
アラブニュース
ジェッダ:国際原子力機関(IAEA)は10日、イランが全ての国の防衛システムを突破できる極超音速「スーパーミサイル」を開発したと主張したことを受け、警鐘を鳴らした。
「こうした発表により、イランの核開発に注目が集まり、懸念が高まり、世間の関心が高まっている」と、IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は述べた。
極超音速ミサイルは、従来の弾道ミサイルと同じように核弾頭を搭載できるが、音速の5倍以上で飛行することができ、機動性が高いため、追跡や防御ができない。
極超音速ミサイルは弾道ミサイルとは異なり、大気圏内を低い軌道で飛行し、より早く標的に到達することができる。
「イランの新型極超音速ミサイルはミサイル防衛シールドに対抗するために開発された」と、イスラム革命防衛隊・航空宇宙部隊のアミールアリ・ハジザデ司令官は10日に述べた。「全てのミサイル防衛システムを突破できるだろう。このミサイルを迎撃できるシステムが開発されるのは数十年後になるだろう」とハジザデ氏は話した。
兵器アナリストの多くは、ハジザデ氏の評価は正しいと考えている。いくつかの国は、巡航ミサイルや弾道ミサイルを防御するよう設計されたシステムを開発したが、極超音速ミサイルを追跡・破壊する能力を手に入れるのは今でも難しい。
イランがこのようなミサイルを開発したと主張することによって、イランがその技術をどこで得たのかという問題が生まれる。昨年、北朝鮮が極超音速ミサイルの発射実験を行ったことで、ミサイル技術の獲得競争に関する懸念が大きくなった。獲得競争は現在、ロシアがリードしており、中国と米国が追いかけている。
共に厳しい国際制裁の対象国であるイランとロシアは、自国の経済を支えるため、重要な分野での協力を強化することで対応している。
極超音速ミサイルを開発したと主張する前に、イランは先週、人工衛星を宇宙空間に推進することができるロケットの試験飛行に成功していた。このようにミサイルを発射することによって、イランの弾道ミサイル技術が高まり、核弾頭の搭載に至る可能性があることに、米国は繰り返し懸念を表明してきた。3月に米政府は、イランのミサイル関連活動に制裁を科した。
一方、IAEAは10日、3つの研究施設で見つかった未申告のウラン粒子をめぐるイランとの協議に「全く進展は見られない」と発表した。イランは今月、査察団の訪問および回答の提供に合意した。
「この会合で、イランがこの問題について技術的に信頼できる説明を始めることを期待している。それには施設や物質へのアクセス、必要があればサンプルの採取が含まれる」とIAEAは10日、報告書に書いた。