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国連、シリア北西部へ十分な支援を提供できず反発に直面 アラブニュース

2023年2月9日、イドリブ州にあるトルコ国境近くの町、サルキーンの河川ダムが壊滅的な地震により破壊され、浸水したアルトルル村の空撮写真。(AP通信)
2023年2月9日、イドリブ州にあるトルコ国境近くの町、サルキーンの河川ダムが壊滅的な地震により破壊され、浸水したアルトルル村の空撮写真。(AP通信)
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11 Feb 2023 08:02:13 GMT9
11 Feb 2023 08:02:13 GMT9
  • シリア救助隊は、国連が支援を加速させなければ、死者数はさらに増加すると発言
  • 16人の国際法学者が、この地域への越境手段を増やすよう災害前に呼びかけていた

ロンドン: ガーディアン紙が10日に報じたところによると、マグニチュード7.8の地震に襲われたシリア北西部には未だ十分な支援が届いておらず、同地域へ直ちに支援を提供できなかったとして、国連への監視の目が強まっている。

国連安全保障理事会は、2014年以降、シリア北西部とその周辺地域のシリア人への国境を越えた援助を認めている。これは、クロスボーダー・リーガルという組織によると、シリア当局が自国領への人道的アクセスを違法に妨害しているためだという。

しかしロシアと中国の拒否権発動により、当初認可された4つの国境検問所のうち、現在も稼働している検問所は1つしかない。

ガーディアン紙によれば、同国の12年にわたる内戦でも見られなかった状況が地震によって生まれている、とシリア救助隊や地域の住民が述べているという。彼らは、国連が救援物資の輸送を早める方法を見つけなければ、死者数はさらに増加すると警告する。

「これまでに約30棟の建物が完全に崩壊しており、未だに多くの人々が瓦礫の中に閉じ込められています。私たちは彼らを救い出すことができません。それぞれが、自分たちの家族を探すことに精一杯です」とイドリブ在住のファレッド・マフルール氏はガーディアン紙に語った。

「物資が、たくさんの物資が必要です。住宅やビルはもう住める状態ではありません。これは大惨事です。この地震で、叔父と彼の家族全員を亡くしました。もう一人の叔父は、妻とその姉妹3人を亡くしました」

「栄養、人道支援、子供たちのためのミルク、医薬品など、必要なものがたくさんあります。皆がテントや学校、公共の建物で眠っています。可能な限り多くの国際的な援助が必要です。これは大変で、恐ろしい事態です。悪夢がやってくるでしょう」

ガーディアン紙が報じたところによると、合計14台の国連トラックが10日、人道支援キット、ソーラーランプ、毛布などを積んでバブ・アル・ハワ国境交差点でシリアの反政府勢力支配地域に入った。それは、6台のトラックが必要最低限の物資を積んで国境を越えた翌日の出来事だった。

北西部の緊急救助隊、ホワイト・ヘルメットの代表であるラエド・サレハ氏は、9日の援助物資の輸送は地震前に計画されたものだったと述べた。

彼はガーディアン紙に対し、次のように語った。「届けられたのは、捜索救助隊や瓦礫の下に閉じ込められた人々のための救援物資や特別装備ではありません。命を救うのに役立つ装備を切望している私たちとしては、非常に残念です。私たちの活動を支援するものは、何も受け取っていないというのが現状です」

「現実を理解し、私たちが直面している基本的な問題が何であるかを評価するための国連との連携がないのです」

「国連は対応策すら持っていません。これは人道的活動において明らかに不公平であり、容認できない事態です。人間の生きる権利を尊重するという、組織の最も重要な原則に明らかに違反しています」

シリア国内では少なくとも3,500人が死亡し、さらに数千人が瓦礫の下に閉じ込められている、とガーディアンは報じている。

欧州諸国は8日、ダマスカスに援助を集中させている国連の活動の外で、シリアへ重要な物資を届ける方法について助言を求めた。

国連は、国際法の厳格で議論を引き起こす解釈に固執するあまり、世界で最も弱い立場にある人々を救うことができていないと非難されている。

およそ16人の国際法学者が、地震の前に、シリア北西部への国境を越えたアクセス拡大を求める書簡に署名した。

書簡は次のように述べている。「国際法の過度に慎重な解釈が、国境を越えた援助に頼り続けている北部と北西部の何百万人もの人々の命を危険にさらすべきではありません。またそれが、国際人道法の状況を変えて政治化することも許されるべきではありません」

9日には、人道支援を専門とする弁護士たちが国境を越えた援助増加を求めるキャンペーンを強化した。

「この書簡は、シリアにおけるより広い人道的災害の文脈の中で作成されました。ですが我々は今、それが国連の法律顧問であるミゲル・デ・セルパ・ソアレス氏に、彼の事務所が必要とする法的支援を提供することを願っています。今この間にも、瓦礫の下に閉じ込められている子供たちを救うために必要なものです」と、人権法律事務所ゲルニカ37の弁護士、イブラヒム・オラビ氏は述べた。

 「歴史が注目しています」とオラビ氏は付け加えた。

シリア・アメリカ医師会は、支援の輸送方法を直ちに見直すよう求めている。

医師会は、「何年もの間、医療援助を含むシリアへの援助物資の輸送は、国連安全保障理事会内の政治プロセスによって妨げられてきました。国境を越えた支援の規定について、半年毎に審査を繰り返しているのです」とガーディアン紙に語った。

さらに、医師会は次のようにも述べている。「1つの国境交差点にすべての援助を通し、この地点を政治プロセスの対象とすることは、援助供給を脆弱にし、遅らせます。これは常に問題でした。しかし今回の地震の後では、もう同じやり方を維持することは不可能です。

「この地震の二次的影響によって大量の犠牲者を出すことを防ぐには、援助規模の拡大が求められます。越えられる国境地点が1つでは、それに対処することはできません」

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