
モハメッド・ナジブ
ラマッラー:マフムード・アッバース大統領が自ら率いる最高司法評議会の設立を決定したことが、パレスチナの人権機関や野党の怒りを買っている。
人権専門家らはアラブニュースに対し、アッバース大統領は立法評議会の不在を利用して、パレスチナ自治政府や企業の中の有力グループの利益にかなうような法律を作ろうとしていると指摘した。
10月28日に出された大統領令によると、この評議会は最高憲法裁判所の長、最高司法評議会の長、大審院の長、最高行政裁判所の長、治安部隊司法当局の長、シャリーア司法評議会の長、法務大臣、国家元首法律顧問、検事総長で構成される。
「人権独立委員会」事務局長であるアマル・ドウェイク氏はアラブニュースに対し、「アッバース大統領率いる最高司法評議会の設立は重大な問題だ」と語った。
また、これらの問題は独立であるべき司法に関わっているため、アッバース大統領は関与すべきではないと続けた。
さらに、根本的な問題は、法の支配に影響を与えるこのような法令が、関係当局に相談することも市民の意見を聞くこともなく、また必要性について大統領府が説明することもなく、相次いで出されていることだと指摘した。
ドウェイク氏によると、最近の弁護士会とアッバース大統領の間の危機の後、ファタハ中央委員会のジブリル・ラジューブ書記長が大統領に介入して問題を解決しようとしたという。
法令は最大限の必要性がある場合のみに出され、発行前には司法当局の意見を聞かなければならないようにすると、弁護士たちは約束されたと同氏は言う。
しかし依然として、司法の独立の必要性を明記しているパレスチナの法律に違反して新たな法令が次々に出されているという。
大統領による決定はソーシャルメディア上のパレスチナ市民たちの怒りを買い、彼らの多くが批判の声を上げた。
元パレスチナ法相で現在はナブルスのアン・ナジャ国立大学の法学教授であるアリ・アル・サルタウィ氏はアラブニュースに対し、毎週のように新たな法律が出されており、この国は立法上の混乱状態にあると語った。
また、法令による法律発行は、ファタハとハマスが分裂し後者がガザ地区の支配を掌握した2007年中頃に始まったと指摘した。
当初は、それらの法令は時間を置いて出され、またセンシティブではない問題についてのものだった。しかし、その発行頻度が増えてきている。
アル・サルタウィ氏は、「全ての国は行政・立法・司法の三権分立の原則に基づいて統治されている。
しかし、アッバース大統領はこの政策を通して三権を自分の命令と支配の下に置こうとしている」と語った。
「一部の者の利益となって他の者に不当な扱いをもたらすとしたら、何のための法だろうか」
ハマス政治局員のイザット・アル・リシュク氏は大統領の動きを非難した。
「アッバース大統領はこの決定によって行政・立法・司法を自分の支配下に置こうとしている」
「大統領は自分がしていることを分かっているのだろうか。我々が求める国民のコンセンサスをどうするつもりなのか」
同氏は、アッバース大統領が最高司法評議会を設立する法令を出したのは、ちょうど最近のパレスチナのアルジェリアにおける和解の動きについてハマスが楽観的になっていた時だったと指摘した。
パレスチナ弁護士会も大統領の動きを懸念している。
この1週間、大統領は医師会を解散させて代わりに自分に忠実な会を設立したが、約4000人の医師がその決定に抗議して民間病院や公立病院での勤務を停止したため、撤回に追い込まれた。