
ラマッラー: イスラエルの国家安全保障相であり、極右政治家のイタマール・ベングビール氏は、ユダヤ人とアラブ人どうしの緊張を煽るとして長らく非難されてきたが、今度はこの対立で最も機微な問題の一つに目をつけた。パレスチナ人受刑者である。
昨年末、過去にも首相を経験したベンヤミン・ネタニヤフ首相が率いるイスラエル新政権に加わって以来、ベングビール氏はパレスチナ人受刑者が快適な処遇を受けないように務めることを公約に掲げている。
先月、ネゲブ砂漠に置かれるナファ刑務所を訪れた後、同氏はイスラエルのメディアに、独房の新設によって「ユダヤ人を殺害した者たちの待遇が改善しないことを確実にしたい」と語った。
ベングビール氏はまた、同氏が「テロリスト」とみなすパレスチナ人受刑者らが、「まるでレストランにいるかのように、毎朝焼きたてのピタ(パン)」を受け取ることがないようにするつもりだと述べた。
先月、併合された東エルサレムのシナゴーグの外でパレスチナ人が7人を射殺した後、同氏はイスラエル国内の刑務所2か所で運営されている「パン屋」を閉鎖するよう命じ、「私の監視下では許さない」と誓った。
イスラエル監獄局は、そのような施設が存在するかどうか、また実際に服役者のために毎日ピタを作っているかどうかについてのコメントを避けた。
パレスチナ人受刑者の生活をめぐるベングビール氏の主張が実態に即しているかどうか、また、自身の提案を実行に移す能力があるかどうかについては疑問があるが、彼の扇動的な発言は強い反発を呼んでいる。
ハマスが統治するガザ地区では、抗議者らが「ベングビールよ、地獄に落ちろ」と書かれたプラカードを振っている。
AFPが入手したエルサレムに滞在している外国人外交官宛ての書簡の中で、ハマスは、囚人の権利を制限する動きは「あらゆる一線を超えた」と警告し、この問題を「起爆剤」と表現した。
「ヨルダン川西岸地区のどの家庭にも、少なくとも1人は拘束され、逮捕され、軍事裁判にかけられた人がいる」と、受刑者の支援団体アドミールのアドボカシー担当者ミレナ・アンサリ氏は言う。
「パレスチナ人のアイデンティティの核心を深く突く問題だ」と同氏はAFPに語った。
アドミールは、1967年の六日戦争でパレスチナ自治区が占領されて以来、約80万人のパレスチナ人にイスラエルの刑務所に収容された経験があると推定している。
「ユダヤの力」党の党首であるベングビール氏は、禁止されたユダヤ人過激派組織との関係で、人種差別を扇動した罪とテロ組織を支援した罪で有罪判決を受けたことがある。
同氏は前歴においても、アラブ人をイスラエルから追放するよう呼びかけたことがある。
また、テロ行為で有罪判決を受けたパレスチナ人について死刑を求刑しているが、これは同氏の職務外の問題である。
アドミールの報告によると、現在イスラエルの刑務所には約4,700人のパレスチナ人が服役しており、そのうち190人は18歳未満である。
パレスチナ人受刑者を専門とする研究者、バジル・ファラジ氏によると、刑務所では、ハマスや、マフムード・アッバース議長率いる世俗主義的なファタハ運動など、異なるグループのメンバー間で結束が強められているという。
同氏によれば、受刑者らは「イスラエルの政策に対する抵抗」という共通の意識の下で結束しており、ベングビール氏は「その政治的組織的な意識を解体したいのだ」という。
受刑者のマルワン・バルグーティ氏は、最も人気のあるパレスチナ人指導者としてしばしば世論調査の上位に挙げられるが、同氏の息子がAFPに語ったところによると、父親との接触を最後に許可されてから3か月が経つという。
バルグーティ氏は、イスラエル人への攻撃を画策したことで、複数の終身刑を言い渡された。
「イスラエル人は、勝利の幻想を作り出すために、シンボルをこしらえ、そのシンボルを破壊する手口を好む」と、カッサム・バルグーティ氏はAFPに語った。
しかし、同氏は次のように警告した。「イスラエル人が彼にすることは何であれ、パレスチナ人の間で彼に対する支持を高めるだけだ」
AFP通信