
アラブニュース
キーウ:ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍が月曜日午前に複数の都市のエネルギーインフラを標的として激しい攻撃を行った際にイラン製のドローンとミサイルを使用したと述べた。
ゼレンスキー大統領は、自身のフェイスブックアカウントに投稿した動画メッセージの中で、「今朝は厳しい状況になった。我々はテロリストを相手にしている。
何十発ものミサイルとイランの『シャヘド』だ」と述べた。
また、ロシアがこの攻撃でウクライナのエネルギーインフラを標的にしたと非難し、「彼らはパニックと混乱を引き起こそうとしている。
我々のエネルギーシステムを破壊しようとしているのだ。救いがたい」と語った。
さらに、「第二の標的は人々だ。
今回のタイミングと標的はできる限り大きな損害を与えるために特別に選ばれている」と述べた。
ロシアは月曜日の朝のラッシュアワーにウクライナ各地の都市を爆撃し、民間人を殺害するとともにインフラを破壊した。
クリミアとロシア本土をつなぐ橋で起こった爆発について、ウラジミール・プーチン大統領がテロと断定したことを受けた報復攻撃とみられる。
今回のキーウへのミサイル攻撃は、ロシアが侵攻開始直後の数週間で同都市の掌握を断念して以降では最も激しい攻撃となった。
ウクライナ西部のリヴィウ、テルノーピリ、ジトーミル、中部のドニプロ、クレメンチューク、南部のザポリージャ、東部のハルキウでも爆発があったと報告されている。
ロシアのウクライナとの国境近くのベルゴロド地域でも、国境地域から爆発音が聞こえたとの証言があった。
キーウでは市の中心部が攻撃を受けた。
大きな交差点の路上にジーンズを着た男性の遺体が横たわり、周囲では自動車が炎上していた。
公園では、負傷して芝生の上に横たわる女性を手当てするために兵士が服を切り開いていた。
近くでは別の女性が血を流していた。
市警によると、少なくとも5人が死亡、12人が負傷した。
キーウ中心部の公園内の子供の遊び場の傍には大きな穴ができた。
ミサイルとみられるものの残骸が地面にめり込み、ぬかるみから煙が上がっていた。
同日午前のうちに、さらなる連続ミサイル攻撃がキーウを襲った。
歩行者たちは地下鉄の駅の入り口や屋内駐車場の中に避難し身を寄せ合った。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はメッセージアプリのテレグラムで、「彼らは我々を破壊し、地球上から一掃しようとしている」と非難した。
「ウクライナ各地で空襲警報が鳴り続けている。
ミサイルが着弾しており、残念ながら死傷者が出ている」
在キーウ米大使館は警告を発し、ロシアによる激しい攻撃が「民間人や民間インフラに直接の脅威を与えている」として、避難するよう市民に呼びかけた。
また、滞在する米国民に対し、安全を確認したうえで民間の陸上交通を利用してウクライナから即時に退避するよう勧告した。
Russia’s continued strikes in Ukraine pose a direct threat to civilians and civilian infrastructure. The Embassy urges US citizens to shelter in place and depart Ukraine now using privately available ground transportation options when it is safe to do so. https://t.co/0Y5V9TLBYX
— U.S. Embassy Kyiv (@USEmbassyKyiv) October 10, 2022
ミサイルに物を言わせる
ドミトロ・クレーバ外相は次のようにツイートした。
「プーチン大統領の唯一の戦術は、平和なウクライナの都市に対するテロだ。
しかし、彼はウクライナを制圧できないだろう。
これは、和平について彼と話し合いたい全ての宥和派に対する返答でもある。
彼はミサイルに物を言わせるテロリストなのだ」
キーウで最も交通量の多いジャンクションの一つでは、交差点にミサイルによる大きな穴ができた。
自動車は破壊され、建物は損傷を受け、救急隊が出動していた。
穴の傍の車2台とバン1台は完全に破壊され、黒くなり、ミサイルの破片による穴が開いていた。
キーウの主要大学であるタラス・シェフチェンコ大学では、建物の窓が吹き飛んでいた。
完全武装してアサルトライフルを手にした国家警備隊が教育組合の建物の前に並んでいた。
ビタリ・クリチコ市長はソーシャルメディアに次のように投稿した。
「首都がロシアのテロリストによる攻撃を受けている!市中心部(シェフチェンキウスキー地区)とソロミアンスキー地区にミサイルが着弾した。
空襲警報が鳴り、脅威が続いている」
「キーウ中心部の街路は警察官によって封鎖され、救助隊が作業をしている」
市長はこの後、重要なインフラが攻撃されたと述べた。
今回の攻撃は、ケルチ海峡に架かっていたロシア本土とクリミア半島をむすぶ唯一の橋に損害を与えた爆発が発生してから2日後のことだった。プーチン大統領は日曜日、橋での爆発を「死活的に重要な民間インフラの破壊を狙ったテロ行為」と呼んだ。
また、クレムリンのテレグラムチャンネル上の動画で、「この爆発を立案・命令・実行したのはウクライナ特殊機関だ」と断定した。
橋での爆発について、ウクライナは関与を表明していないが、それを祝福した。プーチン大統領による月曜日の安全保障会議を前に、ロシア高官らは迅速な報復を求めていた。
「テロリスト」を殺せ
ロシアのテレビではウクライナに対する大規模な報復を求めるコメンテーターが増えている。
また、ロシア軍が戦場で撃退される中で、軍指導部が初めて国民からの批判に直面している。
プーチン大統領が自ら先導して開通させたこの橋は、ウクライナ南部におけるロシア軍への主要な補給路であり、ロシアによるクリミア支配の象徴である。
ロシア軍は2014年にこの半島を占領して併合を宣言した。
ロシア安全保障会議副議長のドミートリー・メドヴェージェフ氏は、同会議の会合に先立ち、ロシアは攻撃に関与した「テロリスト」を殺すべきだと発言した。
国営タス通信は同氏の発言を伝えている。「ロシアがこの犯罪に対して取りうる唯一の対応は、世界の他の場所でも行われているように、テロリストを直接殺すことだ。
それこそがロシア国民が期待していることだ」ロシア捜査委員会のアレクサンドル・バストルイキン委員長が日曜日に述べたところによると、橋の上で爆発したトラックはブルガリア、ジョージア、アルメニア、北オセチア、ロシアのクラスノダール地方を移動していた。
ウクライナ南東部の都市ザポリージャではロシアによる一晩にわたる攻撃により再びアパートが破壊されたと、オレクサンドル・スタルク州知事が月曜日早朝に明らかにした。市の職員によると、この攻撃で少なくとも1人が死亡、5人が負傷した。
夜明け前に行われたこの攻撃は、ロシアによるザポリージャのアパートに対するミサイル攻撃としては、ここ4日間で3回目となる。
この都市は、ロシアが今月に併合したと主張している4つの部分的占領地域のうちの1つザポリージャ州の州都であり、ウクライナが掌握している。
9月に入ってからウクライナ軍が前線を突破して北東部と南部の領土を奪還したため、ロシアは戦場で大きな後退を余儀なくされている。
この領土喪失を受け、プーチン大統領は予備役数十万人の動員を命じ、占領地域の併合を宣言し、核兵器使用を繰り返しちらつかせた。
AFP