パリ:イラン国民は、弾圧に屈することなく同国の神権体制を非難する新たな抗議運動を行った。弾圧によって逮捕された人々は現在、裁判にかけられ、死刑に直面している。
イランは6週間にわたって、1979年のイスラム革命以降、経験のない規模と性質の抗議運動に揺れている。
テヘランの道徳警察に逮捕されたマフサ・アミニさんが9月に死亡したことが、抗議運動のきっかけとなった。
当局は抗議者らに対し、路上デモを止めるべき時がきたと警告しているが、デモの勢いが衰える兆しは見えず、全国の住宅地、主要な街路、大学でデモが行われている。
死亡した日の40日後を区切りとするイランの習慣によって、政権の苦境はより深刻となっており、弾圧によって死亡した多くの人々の40日の喪の儀式「chehelom」のひとつひとつが、抗議運動の火種となる可能性がある。
テヘランのEkbatan地区の住人らが、月曜遅くに「独裁者に死を」といった抗議運動のスローガンを叫び、治安部隊が運動を止めようとして閃光発音筒を使用したことを、監視サイト「1500tasvir」などに投稿された映像が伝えている。
ノルウェーを拠点とする人権団体Hengawによると、月曜にイラン北西部のクルド人が多数を占める都市サナンダジュで行われた、弾圧によって死亡したという16歳の少女サリナ・サエディさんの葬儀が抗議集会となって、人々は反体制スローガンを叫び、女性たちはヘッドスカーフを外した。
「1500tasvir」はまた、広く拡散される映像をソーシャルメディアに投稿しており、この映像には、道徳警察に向けたメッセージとして、北部の都市タブリーズで当局に「お前たちは背教者だ」と言って抗議を行う医学生らが映っている。
ノルウェーを拠点とする人権団体イラン・ヒューマンライツ(IHR)によると、火曜にイスファハン大学において学生らが座り込み抗議を行い、ソーシャルメディア上の映像は、同様の運動がテヘランのアミール・キャビール大学工学部において行われていたことを示している。
家族によれば、アミニさんは拘留中の頭部への強打が原因で死亡したという。
イラン当局はこの説明に異議を唱えているものの、調査を命じている。
抗議運動は、イランにおける女性に対する厳しいイスラム教の服装規定(アミニさんを逮捕した警察が強制していたもの)に対する怒りによって拡大したが、1979年のシャー(国王)の失脚以来イランを支配してきた体制に対する国民の怒りの結集点となってきている。
イランでは過去20年間に複数の抗議運動が起こってきたが、現在の運動では頻繁にタブーが破られている。
ソーシャルメディア上で共有される画像では、聖都コムにある革命指導者アヤトラ・アリー・ハメネイ師とその前任者のアヤトラ・ルホラ・ホメイニ師の壁画に赤いペンキが塗られた様子が見られる。
抗議運動では多種多様な手法が見られ、運動を追う人々は、若者が路上で聖職者のターバンをたたき落すという新たな潮流に注目している
IHRによると、アミニさんの死をきっかけとした抗議に対する弾圧によって160人が死亡しており、南東部スィースターン・バルーチェスターン州のザーヘダーンにおける一連の別の抗議運動に対する弾圧でも93人が死亡したという。
当局によるインターネット遮断の影響で情報が伝わるまでに時間がかかっているため、これらの数字は最小限のものでしかないと、IHRは指摘している。
Hengawによると、死者の中には、イラン北西部ピーラーンシャフル出身で、治安部隊によって3メートルの距離から撃たれ、その後病院で死亡したという16歳のKomar Daruftadeさんも含まれている。
抗議運動への弾圧により、全国で数千人の人々が逮捕されたと、人権活動家らは述べており、イランの司法組織は「暴動」と称する事案への関与によって既に1,000人が起訴されていると発表した。
抗議に関連して死刑となる可能性のある罪状で起訴されている5名の男性の裁判が、土曜にテヘランで開かれた。
ワシントンを拠点とするアブドラフマン・ボロマンド・センターが公開した、5名のうちの1人であるムハンマド・ゴーバドロウ被告の母からの動画によると、同被告は最初の公判で死刑を言い渡されたという。
しかし、この件を司法組織は認めていない。
ニューヨークを拠点とするイラン人権センターによると、著名人では、新たにイラン人の人気ラッパーであるToomaj Salehiさんが逮捕されたという。
ニューヨークを拠点とするジャーナリスト保護委員会によれば、今までに、少なくとも46人のジャーナリストが逮捕されている。
最近新たに、テヘランのジャーナリストMarzieh Amiriさんが逮捕されたと、姉妹のサミラさんがインスタグラムに記している。
抗議運動が始まってすぐに逮捕された、表現の自由の有名な運動家であり、ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿も行ったホセイン・ロナギさんが両親との面会を許された後、兄弟のハッサンさんは、ロナギさんは「ハンガーストライキ中で、体調を崩している」とツイッターに記した。
世界の大国はイランへの圧力を強めようとしており、カナダは月曜に、イランの政治家や司法関係者を対象とする新たな制裁措置を発表した。
ドイツのオラフ・シュルツ首相は月曜に、欧州連合(EU)はイランに対するさらなる制裁を検討しているとして、「イランの抗議運動において平和的にデモを行う人々が亡くなっている」ことにショックを受けているとの述べた。
AFP