
ナジャ・フーサリ
ベイルート:キリスト教マロン派総主教のビシャーラ・ブトロス・アル・ライ氏は9日、大統領の不在という政治空白を解消するための対話を妨げる障害があることを示唆した。
アル・ライ氏は、退任するミシェル・アウン大統領の娘婿で自由愛国運動(FPM)の党首であるレバノン国会のジブラーン・バシール議員を会談のため迎えた際、このように発言した。
バシール氏はヒズボラとの政治紛争を踏まえ、自らの立場を強化するためにアル・ライ氏に注目した形だ。
バシール氏は、大統領の空位が続く中で、暫定政府による閣議の開催も拒否している。
同氏は会談後、「暫定政府によって出された政令は、大統領の地位に対する厳しい打撃となる」と述べた。
「大統領の立場を害する政令が10件以上出された。これらの政令に署名するという仕組みは、パートナーシップの定式を打ち壊すものだ」(バシール氏)
バシール氏は、アウン氏が大統領以外の立場でブケルケに向かう数時間前に、アル・ライ氏と共に大統領選挙にどう対応するかという問題を提起した。
FPMや他のキリスト教勢力は、自分たちの立場と矛盾する政治手順は、FPMやキリスト教政党レのバノン軍団(LF)が繰り返し強調しているように、自らの存在を脅かしかねないと危惧している。
FPMは、大統領候補に関するヒズボラの手法に異議を唱えている。
この論争は、最近、ヒズボラが同盟者と見なすスレイマン・フランジェ氏を支持する姿勢を示したことから表面化した。
FPMはフランジェ氏を拒絶する一方、FPMが国会でキリスト教徒を最も数多く代表している議会ブロックであるため、大統領選の決定権者になろうとしている。
バシール氏は次のように述べた。「大統領職の問題で始めたことを、アル・ライ氏と共に完結させた。国会議員の3分の2の票の支持を得る人物を見つけるのが目的だ」
また、バシール氏は、選挙に立候補する1人または数人の候補者について理解を得るため、キリスト教党派同士が対話に臨む必要性を強調した。
「FPMは他の勢力の政治的立場に関係なく、対話にはオープンだ。他の勢力がオープンでなかったとしても、我々はそれを強制することはできない」と述べた。
キリスト教の対話が呼びかけられたのは、ナビ・ベリ国会議長が、見解の相違を埋めて合意に基づく大統領を選出するため、各宗派を代表する議会ブロックに対し、来週の15日(木)から話し合いを行うように求めた翌日のことだった。
これまでのところ、ヒズボラとその同盟相手は白紙投票に固執しているが、FPMはもはやそれを望んでいない。
最近の投票では、ヒズボラに政治的メッセージを送るため、FPMの票は複数の候補者に流れた。
アル・ライ氏はバシール氏との会談後、自身が2009年から対話を呼びかけてきたことを強調した。
アル・ライ氏は、とりわけ多くの大臣が不在の中、閣議が行われるべきではなかったと主張するバシール氏の立場を支持した。
「我々は常に対話を提唱してきた。私と各党派との二者間対話、あるいは包括的な対話のいずれかによる当事者間の対話以外に解決策はない。しかし、いくつかの障害がこの選択肢を妨げている」。アル・ライ氏はこのように述べた。
LFの党首であるサミール・ジャアジャア氏は、バシール氏の呼びかけに対して、ツイートで間接的に次のようにコメントした。「対話には、対話に適した人々が必要だ」
LFの外交ユニット長で元大臣のリチャード・コウヨウムジャン氏は、両者の間に論争があるにもかかわらず、バシール氏がヒズボラの同盟から離脱したことに疑問を呈した。
コウヨウムジャン氏は次のように述べた。「バシール氏の党への攻撃とキリスト教の擁護が誠実であるならば、ジャアジャア氏を大統領候補にさせるべきである」
コウヨウムジャン氏は、LFとしての立場は明確であるため、対話は必要ないと話す。
「我々はFPMとの和解を可能な限り擁護してきたが、それを台無しにしたのは彼らだ」
フランジェ氏と連携するジアド・マカリ暫定情報相は、バシール氏は、同盟者からさえも候補者としてのコンセンサスが得られていないことを知っていたと述べた。
「彼のチャンスはゼロだ。一方のフランジェ氏は、バシール氏よりチャンスがある」。マカリ氏はこのように述べた。