
アラブニュース
ロンドン:国連が暴力行為の追跡を初めて以来、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の死者数は今年、過去最多となる可能性が高い。国連安全保障理事会が発表した。
トル・ウェネスランド中東和平プロセス特別調整官は、年に4回行われる安保理公開討論で、イスラエルの軍事作戦の増加がエスカレーションの主要要因だが、入植者による襲撃も増えていると述べた。
国連の最新データによると、今年、ヨルダン川西岸地区と東エルサレム地区で少なくとも101人のパレスチナ人がイスラエル治安部隊によって殺されている。
2005年の統計開始以来、月平均では最多だ。
「(国連は)2005年にパレスチナ人の死者数を体系的に追跡し始めたが、今までのところ、2022年のヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の死者数は過去最多になる見通しだ」とウェネスランド氏は述べた。
「高まる絶望・怒り・緊張が再び暴力の悪循環を引き起こしている。暴力を封じ込めるのはますます困難になっている」
ウェネスランド氏は、10月のアルジェ宣言のような前向きな動きがあったことを指摘した。
アルジェ宣言では14のパレスチナ諸派が、PLOをパレスチナ人の唯一の正当な代表と認め、パレスチナ自治政府大統領選挙、立法評議会選挙、民族評議会選挙を実施することに合意した。
常任理事国および非常任理事国は、イスラエルによるエスカレーションを非難した。
パレスチナ国連常駐オブザーバーのリヤド・マンスール氏は、安保理は数十年間、イスラエルが安保理決議に違反するのを許してきたと述べた。
「安保理の役割はパレスチナを守ることだ。そうしないなら、安保理は事実上、2国家解決を完全に諦めることになるだろう」と同氏は述べた。
「もっとできることがあるのなら、できることがもっとあることを知っているのなら、実行せよ。何を待っているのだ」
イスラエルの代表であるギラド・メナシェ・エルダン氏は、パレスチナ自治政府は国連では被害者ぶっているが、ナブルスやジェニンの街頭では「テロリスト」を称賛していると述べた。
同氏は、イスラエルは「テロの波」の真っただ中にいると述べ、「パレスチナ人は今年、イスラエル人に対し、4000件以上のテロ攻撃を行っている」と主張した。
エルダン氏はさらに、「国連はイスラエルに偏見を抱いており、パレスチナ人は少しも譲歩する必要はないというメッセージを送っている」と述べた。
サウジアラビアの代表であるアブドルアジーズ・アル・ワシル氏は国際社会に対し、あらゆる努力をしてこの対立を解消し、パレスチナ人の権利を保証するよう求めた。
アル・ワシル氏は、イスラエルが占領地で行っている入植政策や措置を非難した。
土地の併合、入植地の建設・拡大、強制移住、器物破壊などのことだ。
同氏はまた、イスラエルに対し、2国家共存に基づく和平を実現するために真剣な交渉を行うよう求めた。
クウェートの代表であるファイサル・アル・エネジ氏は理事会に対し、国連憲章に規定されているように、イスラエルに自国の犯罪や違法行為の責任を取らせる責任を引き受けるよう求めた。
同氏はまた、オーストラリアが西エルサレムをイスラエルの首都と認定した決定を撤回したことを称賛した。
そして他の国々に対し、同様の措置を取るよう求めた。
カタールの代表であるアイラ・アハマド・サイフ・アル・サーニ氏は、オーストラリアの決定は2国家解決を目指す国際的な取り組みを強化していると述べた。
アル・サーニ氏は、今月末にカタールで開幕するサッカーW杯が人々の心を動かし、和平プロセスに良い影響をもたらすことを期待していると述べた。
ヨルダンの代表であるキャサリン・アル・ハリケ氏は、イスラエルはエルサレムのアル・アクサモスクで法的・歴史的現状を変更しようとしていると述べた。
ヨルダンのワクフが、アル・アクサモスクの問題に対処する権限を与えられている唯一の組織であり、今後もそうであり続けるだろう、と同氏は述べた。
UAEの代表であるアミエレー・アル・ヘフェイティ氏は「パレスチナ人の36%が貧困ライン以下の生活をしている。
ガザ地区の失業率の高さは世界トップクラスだ」と述べた。
「この対立を終わらせ、1967年の国境線に基づき、東エルサレムを首都とする独立主権国家パレスチナを樹立する唯一の方法は、政治的解決だ」と同氏は述べた。
バーレーンの代表であるジャマル・ファレス・アル・ロウェイ氏は「国際社会は、東エルサレムを首都とする裕福で安定した平和国家を求めるパレスチナ人の願望に応えなければならない」と述べた。
アラブ連盟のオブザーバーであるマゲド・アブドゥルファッターハ・アブデラジズ氏は、安保理がパレスチナ問題に対処できなければ、民主主義や人権、法律を守るために国連総会や国連人権理事会、国際司法裁判所、国際刑事裁判所への依存を高めることになると述べた。
同氏は、パレスチナは正式に国連加盟国として承認されるべきだと述べ、「イスラエルが、ウクライナの領土を占領しているロシアを非難しながら、安保理決議第2334号に違反して入植活動を続けているのは不合理だ」と付け加えた。