影されたビデオには、抗議者に実弾や催涙ガスが使用している様子もあった。こうした最新の状況は、ソレイマニ氏の死がきっかけとなって抗議活動が起きた頃とはかなり異なる様相を呈している。ソレイマニ氏の葬儀はイラン各地の都市で行われ、数千人にも上る人々が彼の死を悼むために足を運んだ。

英国王立防衛安全保障研究所の研究員であるAnisah Bassiri Tabrizi博士は、ソレイマニ氏の葬儀が執り行われていたころには、「過去に類を見ないほどの団結と国民の支持」があったと強い口調でBBCに語った。

事件の当初は、「軍事的対立によって外部からの脅威にさらされた場合、それぞれ異なる政治的、経済的背景を持つイランの人々が、一つにまとまることもありえた」と言う。

しかし、航空機撃墜に対する政府の今回の対応は、少なくとも300人以上の死者を出した11月に発生した騒乱のような事態が再び起こす可能性がある、とTabrizi博士は続けた。イランから流れてくる抗議活動の映像を見ると、確かにそのときと同じ流れをたどっているように感じられる。

イラン政府は、暴力とインターネットのほぼ全面的な閉鎖という方法によって反対派の国民を抑えつけてきたが、そこに新たな命を吹き込んでしまった。

国際戦略研究所の研究員であるMahsa Rouhi博士によれば、抗議活動はすでにイランの政情に直接的な影響を与えつつあるという。

議員候補の承認を行う機関である監督者評議会は、2月の選挙に立候補する意思を表明していた多数の中道改革派候補者に対し、失格の決定をしたばかりである。

これによって、次の議会は強硬な意見が大勢を占めることになるだろう、とRouhi博士は言う。

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