
ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノンは、輸入品に対して従来の10倍となる新たな為替レートを正式に導入した。ただでさえ苦難にあえいでいる国の経済的苦境をさらに深める動きだ。
新たな関税為替レートは、3年近く使用された従来の1ドル1500レバノンポンドから、1ドル1万5000レバノンポンドに引き上げられた。
関税ドルは輸入品の関税を計算するための価格であり、レバノンポンドで支払われる。
業者が新レートに含まれる商品を追加し始めている中、市場の不安定性を制御できるのかについて既に国民の懸念が高まっている。
今年の1月から7月の輸入額は合計105億ドルだが、年間の輸入額は合計180億ドルに達すると予想されている。これは危機以前の水準に近づいており、関税ドルレートの引き上げに対する先回りと解釈されていた。
輸入品には自動車、携帯電話、電気・電子機器などが含まれる。
アミーン・サラーム暫定経済相は2日、食品のような必需品を購入する消費者にさらなる圧力をかけるような追加の料金は認めないと述べた。
また、食料品目の70%は免除対象となり、価格は新レートに影響されないと付け加えた。
さらに、残りの商品については慎重に検討するとしたうえで、政府は「さらなる品目の免除を求めたため、免除品目リストの発行が遅れた」と述べた。
レバノンは数十年で最悪の経済危機と通貨価値の劇的な下落に見舞われている。2日には闇市場で1ドル4万1500レバノンポンドに達した。
サラーム大臣は、経済省、国内治安部隊、国家安全保障局が、既に国内にストックされている輸入品は以前のドル為替レートで販売するという署名入りの誓約を業者から得ていると述べた。
業者は誓約する前に最初に少し躊躇したと同大臣は明かした。
レバノン食品産業連合の会長であるムーニル・アル・バサット氏は、食品産業用の原料の大半は関税を免除されるうえ、食品の多くは国内で生産されていると話した。
また、市場に占める国産農産物の割合が経済危機以前の30%以下から現在では50~60%にまで上がっていることを指摘した。
為替レートの引き上げは、関税・税金の引き上げとともに国際通貨基金(IMF)の要求の一つだ。
一般労働組合代表のベチャラ・アル・アスマル氏はアラブニュースに対し、この国にはまだ経済復興計画がないと語った。
同氏は、「私たちは反応しているだけです。危機に対する日々の救済策は悪化していく経済崩壊に吸収されてしまいます」と話し、政府は意見の不一致で麻痺していると嘆いた。
レバノンポンドの価値下落のために一部の雇用主は給与の一部をドルで支払うようになったという。これらのドルは新たな税の対象となった。
購入品や一部のサービスに課される付加価値税(VAT)も、関税レートの変更に合わせた10倍の引き上げが予定されている。早ければ、公式為替レートが新たな関税レートと統一される2月に引き上げが実施される。