
ワシントン:バイデン政権は、イランからの執拗な脅威のため、マイク・ポンペオ前国務長官と対イラン政策に関わった高官1人に対する政府の保護を再び延長した。
先週後半に議会に送られた別の通知で、米国務省は、ポンペオ氏とブライアン・フック氏への脅威が依然として「深刻で確かな」ままであると述べた。フック氏は、トランプ政権のイラン特使を務めていた。
ドナルド・トランプ大統領が2018年にイラン核合意からの離脱を決めた後、フック氏はポンペオ 氏とともに、米国のイランに対する「最大限の圧力」運動において対外的な顔となっていた。
イランはまた、2020年1月にバグダッドで米国がイラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官を暗殺した件についても2人を非難し、報復を誓っている。
1月5日の議会への通達で、2021年1月に退任したフックへの保護を国務省が延長するのは10回目、ポンペオへの延長は7回目となった。
この延長回数の不一致は、ポンペオ氏に元国務長官として、退任後の数ヶ月間は自動的に政府の警護がついたためである。
AP通信が入手した通知には、ジョン・バス国務副長官代理の署名があった。
「私はここに、マイケル・ポンペオ前国務長官に関する特定の脅威が持続していると判断する」とバスは述べている。
フック氏への脅威についても、バス氏は同じ文句を使って言及した。
AP通信は2022年3月、ポンペオとフック両氏に24時間警護をつけるにあたって、国務省が月額200万ドル以上を支払っていると報じた。新たな決定では、警護にかかる金額は示されていない。
バイデン政権は、これらの決定を下してポンペオとフック両氏の保護に費用を投じている間にも、トランプが2018年に離脱した2015年のイラン核合意の救済を目指してイランとの間接的な協議を引き続き進めている。
それらの協議は何ヶ月もの間行き詰まっており、いつ再び進展があるかについてバイデン政権は悲観的である。
同政権は、協議の決裂原因がイランにあると非難している。
イランは、核開発プログラム抑制の見返りとして制裁緩和によって数十億ドルを得たにもかかわらず、その取引の範囲外の要求を突きつけてきた、というのである。
その間にイランでは、公共の場での女性のヘッドスカーフ着用義務に違反した罪で告発されていた女性が、拘留中に死亡した。これが引き金となって起こった反政府デモに対し、政府は大規模な弾圧を開始している。
今回の通知は、イランを脅威の源として具体的には特定していない。だがイラン政府関係者らは、革命防衛隊を「外国テロ組織」に指定して前例のない制裁の対象とし、ソレイマニ暗殺を画策するなど、トランプ政権の対イラン政策を主導したポンペオとフック各氏に対する怒りを以前から露わにしている。
AP