
サイード・アル・バタティ
アル・ムッカラー:住民と地元当局によると、1月23日、イエメン南部アビヤン県でイエメン治安部隊とアルカイダのメンバーをかくまっていると疑われた地元部族民の間で衝突が起き、少なくとも9人が死亡した。
衝突はアビヤン県ムディアで自警武装集団「セキュリティ・ベルト」の兵士が村を包囲し、地元部族に対して、近くの道路で独立派軍への急襲を計画したアルカイダ戦闘員とされる少なくとも15人を引き渡すよう要求した際に起きた。
地元民はテロリストをかくまっている事実はないとして攻撃を開始し、その結果部族民5名、武装集団の兵士4名が死亡した。
アビヤン枢軸軍のモハメド・カセム・アトワ司令官は24日、アラブニュースの取材に対して、部族民との悲劇的な戦闘の数時間前にアビヤンのオマラン渓谷で武装派が道路脇に仕掛けた爆弾に車両が接触し、配下の兵士1名が死亡、他1名が負傷したと説明した。
死者と負傷者計2名を搬送中に、少なくとも15人の武装派勢力が車両に砲撃してきたため、治安部隊員3名が死亡し、7名が負傷した。攻撃してきたグループは隣接するアル・バゲラ村に逃れたという。
「我が軍の兵士に攻撃を仕掛けた後、彼らは村に逃げ込みました。我々は地元民に彼らを引き渡すよう頼み、我々は地元住民を守るために来たのだと説明しました」と司令官は語った。
地元民はその要請を断り、彼らが自分たちの住居に押し入り、住民を拘束していると非難して治安部隊員に発砲した。
地元住民はこの地域でのアルカイダの勢力拡大に関して合意しているにもかかわらず、攻撃と路肩爆弾の爆発を受けてセキュリティ・ベルトの兵士による恣意的な逮捕や急襲が続いていることに不満を表明していた。
「オマラン渓谷は長い間、アルカイダの安全な隠れ家となってきましたが、我々はアルカイダに勢力再拡大の足場を与えるつもりはありません」
5か月前、分離独立派「南部暫定評議会」はオマラン渓谷を含むアビヤン県の広大な山岳・渓谷地域でアルカイダ戦闘員を潜伏場所や軍事施設から掃討するための軍事作戦を開始した。
イエメン軍はアビヤンの高地・渓谷地域で、死者70人以上、175人を超える負傷者を出した奇襲作戦に加えて路肩爆弾、地雷、簡易爆発物の設置など、武装勢力によるゲリラ戦術を用いた激しい抵抗にあった。
イエメンのテロ組織の専門家であるサイード・オベイド・アル・ジェムヒ氏はアラブニュースに、イエメン軍および治安部隊の作戦および逃亡者の続出、資金の枯渇によってアルカイダの勢力はかなり弱まっていると説明した。
アル・ジェムヒ氏によると、地雷と路肩爆弾の設置はアルカイダの軍事力の「乏しさ」を物語るという。
「アルカイダの地上での軍事的能力は低下しており、駐屯地への攻撃や路肩爆弾の設置などの奇襲作戦を取るようになっています。これらはアルカイダが初期に採用していたゲリラ戦の水準にすら達していません」と氏は説明し、ただしこの軍事的衰退がアルカイダの消滅を意味する訳ではないと釘を刺した。
イエメン情勢を専門とするアナリストたちは、アビヤンでアルカイダと戦う分離独立派軍は自らの軍事的功績を誇張するとともに、アルカイダの危険性とそれが地元部族との間に長年結んできた同盟関係を過小評価していると主張する。
「反アルカイダグループは、圧倒的かつ完全な勝利を手にしたとメディアで吹聴しています。アルカイダを追撃する軍にとっては驚きでしょうが、これら地域の一部ではアルカイダは未だ活動を続けており、成功を収めている場合さえあるのです」とアル・ジェムヒ氏は述べた。