
ダマスカス:世界保健機関(WHO)の事務局長が日曜に語ったところによると、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領は反乱軍が支配する同国北西部の地震被災者に支援を届けるため、国境通行所を追加することに前向きな発言をしたという。
世界保健機関のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、日曜午後にダマスカスでシリアの大統領と会談し、シリアとトルコで合計33,000人以上が死亡した壊滅的な地震への対応について話し合った。
10年以上続く内戦で荒廃したシリアの支援を必要とする全ての人々に、いかに支援を届けるかが、特に懸念されている。
「紛争、新型コロナウイルス感染症、コレラ、経済的衰退、そして今回の地震による複合的危機が耐え難い犠牲を生んでいる」と、アレッポを訪れて現地の惨状を直接目にした後、テドロス氏は語った。
同氏は、「被害がさらに大きいと聞いている北西部へ、前線を越えて進むのを待っている」と述べた。
特に悲惨な状況にある北西部の反乱軍支配地域では、シリア政府の許可無しでは政府支配地域から救援車列を受け入れることができない。
トルコから援助を送れる唯一の国境通行所は、地震によって運用が妨げられた。
一部の事前に準備されていた支援物資は運ばれており、木曜に車列の国境通行が再開されたが、より迅速に支援を届けるため、利用できる国境通行所を増やすよう求める声が高まっている。
「今日午後にアサド大統領閣下と会談した。閣下はこの緊急事態にあたって、国境通行地点の追加を前向きに検討する姿勢を示した」と、シリアの首都からのオンライン記者会見でテドロス氏は述べた。
反乱軍支配地域への人道支援は通常、2014年に国連安全保障理事会の決議に基づいて確立された国境通行システムによって、トルコ経由で届けられる。
しかし、シリア政府と同盟国ロシアはこれをシリアの主権に対する侵害だとみなし、長くにわたって異議を唱えてきた。
ロシアと中国からの圧力の下で、国境通行所は時を追って4か所から1か所にまで減ってきた。
地震に見舞われたシリア北西部にとって、同様に不可欠であるのは国内からの支援の加速だ。
テドロス氏は、反乱軍が支配する北西部に支援を届けるための「国連の前線を越えての輸送に対する、最近のシリア政府による一括承認」を歓迎した。
しかし、政府支配地域から救援車列が前線を越えることをシリア政府は全面的に認めたものの、WHOはまだ前線を越えずに、反乱軍支配地域側からの青信号を待っていると、テドロス氏は述べた。
「我々は待機中だ」とのことだ。
WHOの東地中海地域責任者であるリチャード・ブレナン氏は、記者らに対し、「地震発生以来、前線を越えての輸送は行われていない」と述べた。
「今後数日のうちに1度輸送を行う予定があった。それを進めるために交渉中だ」
同氏によると、地震前に国連は通常ひと月に1度、救援車列を送る許可を得ており、震災以前にもそれを3回か4回に増やそうと努めていたという。
「今ではもちろん、切迫感が非常に大きくなっている」と同氏は語り、はるかに多くの輸送車列が必要であることを示唆した。
WHOの緊急対応責任者マイケル・ライアン氏も「我々に必要なのは大規模なアクセスだ」と同意した。
「前線を越えてのアクセス、国境を越えてのアクセスが必要であり、それを増やす必要がある」
AP通信