
エファレム・コッセイフィ
ニューヨーク:国連は、イエメン沖で老朽化が進む石油タンカー「セイファー号」のサルベージ作業の第1段階開始に、これまで以上に近づいている。
しかし、ウクライナにおける戦争の影響で、代替石油タンカーを見つけて使うことがより難しく、より高価になっており、大幅に遅れている作業に新たな課題を突き付けている。
火曜日、国連のファルハーン・ハク広報官は、「ドナーは、国連が調整役となって進める、セイファー号からの大規模な石油流出を防ぐための計画に必要な8,400万ドル超の資金提供を惜しみなく約束してくれました。近いうちに、民間部門からの追加の資金提供も予想されます」と述べた。
114万バレル超の石油を積んだこの船は、イエメン沖の紅海に7年以上係留されている。
その間、メンテナンスはほとんど行われておらず、破滅的な石油流出の恐れが高まるほどに状態が悪化している。
セイファー号を安全にするために計画されたサルベージ作業は、2つのフェーズに分かれている。
まず、石油はセイファー号から別の船に移され、その後、イエメンが石油を別の場所に販売または輸送することが認められる政治情勢になるまで、恒久的な貯蔵施設に移される。
ハク氏は、7,300万ドルの資金提供を受けたことで、国連は「必要不可欠な準備作業」を開始できるようになっていると話した。
「複雑な作業に向けた調達を行うために、あらゆる専門技術や知識が整っています。これには、海洋管理コンサルタント会社、海事法律事務所、保険および船舶ブローカー、石油流出の専門家が含まれます」と同氏は語った。
「緊急作業を行うサルベージ会社との契約締結の話は進んでいます。」
ハク氏によると、現在の重要な課題は、十分な大きさの石油タンカーを調達することだ。「石油を運ぶために、安全な原油輸送船が用意されることが確実になるまで、国連は緊急作業を開始できない」からだ。
しかし、「基本的にウクライナでの戦争をめぐる情勢により」、適任の船舶を調達できる可能性はこの6か月で減少し、その金額は作業の予算が作られてから2倍になった。
「ちょうど作業開始に向けて準備を進めていたところで、このタイプの船舶をリースまたは購入するコストが増加しました。大型原油輸送船のコストは、当初計画の予算よりも約50%高くなっています。そのため、追加費用が発生するとともに、適任の船舶を見つけることがやや難しくなっていますが、我々は仕事を進めています。」
「国連は、早急に実行可能な解決策を見つけるべく、海事ブローカーや他のパートナーとの協力を進めており、今後数か月で作業を開始できると確信しています。」
セイファー号が壊れて、石油が紅海に流出した場合、その除去作業には推定300億ドルの費用がかかる可能性がある。
環境災害はイエメンだけでなく、サウジアラビア、ジブチ、エリトリア、ソマリアなどの近隣諸国にも影響を与えるだろう。
さらに、漁業が被害を受け、海運業の事業が中断されることになりそうだ。
サルベージ作業の第1段階に必要な資金には、1,000万ドルを寄付したサウジアラビアをはじめ、17か国以上が寄付を行った。
民間部門、公的財団、国連が創設したクラウドファンディングキャンペーンからの寄付もあった。昨年末、オランダから700万ドルの寄付があり、当初の目標金額を達成した。
フーシ派は、セイファー号の係留場所に近いラスイッサなど、イエメン西部にある紅海の港を支配している。
国連は、セイファー号の適切な立ち入り検査が行えるよう、数年間にわたってフーシ派と交渉を行ってきた。
双方は昨年3月に覚書を交わし、石油を別の船舶に移すことによって、差し迫った脅威を排除するための4か月の緊急作業が行えるようになった。
月曜日、フランスは国連のサルベージ基金に100万ユーロ(108万ドル)の追加の資金提供を発表した。
フランスのアレクサンドル・オルメド国連政務調整次官は、作業の第1段階が「環境災害を回避するために迅速に実施される」ことを望んでいると語った。
「また、現在セイファー号を管理しているフーシ派に対し、サルベージ計画の実施において、国連に全面的に協力するよう呼びかけています」と同氏は述べた。