
アラブニュース
ロンドン:国連は土曜日、前日にイエメンのフーシ派が同国ハドラマウト県南部の石油ターミナルに対して行った武装ドローン攻撃を「深く憂慮すべき」軍事的エスカレーションだとして非難した。
ハンス・グルンドベルグ国連イエメン担当特使は、「アンサール・アッラー(フーシ派の正式名称)が犯行声明を出した、昨日10月21日にハドラマウト県のアルダバ石油ターミナルで発生したタンカーを標的とした空襲を非難する」と述べた。
「この重大局面において全当事者に対し、最大限の自制を示すことを求めるとともに、停戦の更新・拡大、永久的な停戦のための基礎の構築、内戦終結のための政治プロセスの活性化、それらに向けた努力を倍加するよう要請する」
「全当事者は国際人道法のもとで民間人や民間インフラを保護する義務に従わなければならないことを改めて表明する」
In a telephone call w/ @OSE_Yemen, we discussed catastrophic consequences of the Houthi attacks on oil ports. I stressed that Houthis reinforce the conviction that they are merely a terrorist group, not a peace partner, calling for a strong stance against these terrorist acts. pic.twitter.com/O7Io5njcV6
— Ahmed A. BinMubarak (@BinmubarakAhmed) October 21, 2022
国際的に承認されたイエメン政府は金曜日、南部の町アル・シフルのアルダバ石油ターミナルが、フーシ派が発射したドローンによる攻撃を受けたと発表した。
ニッソスの石油タンカーが入港の準備をしていた時だったという。
イエメンのアフマド・アワド・ビン・ムバラク外相は、金曜日にグルンドベルグ特使と電話会談を行い、「石油港に対するフーシ派の攻撃がもたらす壊滅的な結果」について議論したことを明らかにした。
同外相は、フーシ派の行いは「彼らが和平のパートナーではなく単なるテロ集団であるという確信を強めた」だけであることを強調するとともに、国連に対して「テロ行為に断固たる姿勢」を取るよう求めたという。
また、スティーブン・ファギン駐イエメン米大使とも電話会談を行い、民間施設や商業港に対する攻撃がもたらす結果や、それによるイエメンの人道危機の悪化について議論したことを明らかにした。
同外相は、「フーシ派のテロを止めるために強硬手段を取るよう求めた」と述べた。
これとは別に、ファギン大使は事件を強く非難したうえで、フーシ派に対し、航行の権利・自由を妨げ国際商取引を危険に晒すこのような攻撃を直ちにやめるよう求めた。
同大使は声明の中で次のように述べた。
「攻撃による死者がいなかったこととタンカーが無事に出港できたことは幸いだが、このような攻撃はイエメンの平和と安全を脅かすとともに必要な物資の流通を妨げるものであり、この国の経済をさらに不安定にし苦境を悪化させることにつながるだけだ」
Ambassador Fagin Condemns Houthi Attack on Ash-Shihr Port pic.twitter.com/7nHTviAZHX
— U.S. Embassy Yemen السفارة الأمريكية لدى اليمن (@USEmbassyYemen) October 22, 2022
「フーシ派に対し喚起したいのは、世界が彼らの行動を見ているということ、また、エスカレーションを止め、交渉による政治的解決を通して持続的な停戦と内戦終結に至るための努力を倍加することが、8年におよぶ破壊的な内戦の終結に向けた唯一の道だということだ」と同大使は述べた。
「停戦の延長を通してのみ、給与支払いを保証し、国内の道路における、また港・空港からの自由な移動を確保し、イエメンを8年間苦しめてきた破壊的な暴力のサイクルを止めることができるのだ」
イギリス政府は次のように述べた。「今回の事件は、真っ先にイエメン国民を傷つけるフーシ派の攻撃パターンの一環である。このような攻撃は貿易の流れを妨げることで、国民にとって重要な日常的商品・サービスのコストを直接的に上げることになる。フーシ派に対し、イエメン国民に危害を加えるのをやめるよう求める」
駐イエメンEU代表部は次のように述べた。「国際海運に対するフーシ派の攻撃は海洋法の基本原則に対する侮辱であり、地域の航路における航行の自由を危険に晒すとともにイエメンの港へのアクセスを妨害するものである」
「基本的な必需品の購買力をイエメン国民から奪っており、また国内への必要物資の流れに影響を与える恐れがある」
4月に発効したイエメンの国連仲介停戦は、フーシ派支配地域における公務員への給与支払いをめぐる相違などで当事者間の合意に至ることができず10月2日に期限切れとなった。
今回の事件は期限切れ以降初めての大規模なエスカレーションだ。
イエメンのビン・ムバラク外相は、スウェーデンのピーター・セムネビー・イエメン担当特使とも電話会談し、国際社会はフーシ派やイランによるドローン攻撃をやめさせるために具体的な措置を講じるべきだと改めて表明した。
アラブ連盟も今回の攻撃を非難し、現在のフーシ派の危険なエスカレーションは停戦更新に向けた国際社会や地域の絶え間ない努力に対する無視・抵抗を示すものであると述べた。
また、フーシ派による石油港への攻撃はイエメンの人道的状況をさらに悪化させるものであるとともに海洋環境汚染を引き起こす恐れもあると指摘した。
アラブ議会は、「フーシ派に立ち向かううえで必要なあらゆること」において正統政府と完全に連帯することを確認するとともに、フーシ派によるエスカレーションや、和平努力をくじく決意を拒否すると断言した。
During a Telephone Conversation with the Foreign Minister of #Yemen, GCC Secretary General Condemns the Terrorist Attack Carried out by the Houthi Militia with Two Booby-trapped Drones Targeting the Dabba Oil Port in #Hadramout
— مجلس التعاون (@GCCSG) October 22, 2022
https://t.co/xuTLX0Un0j#GCC pic.twitter.com/pF6eSrHaJX
イスラム協力機構(OIC)は、今回の攻撃は地域および国際社会のエネルギー供給に対する脅威であり、国連安全保障理事会決議第2216号と国際法・国際規範への違反であるとともに、世界のエネルギー回廊や海洋環境への脅威であると強調した。
OICのフセイン・イブラヒム・タハ事務局長はフーシ派に対し、停戦更新に向けた国際社会と地域の努力に応え、イエメンの危機の政治的・包括的解決に至るためのあらゆる努力に協力するよう求めた。
湾岸協力理事会(GCC)も、攻撃が民間施設・経済施設や世界のエネルギー供給・設備にもたらす脅威に警告を発したうえで、貿易や石油供給の動きを保護し地域の安全・安定を維持するために、このような行いが繰り返されないようにする責任を引き受けるよう国際社会に求めた。
ナーイフ・アル・ハジュラフ事務局長は、イエメンの安全・安定を保証するあらゆるものを支持し、停戦更新および内戦終結のための包括的な政治的解決に向けた正統政府および国連の努力を支援するというGCCの確固たる立場を確認した。
サウジアラビア、UAE、エジプト、クウェート、バーレーン、ヨルダンも、今回の攻撃を危険なエスカレーションとして非難する同様の声明を出し、フーシ派による犯罪を止めるために努力を結集し断固たる姿勢を取るよう国際社会に求めた。