• ロシア政府が自軍にロシアが制圧していた孤立地帯からの撤退を命じてから1日も経たないうちに、このような事態が発生した

キーウ：ウクライナは11月10日木曜日、ロシア軍が戦略上重要な領土である南部ヘルソン州からの撤退を発表した後、ウクライナ軍が12の町や村を奪還したと発表した。

ウクライナのヴァレリー・ザルジニー総司令官は、ソーシャルメディア上で、ウクライナ軍はこの一日で、ペトロパブリフカ－ノヴォライスク付近で戦闘の末に6つの集落を、ペルボマイスケ－ヘルソン方面でさらに6つの集落を奪還し、200平方キロ以上をロシア軍から勝ち取ったと発表した。

ロシア政府が9カ月の戦争で獲得した唯一の地方都市であるヘルソン市を含む、ドニプロ川西岸のロシア軍が制圧していた孤立地帯全域からの撤退を命じてから一日も経たないうちに起こった。

ウクライナ当局は、公式には警戒は続き、ロシア人がまだ戦闘を計画している可能性があり、去り際に破壊の種をまくかもしれないと警告している。

ウクライナ大統領顧問ミハイロ・ポドリャク氏は10日木曜日、ロシアはヘルソンを「死の街」にすることを望み、アパートから下水道まであらゆるものを採掘し、対岸から砲撃したという。

「これが『ロシア』の姿です。やって来て、奪い、祝い、『証人』を殺し、廃墟を残して去って行きました」と、ミハイロ・ポドリャク氏はTwitterに綴った。

ロシア政府はこの紛争で住宅地を爆撃しているにもかかわらず、民間人の虐殺を否定している。ロシアはここ数週間で、ヘルソン地域から数千人の市民を避難させており、ウクライナはこれを強制退去と非難している。

ウクライナ軍は、ロシア軍が本当に撤退したのかは確認も否定もできないとしている。

ゼレンスキー氏も、連日のテレビ演説でヘルソンに言及したのは一度だけで、慎重な姿勢だった。ウクライナ軍は南部で「一歩一歩」陣地を強化していると同氏は語った。「敵は私たちに何の贈り物もしないでしょう」

ウクライナは、川を渡って逃げようとするロシア軍にできるだけ大きな損害を与えようとする一方で、数千人のロシア軍を孤立地帯に閉じ込めようとして、自軍を守るため慎重に進軍しているようである。

ヘルソン北部の戦線では、普段より砲撃音が小さくなっていた。一晩で濃霧が立ち込め、小雪が降り、地面が霜で覆われた。検問所にいるウクライナ軍は、寒さをしのぐためボタンを留めている。

スニフリッカを含むムィコラーイウ州のヴィタリー・キム知事は、軍の公式発表があるまで解放宣言はしなかったが、当局が支援物資の輸送を計画していると述べた。

ロシアの撤退命令は、プーチン大統領が「永遠にロシアの一部になる」と言った地域の併合を宣言してからわずか1カ月余りで、ロシア政府がこれまでに被った最も屈辱的な敗北の一つである。ロシア国営メディアと親クレムリン（大統領府）の戦争タカ派は、大きな打撃を認めながらも、必要な措置であるとしてこれを擁護した。

「この決断が誰にとっても容易なものでなかったことは確かです。決断した人たちにとっても、そうなることを理解しながらもそうならないように祈っていた私たちにとってもです」と、ロシアの対外宣伝チャンネル「ロシア・トゥデイ（RT）」の責任者であるマルガリータ・シモニャン氏は語った。

セルゲイ・ショイグ国防相は、ドニエプル川の対岸（東岸）を守るために必要な部隊の命を守るためだとする最高司令官の助言を受けて、撤退命令を出す様子を9日水曜日にテレビで放映した。

米国統合参謀本部議長のマーク・ミリー陸軍大将は、当初の指標ではロシアは撤退に時間を要するものの、撤退を実行していることを示唆していると述べた。ジョー・バイデン米大統領は、撤退は「ロシア軍に深刻な問題がある」ことを示すものだと述べた。

この撤退は、ウクライナ北部と東部でのロシアの敗北を受けてのことであり、ロシア政府には西側諸国からのけ者にされ、何万人もの兵士を犠牲にし、第二次世界大戦後初の全国的な動員をもたらした「特別軍事作戦」の成果を示すにはわずかな利益しか残されていないのだ。

ロシア軍は、2014年に奪取したクリミア半島とロシアを結ぶ重要な陸路や、奪還中にほとんど全滅させた東部の一部の都市など、南部での他の戦果をまだ保持している。

ロシアが撤退すれば、何十万人ものウクライナ人が占領から直ちに解放され、近くのムィコラーイウなどでは何十万人もの人々が、民家に打ち込まれる砲撃から解放され保護されるのである。

これはウクライナが今年の侵攻で奪われた領土を奪還するだけでなく、クリミアなど2014年に奪われた土地に対するロシアの支配を揺るがす勢いをもたらすこととなる。

AFP