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トルコ、新型コロナウイルス感染症の警報ベル、よりけたたましく鳴り始める

コロナウイルスが蔓延する中、感染を防ぐため、マスクを着用しながら、公園を訪れる人々。2020年11月27日(金)、アンカラ、トルコ。(AP)
コロナウイルスが蔓延する中、感染を防ぐため、マスクを着用しながら、公園を訪れる人々。2020年11月27日(金)、アンカラ、トルコ。(AP)
トルコでの新型コロナウイルス感染症による死亡者数、日曜日も7日連続で過去最高を記録。また、新たな症例数も依然として高い水準に留まる。(File/AFP)
トルコでの新型コロナウイルス感染症による死亡者数、日曜日も7日連続で過去最高を記録。また、新たな症例数も依然として高い水準に留まる。(File/AFP)
歴史的なスレイマニエ・モスクの敷地を消毒する地方自治体労働者、イスタンブール。 (File/AP)
歴史的なスレイマニエ・モスクの敷地を消毒する地方自治体労働者、イスタンブール。 (File/AP)
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30 Nov 2020 06:11:25 GMT9
30 Nov 2020 06:11:25 GMT9
  • 反対派、政府はより厳しい措置を取る必要があると主張
  • 「医療関係者は大きな負担にさらされている」と、ファレティン・コカ保健相はツイート

メネックス・トキェー

アンカラ: トルコでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる死亡者数は、6日連続で増加。全国の集中治療室の対応能力も限界に近づき、警鐘が鳴らされている。

「今週は家から出ないでください。警戒する必要があります」。毎日の死亡率が6日連続で過去最高を記録したため、トルコ集中治療医学会の会長であるイスマイル・シネルは土曜日、警告を発した。

最近更新され、実際には11月25日以降に使用されている計測法に基づく保健省の公式データによると、この24時間でコロナウイルス感染による死者数は182人、無症状の人を含めた新規感染症例数は30,103人にのぼる。トルコの以前の計測法では、無症状の感染者は含めずに報告していた。

トルコは4日前までは新型コロナウイルス感染症の被害が比較的少ない国のひとつであったが、新しい計測法での結果が出ると、突然、世界レベルで最も被害が多い国のひとつとなった。

トルコ医師会は、政府の以前の計測法では、新型コロナウイルス感染症の、感染の本当の規模を示していないと、長い間警告してきた。そして医師会では、公式発表数値よりはるかに多い50,000件以上の新規感染症例数が日々あるものと推定していた。

小児胸部心臓外科医で、ピッツバーグ大学医学部の胸部心臓外科学科の助教授であるアーギン・コスイルディリム博士によると、そもそもトルコは一人当たりの国民総所得の要件を満たさないため、新型コロナウイルス感染症の症例報告方法の変更決定は、世界保健機関(WHO)の共同ワクチン配布プログラムとは関係が無いとのことであった。

コスイルディリム博士は、トルコが従来、新型コロナウイルス感染症の症状が出ている症例のみ数えていた理由として、「夏の間、トルコは予防策として都市封鎖を継続するのが厳しい財政難に見舞われ、政府は経済を再開せざるを得なかった」ため、とアラブニュースに語った。

コスイルディリム博士は、トルコでの新型コロナウイルス感染症の発生以来、政府のデータ共有の透明性を信頼してはいない。

「現在、ファレティン・コカ保健相は無料の予防接種プログラムを約束しています。ですが、トルコが大量流通プロジェクトの観点で、管理上の問題を抱えていることは明らかです。マスクの配布は非常に大きな問題になり、季節性インフルエンザワクチン接種プログラムも開始されたばかりです」と、彼は指摘する。

新型コロナウイルス感染症に関する決定が政治的に行われていると主張していた科学界や野党の政治家が十分予想していた動きとして、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はついに、悪化するパンデミックとの闘いにおいて、どのような対抗措置を講じるか決定する責任を同国のコロナウイルス科学諮問委員会に委ねた。

「今後の新しい措置に関する一義的な責任は、科学諮問委員会にある」と、エルドアン大統領は述べている。

トルコは先週、週末の午後8時から 午前10時までの夜間外出禁止令を含む、新型コロナウイルス感染症と戦うための新しい対策を発表している。

しかし、感染症と戦うトルコの医療制度の疲弊を懸念する医師会からは、対策は十分に進んでいないと見ている。

「トルコでのパンデミックの経過は非常に興味深い」と、イェール大学のメフメット・アディン博士はアラブニュースに語っている。

「当初、他の人々と同じように、我々は素晴らしい仕事をしていると思い込んでいました。ところが、パンデミックが深刻化する過程で、特に夏の終わり頃には、警報ベルがけたたましく鳴り始めました。私たちはこの警報に基づいて行動することができたはずですが、現状大部分失敗していると思います」

アディン博士によれば、最前線のスタッフはトルコ全土で並外れて一生懸命働いているが、大規模な公衆衛生問題に対処するにあたって、現状十分では無い状況にある。

「初夏以降の政策の実施はかなり緩いものでした。保健相はウイルス対策の最前線には立っていました。コロナウイルス対策委員会、いわゆる科学諮問委員会は、期待外れで、『実際の症例数が分からない』ことに不平を漏らしていましたが、失政の言い訳にはなりません」と、アディン博士は述べた。

アディン博士は、大量のデータフローと通信の時代に、当局から実数を聞く必要はないと述べた。

「何千マイルも離れた所にいる私にでさえ、トルコの対策がどこに向かっているのかを知ることができました。科学諮問委員会はまた、学会や文献で日々更新される最新治療法に追いつくにも至らなかったと思います。たとえば、COVID-19の全症例に効果がないことが既に長い間示されている抗マラリア薬プラケニルが、潜在的な危険性が無いにせよ、まだトルコでは使用されています」と、彼は述べる。

この間、イスタンブールなどの都市部で、「第3波のピーク」を迎えて、重病患者や死亡者の数も増加している。

「行動によって現実を変えることはできますが、レトリックによって変えることは非常に困難です」と、アディン博士は述べ、パンデミックに対処する際は、証拠に基づく政策の実施が何よりも重要であると付け加えた。

「私たちの経験から、迅速に行動する必要があり、毎分が重要であることも知っています。すべての公的措置、都市封鎖、およびその他政策は、地域の感染者数と科学的証拠に基づいて実施する必要があります。現在取られている措置、部分的な都市封鎖と年齢別の夜間外出禁止令を考えると、その有効性については疑問がありますが、主な目標は感染の緩和に置かれているように見受けられます」と、アディン博士は述べた。

アディン博士の考えでは、トルコ政府の対策では、部分的消火策、夜に火災と戦い、夜が明けたら火が燃えるにまかせることでは、火を消すことはできない。

「火事を消したいのであれば、一貫して合理的に消化にあたる必要があります。ウイルスはいつまでも留まります。そして、集団免疫の獲得は、全国的なワクチン接種が展開されるまでは、ユートピアにしか過ぎません」と、アディン博士は主張する。

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