ベイルート:国境なき医師団(MSF)は、シリアの悪名高いアルホルキャンプにある「巨大屋外刑務所」で暮らす数千人の子供たちの運命を嘆いている。
2019年、米国主導の連合軍が支援するクルド人主導の部隊が、ダーイシュの戦闘員をシリア国内のダーイシュの領土の最後の一角から追い出した。その後、人々はアルホルなどのキャンプに避難した。
イラクに近いシリア北東部にあるアルホルは、テロ容疑者の親族、住む場所を奪われたシリア人、イラク難民など、5万人以上の住民で過密状態になっている。
MSFによると、クルド人が運営する同キャンプの人口の64%は子供で、その半数は12歳未満だという。
「私たちは悲惨な話をたくさん見たり聞いたりしてきました」と、シリアでMSFのオペレーション・マネジャーを務めるマルティヌ・フロクストラ氏は話した。
MSFは報告書で、アルホルで医療が不足し、暴力事件が起きていることを引き合いに出し、子供たちが危険な状況に直面していることを警告した。
「救急医療の受診が大幅に遅れた結果、亡くなった人たちがいます。11歳頃になる少年たちが母親から強制的に引き離され、二度と会えなくなったという話も聞いています」とフロクストラ氏は話した。
「アルホルキャンプに拘束されている子供の多くは、ここで生まれ、幼少期を奪われています。
暴力にさらされ、搾取され、教育を受けられず、医療支援が限られた、希望が見えない生活を送ることを運命づけられています」と同氏は付け加えた。
その報告書は、トラックにはねられた5歳の男の子が、数時間経っても病院に搬送されず死亡した事件に言及していた。
2021年には79人の子供が亡くなった、とMSFは報告した。
キャンプ内で銃撃などの暴力行為で殺された人もいる。
アルホルキャンプでは、警備員や救助隊員が襲撃される事件が多発している。
キャンプ内の死亡事件の多くは犯罪絡みだ。
アルホルで拘束されている人たちのうち、1万人以上は数十カ国から来た外国人だ。
そうした外国人は「離れ」と呼ばれる同キャンプの別の場所に収容されている。
彼らの本国は彼らを送還する義務を怠っている、とMSFは考えている。
「このキャンプを閉鎖するのに十分な進展がまだありません」とフロクストラ氏は述べた。
クルド人当局は各国に対し、過密状態にあるキャンプから自国民を送還するよう繰り返し要求している。
しかし各国は多くの場合、安全保障上の脅威や国内の政治的な反発を恐れて、自国民を散発的にしか受け入れていない。
先月は、女性4人と子供13人がアルホルや別のキャンプからオーストラリアに送還された。
AFP