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トルコ居住クルド人若者層の抱える疎外感が調査で判明

トルコ南東部ディヤルバクルでの治安作戦中にクルド人の若者を捜索するトルコ警察。ある調査では、若者たちが差別を感じていることがわかった。(AP / ファイル)
トルコ南東部ディヤルバクルでの治安作戦中にクルド人の若者を捜索するトルコ警察。ある調査では、若者たちが差別を感じていることがわかった。(AP / ファイル)
重要拠点となっているシリア国境の町ラース・アル=アインで住宅の玄関をこじ開けるトルコ支援のシリア人兵士。2019年10月19日撮影のファイル写真。(AFP)
重要拠点となっているシリア国境の町ラース・アル=アインで住宅の玄関をこじ開けるトルコ支援のシリア人兵士。2019年10月19日撮影のファイル写真。(AFP)
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21 Dec 2020 07:12:15 GMT9
21 Dec 2020 07:12:15 GMT9
  • 若いクルド人の大多数は言語を奪われていると感じ、移住を望んでいる

Menekse Tokyay

アンカラ: YADA財団、クルド研究センター、ラウェスト調査会社が実施した調査で、トルコで暮らすクルド人の若者の疎外感が高まっていることが明らかとなっている。

英国大使館とハインリッヒ・ベル財団の支援を受けて実施されたこの調査は、イスタンブール、イズミル、メルスィン南部、アダナ、ディヤルバクル南東部、マルディン、シャンルウルファ、ヴァン東部で、15歳から29歳の若者1,500人超を対象に行われた。

その結果、クルド人の若者は悲観的で、トルコ社会のクルド人以外と比べて、幸福度と人生の満足度が低いことがわかった。トルコの西半分に住む人々は、彼らの受ける差別が原因ではるかに悲観的に感じている。

国の代表チームをサポートすること以外に、彼らは自分たちのアイデンティティーの象徴として、クルド人が多数を占めるディヤルバクル県のサッカーチーム「アーミドSFK」に強く愛着を感じている。

クルド人の若者の半数以上が、仕事を求めて、あるいは国と非合法のクルディスタン労働者党 (PKK) との間の戦いから逃れて、もしくは教育目的で、大概は家族とともにトルコ国内で避難民となっている。

クルド人回答者の約70%は、クルド人というアイデンティティーのために、時折または頻繁に差別を受けていると述べている。クルド国民民主党 (HDP) 支持の有権者は、他の政党の支持者よりも多くの差別を経験している。

一部の回答者は、出身地を聞かれて家を借りることができなかった、または国西部の県で行われたアーミドSFKの試合に行った際、水1本すら購入できなかったと回答した。

同様のパターンで、アーミドSFKの選手はライバルチームのファンからの嫌がらせを頻繁に受けてきた一方、同チームのクルド人サポーターは試合観戦を禁止されることがあった。

何年にもわたる文化的権利の弾圧を受け、クルド語を教育システムの一部に組み入れようという試みに失敗したことで、クルド人の若者は友人や家族との日常的なコミュニケーションに、トルコ語を使うことが多くなっている。

クルド人回答者は、クルド語で夢を見ることさえできないと言う。

別の調査によると、調査対象となったクルド人の若者600人の約18%だけが、クルド語の会話や読み書きができた。

クルド人は、トルコの人口8200万人の約20パーセントを占めている。しかし、この調査では、クルド人の若者の3分の1しか雇用されておらず、4分の1は未熟練労働者として働き、それ以外は失業状態であることがわかった。

クルド人の若者の間では、母国語が最重要の問題 (38.4%) であり、差別 (24%)、教育 (12.5%)、失業 (9.8%)、言論の自由 (7.4%)、不当な扱い (5.5%)、アイデンティティー (2.4%) がこれに続く。

2015年にトルコ政府とPKKの間で行われ、短命に終わった「クルド和平交渉」の失敗について、HDP支持者であるクルド人の若者は、この試みの失敗はHDPとPKK双方のせいであるとし、65%の人たちは内戦が終わることはないと考えている。

さらにこの調査では、クルド人の若者の大多数が、クルド人としての文化的アイデンティティーを強化する一方で、急進性を排除する傾向があることがわかった。

ディヤルバクルに本拠を置くラウェスト調査会社のRoj Girasun取締役は、クルド人の若者は、合法的なプレイヤーとして、政治分野でのHDPの認知度が向上していることに満足しているため、非急進化していると考える。

「しかし、彼らの大半は、現在の政府が国内数十年にわたるクルド人の紛争を解決することはできないと考えています」と同氏はアラブニュースに語った。

クルド人の保守的な若者にアピールしようとしている新しい党が間もなく発足するが、反対派はその政党がトルコでのクルド人の票を分割しようとしていると主張する。

調査ではまた、クルド人の若者の大多数が、表現の自由と雇用の両方に対する悲観から抜け出すために、チャンスがあれば西側諸国への移住を望んでいることがわかった。

トルコ国民の約30%がTwitterを情報源としているが、クルド人の若者の間ではその比率は44%に増加する。

「このことは、クルド人の若者が彼らの問題に十分な余地と視認性を与えていない主流メディアに失望していることを示しています。彼らは代替ニュースチャンネルを参照することで、このギャップを埋めています」とGirasun氏は述べた。

クルド人の若者の間でクルド語の使用は減少しているが、西部の県に住む人々はどんどんクルド語を忘れていっているため、彼らは母国語を守るために、今でも政治的アイデンティティーを保持し、国当局に文化的権利を要求している。

一般的にクルド文化は長年にわたって悪者扱いされており、クルド語は司法制度において「未知の言語」として分類されている。

「このような環境は彼らの恋愛関係に影響を与えます。クルド人回答者の44%は、トルコ人女性と結婚したくないと考えています。彼らはトルコ人に対して、自分たちのクルド人らしさという非常に高い壁を築いています」とGirasun氏は語った。

このような社会的距離とは別に、クルド語の学術面および芸術面での制限は、クルド人の若者の間で失望を煽っている。7月、トルコの高等教育評議会は、トルコの大学でクルド語とクルド文学を学ぶ学生に対し、クルド語で論文を書くことを禁止し、クルド語学科のすべての論文をトルコ語で書くことを義務付けた。

10月にトルコ当局は、テロ宣伝の疑いがあるとして、イスタンブールにおいてイタリア人ノーベル賞受賞作家ダリオ・フォ作品をクルド語で上演することを禁止した。

先日、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、「トルコにはクルド人の問題はない」と断言した。

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