
ラマッラー:パレスチナは27日に、ドナルド・トランプの和平案を拒否するよう世界の大国に要請した。この案は、何度か提案したもののマフムード・アッバース大統領が米大統領との協議を拒否したという。
トランプ大統領は中東和平提案を今週ワシントンで公表する予定だが、その場でイスラエルの首相ベンヤミン・ネタニヤフと野党党首ベニー・ガンツとの会談が予定されている。
ホワイトハウスに招かれなかったパレスチナ指導者らは、すでに米国の構想を拒否し、トランプ政権がこの紛争における誠実なブローカーとしての自国の役割を強化したのは大統領のいわゆるイスラエル寄りの偏見のためだと主張した。
「この国際法違反の案に乗らないように、我々は国際社会に呼びかける」と、パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は週1度の閣僚会議に先だって記者に語った。
2017年から検討されてきたトランプ大統領の構想の詳細は、未だ公表されていない。
だがトランプ政権はすでに、イスラエルが1967年の第三次中東戦争でシリアから奪ったゴラン高原でのイスラエルの主権を認め、ヨルダン川西岸を「占領地」と呼ぶのを止めた。
米国はもはやヨルダン川西岸のイスラエルの入植地を国際法違反とも見なさず、多くのアナリストは大統領の提案でトランプ政権の立場が再確認されると見ている。
トランプ大統領は2017年12月に係争中のエルサレムをイスラエルの首都と認定し、この地の運命は当事者間で交渉されるべきだという何十年にもわたる国際合意からも離脱した。
トランプ大統領は職権乱用に対する弾劾裁判の審理のさなかにこの案を発表する予定で、同時にネタニヤフ首相はガンツ党首との厳しい選挙戦での重大な汚職容疑を掛けられている。
「この案はトランプ大統領を弾劾から守り、ネタニヤフ首相を収監から守るものだ。これは中東和平案などではない」とシュタイエ首相は閣僚会議で語った。
これまでに公表されたトランプ大統領構想の一部は、パレスチナ人に大きな経済的インセンティブを与えることを意味している。
「パレスチナ人民の権利は売り物ではない。この案はパレスチナ領土内にイスラエルの主権を与えるものだ」とシュタイエ首相は言った。
ランプ大統領がこの案をアッバース大統領と協議するよう最近数週間で何度か試みたが、パレスチナの大統領はそれらの提案を拒否したことを、3人のパレスチナ官僚が27日に匿名でAFP通信に語った。
「米国が2国間での解決を認めるまで米国との協議はあり得ない」と、ある高級官僚は言った。
在エルサレム米国大使館のスポークスマンはすぐにはコメントに応じなかった。
米国の提案は2国間解決の一般的定義とされる東エルサレムを首都としたパレスチナ国家の創設への支持から後退するものだと推測した者もいる。
米国の提案はイスラエルのヨルダン渓谷併合に青信号を出すことを狙ったものかもしれない。ここはヨルダン川西岸の約30パーセントを占める重要な領土である。
イスラエルのアリエ・デリ内相は27日にヨルダン渓谷を訪れ、右派ネタニヤフ首相の最重要の選挙公約であるこの動きに向かっての段階を踏んでいだのだと語った。
「内相として私が話したいのは、我が国は併合への準備を開始し、我が国は手続き書類を準備している」とデリ内相は声明で述べた。
27日ガザで数百人のパレスチナ人が、皮肉にも「世紀の大取引」と彼らが呼ぶトランプ大統領の案に反対するデモを行った。
案が公表される予定の29日にもデモが予定されていた。
AFP通信